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【子ども】コミュ力UPを目指そうとしたけど、もしかして既に高い?

中学生のハローワーク1月のゲストは、音楽家の竹上久美子さん。ライブで歌ったり楽曲提供したり、今はキラキラした世界で活躍されているけれど、そこに至るまでの挫折や失敗もお聞きした。竹上さんのことが立体的に見えてきたところで、ここからは中学生だけの時間。(↓前回の記事はこちら)

小学校時代からの繋がり

いつものように、始めはちょこっとお手玉タイム。今日はほとんどの子が画面オフにしていた。1人がオフにしたのを見て同調したのはわかるけど、さすがに私は寂しい。浅い関係の子にこれをされると、こちらのコンディションによってはメンタルをやられそう。シュタイナー教育では小学校1年生からずっと担任が変わらないので、私は小学生の頃からの繋がりに助けられている。一般的な中学校の先生って、その助けがなくても子どもたちを信頼できて、思春期の冷たい態度を温かく見守っていて、ほんとにすごいなと思う。

後で聞いたら「お手玉を探してた」とか「画面オフだけどお手玉やってた」とか言うので、上手に返答するなあと感心する。この返答なら相手の機嫌を損ねることもないし、お互いに気持ちよく会話を進められる。嘘か本当かはあまり問題じゃないしね。私としては、緊張と緩和のバランスをうまく取れているかな?というのが気になるところ。次回は画面オンを予めお願いしておこう。


質問力のレベルアップを試みる

さて、お手玉の後は質問を考える時間。1人で考えた後、それを共有するのがいつもの流れ。新年1発目ということもあって、今回はちょっとレベルアップを試みた。それは、「質問に答えていただいた後、さらにもう少し話を深める質問を重ねてみる」ということ。

例えばこんな言葉が使えるよ、といくつか例を示しておく。そして、強制はしないよ、と付け加えておく。

先生になって数年経った頃、私は、ベテランの先生から「えりか先生は、子どもを指導するときに、逃げ道を用意するようにするといいね」というアドバイスをもらった。被害者と加害者が明らかだった事案で、子ども同士の話を聞き、加害者にあたる子の謝罪を促すのにベテランの先生にも立ち会ってもらったのだ。当時は素直にアドバイスを受け取れず、「逃げ道なんか用意して、謝らなかったらどうするの!?」って思ったけど、今はわかる。子どもは自分にとって最善の道を選ぶ。だから、逃げ道を用意しておいてあげることで、「逃げないで自分の課題と向き合う」という選択が、子ども自身でできるのだ。こちらが「もしも謝らなかったら被害者側の保護者からものすごいクレームが来るぞ・・・」なんて思ってるうちはうまくいかない。子どもを心から信じることと、謝らない選択をしたとしても私が責任取ってやるから安心しな!と思える度量が大事。

これは何においても共通していることだと思う。「これがベストだからこうしなさい」と大人に示されたたった一つの道を歩むより、いくつかの道の中から子ども自身がベストな道を選択して歩みを進めていく方が、子どもは自信を持って前進していくし、少々しんどいことがあっても乗り越えていく。

じゃあ、何でもかんでも子どもに決めさせるのかというと、そうでもなくて。全く何の基準もなく、ご自由にどうぞ!というのは、考える責任を子どもに押し付けているに過ぎないと私は思うので、選択肢は用意したい。どれを選んでも正解である選択肢。もちろん、選択肢以外から選ぶことも大歓迎とした上で。

なんだか壮大になった話を元に戻すと、一つのクラスでも同じこと。話を深める質問を重ねるかそうしないかは、子どもたちに選択権がある。そして、何を選択したとしても正解。話がどう転んだとしても私が何とかするから、安心してチャレンジしてくれればいい。


質問タイム本番

レベルアップしてみようよって誘ったのが、竹上さんの回で正解だった。明るく穏やかな雰囲気で、話しやすいようだ。

それぞれみんな自分の質問に沿った2つ目の質問を重ねることができていて、意図的ではあるにせよ、そこに対話が生まれ内容がさらに深まっていく。

私が用意していた例が使われることはなく、自分の言葉で自由に話す中学生たち。まだまだ深めていくこともできそうだけれど、時間に限りがあることがわかっているのか、ほどほどでストップ。なんて臨機応変な対応力のある中学生なんだろうと驚く私。私が何とかする、なんて思っていたのが、恥ずかしい。何の心配もいらなかったどころか、楽しそうな話に引き込まれる。

好きな音楽やアーティストの話、著作権の話、もしも〜だったら・・・などなど。質問の数はいつもよりしぼられたけど、その分一つひとつをしっかり深めることができたように思う。


新時代を生きる

今回、話題になったのが、多様なものに寛容で、新しいものが求められる時代が来ているということ。自分で自分をプロデュースしていく力が求められる。中学生が大人になるころには、もっと加速したり広がったりしているかもしれない。でも、自由な場でも臆することなく自分の聞きたいことを尋ね、対話を深めることができる貴方なら、きっと大丈夫だね。そんなことを考えた1月のハローワークだった。

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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。 小学校・放課後等デイサービスを経て、現在は児童発達支援事業所で障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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