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活け〆「マツダイ」との邂逅 調理編。

補足。

調理編に移る前にちょっとした補足。この「活け〆マツダイ」宮城県石巻の「マルサイ西條水産」という会社から出荷されているそうだ。検索してもマツダイ込みの情報はヒットは少なく魚自体も纏まって漁獲されないため知名度の低さに拍車がかかってしまっているが7〜8月頃に出回るようだ。

マツダイの刺身。

最初はシンプルに。半身を背と腹に切り分け切りつけて皿に盛る。

マツダイの刺身。

食感はもちサクッとしており、歯で押すと優しく押し返してきて歯を立てると歯切れが良く繊維を断ちきる感覚が楽しめる。
淡泊であるが身に由来する旨みが感じられる。磯臭さが無いイシダイといった風味だ。咀嚼している内に体温と噛み砕かれる事によってじんわりと滲み出てくる脂質がなかなかに甘い。養殖の白身のような脂一辺倒という訳でもない。
後味もスッキリとしており単体でも美味しいが酢飯と握っても活きそうそうだ。

マツダイの縁側。

第二背鰭と尻鰭の付け根の筋肉が発達しており縁側もとれた。
コリコリと歯ごたえもよく身よりも甘みは強い。カレイやヒラメに比べて小さく食べでがないのが口惜しい。

マツダイの素揚げ。

次はとある事情により素揚げ。
もとは塩焼き用だったサクを衣をつけずに塩味だけで油へ投入。

こんがり完成。

魚好きのネット上のバイブル「ぼうずコンニャク」さんの味わいの項目では「熱を通しても強くしまらない」とあるが結構硬く締まった。
揚げたてでも顎に力を入れないとかみ切れず繊維質でギュッギュッというような食感だった。
ただ不味い訳ではなく生の時のような脂肪は感じられないものの噛みしめるたびに濃い魚の旨みがにじみ出てジャーキーのようになった。
ご飯よりお酒のアテだ。

マツダイの塩焼き。

梨子割りにした頭部やカマ、身に立て塩を振り一時間程放置。それをグリルの中にいれてじっくりと加熱する。

完成。

体高があるため頭が小さく見えるが切り離すと意外にも食べる部分が多く頭肉やカマなどの部分に肉が集中しており一食分なら満足な量が得られる。
揚げていない分水分は残ってはいるがこちらもやはり締まった。
ジャキジャキとした食感に淡泊な味わい。どことなく塩味の焼き鳥を食べている気分にもなるが時折見せるゼラチン質が魚を食べていることを思い出させる。

マツダイの中華蒸し。

最後は中華蒸し。後日手に入れた二匹目の頭やアラを野菜と一緒に紹興酒で蒸し醤油ベースのタレを投入したもの。

完成。

加熱すると繊維感の隙間が狭くなる身だ。身の中に味を染みこませるというより濃いタレを後付けで絡ませて食べるのが正解なのかなと思い、手探りでそれっぽく仕上げる。
結果としては成功。
身離れはよく食べやすい。どう味付けしても個性は消えないし馴染んでくれるので扱いやすくもある。身が硬く締まるため量が多いと顎が疲れるかもしれないがそこまで多く接する魚種でもないから余程じゃなければ気にならないだろう。

まとめ。

今回出会ったマツダイ。宮城あたりでは昔から食べられてきたようだが新潟ではまず食用として見かけない上知名度も低く珍しい魚だがそれが一尾ずつ丁寧に〆られ発泡スチロールに詰められ氷の布団をかけてもらっておりなんだか扱い方が異様だったが買ってみればその破格の待遇も分かるほど美味であるし食べ応えもあった。
捌く際の鱗の飛び散り方は他のタイと名のつく魚よりも頭一つ抜けているがマツダイを知ってて調理もできる人ならすき引きの技術も持っているだろうから問題ないとは思う。
今これを書いてる時期(2022,6,4)なのでこれから目にする事が増えるだろう。
これを読んでいる諸氏ももし鮮魚センターなどで見かけたら購入してみてほしい。
皮の面積も広くサイズもあるためこれは鞣してレザーにしようかと思う。

今回はここまで。また何か面白いものがあれば記事にしようかと思います。
評価や反応があれば体調に害のない範囲で体を張って無茶しようかと思っていますので感想などあればコメントに記載していただければまた頑張ります。

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