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捨て鉢
2024年6月26日 06:16
空のように透明で、ハチドリの羽のように軽い。あたりをふわふわとただよって、風に吹かれれば移動する。 彼はただそんな存在でした。 彼にはっきりとしたむずかしいことはわかりません。朝日はきれいで、夜は暗くてこわい。わかるのはそのくらいのことだけ。 体の真ん中には青いビー玉を抱えていました。 ビー玉の中にはこまかい空気の粒が星のようにうかんでいて、それが彼のたったひとつのたいせつな持ち物で
2024年1月28日 11:22
ほかのみんなに比べて、彼のすがたはとてもいびつでした。 岩のようなからだは見上げるほど大きく、皮膚はウロコのように硬く、鼻はつぶれ息をするたびに煩わしい音が漏れています。口は不恰好にゆがんでいて、とがった歯はばらばらに並んでいました。 そんな見た目をみんながこわがったので、彼は町に住むことができず、仕方がなく森の中でひとりで暮らすことにしました。 森の端のほうに小屋を建て、木の実や小