メキシコ経済の今:注目すべき成長市場の可能性
地理的な優位性と若年層の豊富な労働力を活かし、世界的に注目を集める成長市場としての地位を確立しているメキシコ。
アメリカとの強固な貿易関係や急速に進展するデジタル技術により、メキシコは特に製造業やテクノロジー分野で、海外企業にとって大きな可能性を秘めています。
本記事では、メキシコのマクロ経済を通して、なぜ今、日本企業がこの国に目を向けるべきか、その理由とビジネスチャンスについて掘り下げます。
1. 人口動態
以前上の記事にも投稿しましたが、メキシコは日本と総人口はほぼ同じで、2023年時点で約1億2,950万人の人口を抱えており、日本と比較にメキシコは若年層が多い国です。平均年齢は29歳と非常に若く、日本の49歳と比べて生産年齢層が厚いことが特徴です。15歳から64歳までの生産人口の割合は67.39%で、経済において活発な労働力を供給しています。
また、デジタルネイティブの若者が急増しており、コロナ中のEコマースの波によりスマートフォンの普及率やモバイルインターネットのアクセスも急激に増加しています。
メキシコのスマートフォン市場は、ラテンアメリカではブラジルに次いで2番目に大きく、メキシコは5Gネットワークの商用化を地域内でいち早く実施し、2021年にはインターネット利用者が8,860万人に達し、人口の75.6%が利用しています。
このように、メキシコは、若年層の豊富な労働力と急速に進展するデジタルインフラによって、経済成長の大きなポテンシャルを持つ国です。
2.経済指標
2023年のメキシコのGDPは約1.79兆ドルで、一人当たりGDPは15,563ドルとなっており、世界66位に位置しています。日本と比較すると、メキシコの経済規模は日本の約4.21兆ドルに対して小さいですが、実質GDP成長率はメキシコが3.7%と日本の0.7%を大きく上回っています。メキシコは経済成長を続ける新興国として注目されています。
3. 地理的優位性と貿易
メキシコの地理的優位性は、アメリカ合衆国との貿易関係に深く関連しています。2020年に締結されたUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の恩恵を受け、米国との貿易額は増加を続けています。2022年には、米国がメキシコから輸入した金額は4,550億ドルに達し、メキシコは米国にとって最大の輸入相手国となりました。前年比で19%近く、2012年比では64%増加しました。
また、テスラやBMWといったグローバル企業がメキシコにEV生産の拠点を設け、ニアショアリングの影響で製造業の成長が加速しています。
4.最低賃金の上昇と購買力の増加
メキシコの最低賃金は2022年に22%上昇し、OECD加盟国の中でも最も急激に上昇した国の一つです。2018年には4.4%の上昇に留まっていたことを考えると、最近の賃金上昇は顕著です。これにより、購買力の増加が進み、国民の生活水準も向上しています。
5.南米市場へのゲートウェイ
以前の記事で書かれているように、ラテンアメリカでの起業家があつまるメキシコは、南米市場へのゲートウェイとしても重要な役割を果たしています。
政治的な理由で母国で起業しづらい
母国の市場が小さい
スペイン語が通じる
という3つの理由から、スペイン語圏ラテンアメリカにおいてメキシコは魅力的な土地となっています。
また、メキシコは大西洋と太平洋に面した港湾施設が整備されており、スエズ運河やパナマ運河における地政学的問題や気候災害の影響がない点もメリットとして挙げられます。
メキシコは特に人工知能(AI)の分野では、ラテンアメリカ全体におけるリーダー的存在となりつつあり、今後の成長が期待されています。
まとめ
メキシコは、地理的な優位性や豊富な若年労働力、急速に成長するデジタル技術によって、世界の成長市場として注目されています。アメリカとの貿易関係やニアショアリングの恩恵を受ける製造業の発展、さらに中南米市場へのゲートウェイとしての役割も強化されています。こうした背景の中で、メキシコは日本の中小企業やスタートアップにとって、大きなビジネスチャンスを提供しています。
次回はメキシコスタートアップの特徴について掘り下げていきたいと思います!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?