詠美

二十二歳

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二十二歳

最近の記事

散文 / 母は強し。世間が思う一千万倍。

私は常々、母と母方の祖母を通して「女性の役割」を考える。 私は実家に暮らしており、祖母の家は徒歩20分の場所にある為、週に5日は祖母の手料理を食べに行く。人に手料理を食べてもらうことが生きがいなの、と話す祖母に甘えて、最近では「美味しい」の一言もあまり言っていない。とことん甘えすぎている。 この前もいつも通り車で祖母の家に行き、父、母、弟、祖母、私の5人でご飯を食べていた。その日はたまたまお酒に合う料理かなんかで、両親と弟がお酒を飲む代わりに、唯一お酒を飲まない私が帰りの

    • 散文 / 銭湯が嫌い

      私は最低でも週に1度は銭湯に行く。 しかし、私は銭湯が嫌いだ。 週1銭湯生活を始めてもう2年くらい経つが、一向にあの異様な空間に慣れない。 みんな裸。みんなみんな裸。すっぽんぽん。きゃー そりゃそうだって感じだろうが、みんな裸であることに毎回新鮮に驚いてしまうのだ。 ここまで銭湯嫌いの私がなぜ嫌々毎週行ってるのかというと、交互浴は健康に良いという情報をキャッチした母と祖母に連れられてるのと、私自身もダイエットや美容に良さそうという根拠のない美意識に囚われてるからだ。書き

      • 散文 / 忘れえぬ人々

        国木田独歩は自身の著書『忘れえぬ人々』の中で、自分との接点が全くない赤の他人ほど強く記憶に残るものだと述べている。 私は名前の付かないその現象にとても共感した。 赤の他人がいることによって完成される情景があるからだろうか。 ••┈┈┈┈┈┈┈•• 私の中にもやはり『忘れえぬ人々』がいる。 近鉄名古屋行き、その文字だけを目で追いながら伊勢駅内を走る。家族旅行の途中に私だけ急いで名古屋に向かっていたのは、どうしても休めなかったアルバイトに行くためだった。あえて窓側の指定席を

        • 散文 / 沈む。

          ここは暗くて寂しい深い海。 今は脱力して、もういっそのこと沈もう。 そうしたらだんだん浮いてくると期待して。 私の静かな海はいつもうるさい。 いつ静かになるのか。 私が眠った時と、死んだ時だけだ。   真っ暗な部屋でただただベッドに落ちていく私へ 何もやる気が出なくて、意味の持たない涙が流れてる、ただただ沈んでいく瞬間をもう悲しまないで。

        散文 / 母は強し。世間が思う一千万倍。

          散文 / サマーニットっていつ着るの。

          「昨日は汗ばむような暑さでしたが、今日は打って変わって一日中肌寒い日となりそうです。秋らしい気温になってきましたね。」 最近デビューしたらしい現役女子大生のお天気キャスターは黄色のカーディガンを着ていた。 幸い今日は2限からだから服に悩む時間がある。 夏休みのうちに買っておいたクロップド丈のサマーニットを手に取って、また戻すのはもう5回目だ。 今日こそは、と思った日に限ってテレビのお姉さんの言葉がチラつく。タイトなニットは真夏に着ると汗が張り付いて気持ち悪いし、半袖だから

          散文 / サマーニットっていつ着るの。