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【子ども】高学年のリズムの時間③”わたし”を意識して遊ぶ

頭も体も心もまるごと使って学ぶのが、シュタイナー教育の大きな特徴の一つ。高学年のころ、リズムの時間に取り組んだ遊びをいくつか紹介してきたけれど、ついに今回が最終回!

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他者とかかわって遊ぶ
感覚を研ぎ澄ませて遊ぶ


倍数と公倍数

①例えば、3の倍数担当チームと、4の倍数担当チームにわかれる。
②それぞれ、好きな鳴り物を選ぶ。
③歩きながら1から20まで数え、自分の担当する倍数の数のときだけ音を鳴らす。
④公倍数のときに、決まったことをする。

算数的なことをしたいなと思って取り組んでいた遊び。いや、遊びと言えるかはどうか難しいところもあるけど、速さを求めていくとゲームらしくなるかな?工夫できることが無限にあるので、取り組むメンバーにとって最善の方法を見つけてみてほしい。私からアドバイスできるようなことがあるとしたら、こちら↓

①もっとたくさんに分かれてもいいし、何の倍数にするかも様々。
②音が鳴らせれば何でもOKだけど、チームで同じ物の方がわかりやすい。石、木、手、足、瓶、缶、ペットボトル、カスタネット、紙鉄砲 などなど
③もちろん、もっと多くてもOK 例えば、7の倍数と9の倍数だと20まで数えても公倍数が出てこなくておもしろくないので、選んだ数によっても変わってくると思う。神戸シュタイナーハウスでは、100までにしたかったけど、苦手な人が多かったので30までにとどめた。
③一人ひとりバラバラになってあちこちに向かって、チーム毎でかたまって、交互に列になって、円になって・・・など、歩き方はいろいろ。その場で足踏みでもできる。数に夢中になると足を交互に出すのが難しくなる子もいるので、そういうときは椅子に座ったままで両足で床を踏む、とか、何らかの工夫を。
④ある程度慣れてから、チャレンジとして付け足したルール。私たちは「公倍数のときには、両手を挙げて鳴らす」にしたけれど、ちょっと止まってポーズとか、ターンするとか、ダンス的な要素もおもしろそう。変顔をして、笑った人をアウトにする、なんてのもいいの思う。きっとゲーム要素がアップする(このルールなら、ペアの方がいいかも)。

自分1人だとできるのに、チームでかたまっているとできるのに、バラバラになると相手チームにつられてしまう・・・。しかも、間違っていることに気が付かない。うまくいったときは、見ている人は「お~!」って言うけど、鳴らしている方は必死。

神戸シュタイナーハウスの子どもたち(と、私)は、あまり算数や数学が得意ではないメンバーだったので、動きが美しくそろうように気をつけたり、八の字の形が見えるように歩いたり、リコーダーでメロディをつけたり。ゲームというより音楽的なものへとシフトさせて楽しんだ。皆さんも、おためしあれ。


アルゴリズムダンス

①縦1列に並ぶ。
②先頭の人は、音楽の拍子に合わせてポーズ繰り出す。
③2番目の人は、先頭の人を見て、1拍遅れでポーズを真似る。
④3番目の人は、2番目の人を見て、1拍遅れでポーズを真似る。
⑤外から見ると、1拍遅れでポーズが流れていく。
※Eテレのアルゴリズム行進と同じ要領だけど、前へは進まない。

これも、子どもとアーティストの出会いのワークショップでアーティストさんから教わったもの。タイトルは違ったかもしれない。

私自身が体験したときに、息を切らして動いて大笑いしたので、そのイメージで始めてみたけれど、子どもたちはというと「???」の状態。

拍子が取れない。1拍ずらすなんて、もってのほか。
ポーズが思い浮かばない。思い浮かんだとしても恥ずかしい。
1つ前の人に集中できない。
かといって、集中すると前の人につられてしまう。

どうやら時期尚早だったらしい。とはいっても、高学年~中学生だ。できるようになってもいい年齢ではある。

まずは拍子が取れるようなゲームをして、どんなポーズでもOKの雰囲気づくりをして、自分の前の人だけを見るよう意識して、列を客観的に見る時間も設定して・・・と、たくさんの段階を踏んで、やっとゴールにたどり着いた。
といっても、特定の並び方であればなんとかできた、ということ。ポーズを繰り出すのが得意な子を先頭にして、拍子を取るのが苦手な子を最後尾にして。開催月によって人数の差があったので、継続して練習できなかったことが大きな壁だった。それでも、ついてきてくれる優しい子どもたち。「先生好きやなあ」って。うん、好きだよって全力で肯定する。外から見ていたら、結構美しいから。


拍子を取れ、いや、取らせるな

①ペアで、両手に木を持ち、向かい合って立つ。
②打ち手と受け手を決める。
③打ち手は、拍子に合わせて受け手の木を打つ。
④受け手は、自分の持つ木をいろんな場所に動かす。
⑤いろんな動きができるよう、受け手がコントロールすること。

アルゴリズムダンスをしようと思ったら拍子を取れなかったので、なんとかしようと編み出したゲーム。ポーズを取る練習と、拍子を取る練習を兼ね備えたものだ。2人いればできるので、参加人数の少ない日に取り組むことが多かった。

始めは、受け手がひたすら逃げる というルールにしてみたら、全然打てなくて拍子を取る練習にならなかったので、却下。でも、逃げる方がおもしろかったらしく、子どもたちは笑いを押し殺しながら取り組んで、途中で我慢できずにストップ、なんてことにもなった。


繰り返しは大事だけど

こんな感じで、高学年は「ゲームを達成するためのゲーム」も多かったと思う。何かうまくいかないことがあれば、その前段階の経験が必要。でも、訓練的になったらおもしろくないので、新たなゲームを考えてやってみる。逆に、「倍数と公倍数」のように、一つのゲームが発展して作品のようになっていくこともある。時間や場所の制約も受けつつ、人数にも左右されつつ、やれることを模索していくのは低学年でも高学年でも同じだった。少し違うのは、子どもからアイデアをもらうこともあって、それが結構いい感じになるということ。ただ、うまくいったら子どものおかげだけれど、失敗したら大人の責任。そうすれば、何度もアイデアを出したりチャレンジしたりしてくれる。

高学年になっても「繰り返すこと」は大切。繰り返すことで、彼らの血となり肉となり、それが自信にもなり、外からも内からも彼らを支えてくれる。けれど、繰り返しを喜ばない年齢なので、マンネリ化すると「やらされてる感」がどうしても出てきてしまう。気だるい雰囲気が教室を包み込み、空気が重く薄くなる。そんなときは、本当に窓を開けて空気を入れ換え、仕切り直す。繰り返しであっても、ほんのちょっとのチャレンジやアレンジを加えるのが、とても大切なことだと思う。せめて「先生に協力してあげようかな」になるように。きっかけは協力だったとしても、体を動かせばすぐに楽しくなってくるから。


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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスで障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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