【コラム】心開いて話すと後で何かが実る

「この習い事(←神戸シュタイナーハウスのこと)ってさ~、いろいろやるけど、何て説明していいんかわからんねん。勉強でもないし、遊びでもないし、絵を習ってるわけでもないし、お手玉でもないし、編み物でもないし…。色で言うと、黄色かオレンジっていう感じやねんけどな~」と、活動の帰りに後部座席の中学生が言った。

今日、我が子は部活で参加できなかったので、一緒に参加している中2の女の子と2人で、半時間ほどのドライブ。

誰かとゆっくり話をしたい時は、受け止めモード全開。尊敬している相手と話す時には、きっと普通にしていることなのに、子ども相手だと変わっちゃう事も多いけど。そしてそれが必要な時があるんだろうけど。

相手をコントロールしたいんじゃなくて、相手の考えを聞きたい時、具体的には、①否定しない(正解を聞きたいわけじゃない) ②結論を出さない(今決めなくていい) ③自分を押し付けない(相手の思いに寄り添う) の3つを心掛けるだけで、ずいぶん違う。

あとは、話し手が進もうとする方向に、一緒に付いて行くように(←これは傾聴の基本姿勢)、必要に応じて受け止めたり質問したりしながら、何が出て来るかを楽しみに待つ。

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  傾聴~聴くことが力になる~

「へ~、黄色とオレンジか~。じゃあ、学校は何色?」
「コーヒーに牛乳入れて混ざる直前の、白と黒のもやもやした感じ」
「そのココロは?」
「自分がやりたい事は出来ないし、自分がイヤな事もせんとアカンし、友達と話してるのはいいけど、勉強は“そんなん覚えてどーするん?”っていう事もテストに出るしーー」。

ああ、おもしろい! この子がこんな風に自分の感じていることを、そのまま表現してくれるから、すごく楽しい。近所のおばちゃんと何でもない会話を楽しめる中学生って、それ自体ひとつの才能だよ~。

「おもしろいね~。白黒の学校の世界があって、赤と黄色の暖色系の神戸シュタイナーハウスの世界があって、じゃあ、あと青があれば全部の色が作れるけど、青のイメージってどこかある??」と、聞いてみる。

「青ぉ??? 青なぁ~~~~、う~~~ん」と、考え込んでしまった。

白黒(明暗?快不快?)と、黄色(光)、オレンジ(ぬくもり)は感じられるけど、青は身の回りに思い当たるものがないらしい。たとえば、青が冷静な思考や精神の世界だとしたら、まだその世界は外にあって、14歳の中にはこれから成長していきながら入ってくるのかな。…なんて深読みしてしまいそうなカラフル発言。

その後、いつの時代も変わらない14歳のしんどさ(将来を考えると不安やし、いい加減な大人にムカつくし、腹が立っても解決できないし、中学生って急に周りの目が冷たくなるし…)や、少しずつ良くなってきた学校の話(体罰はない、持ち物検査もない、水泳を休む時“生理です”って言わなくていい、歴史年号はテストに出ない…)などなど、いっぱい話してくれながらの帰り道でした。

逆に「うそ~、昔ってそんなんやったん??」ってビックリされたけど。え~と…「ムカシ」?……昔は…そうでした(^^;)。私が子どもの頃は、大人になるのは21世紀の近未来、くらいの遠い話だと思ってたから、文句は言うまい。過ぎれば一瞬よ~。

余談でした。スミマセン。

中学生が、自由な言葉で自分の思いを表現できる技量や、無邪気な頃を過ぎても自分を肯定し周りを信頼している14歳に惚れぼれした30分でした。心開いて人と話をすると、お互いに受粉して、時間差で後から何かが実るよね。子どものまわりにいる大人としては、人と一緒に話をする楽しさの体験を重ねていってくれたらいいな、と願います。

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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