中南米におけるスタートアップエコシステムのハブとしてのメキシコ②:地の利
メキシコのスタートアップエコシステムの具体的にどのあたりが魅力なのかを見ていくシリーズ第二回、前回の記事では人材が豊富であることを解説しましたが、今日は地の利についてです。
スタートアップエコシステムの本家本元、アメリカに近い
インターネットで物理的な距離があまり関係なくなった現代とはいえ、地理的な要素は経済にとってとても大切です。
やはり人間、近くにあるものに対して臨場感が湧くし、一緒に何かをしたいと思うものです。
その意味で、メキシコは絶好の地理的条件を有しています。
まずアメリカと国境を接しています。ので、メキシコでスタートアップが何かイケてる商品やサービスを創ったらすぐアメリカに売ることができます。
(日本の自動車メーカーはメキシコで完成車を作ってアメリカに売る、というビジネスを展開しおり、日本の自動車メーカーに部品を供給するいわゆるTier2,Tier3と呼ばれる企業も集積しています)
また、メキシコに良いスタートアップが現れたらシリコンバレーからすぐ投資家が足を運んで見に来ることができます。
やはり、スタートアップエコシステムの本家本元のシリコンバレーには投資家も集まっており、彼らがすぐに足を運べるという地理的条件はとても有利です。
やはり、世界最強の経済大国であり、スタートアップの本場であるアメリカに近いというのはデカい。
企業の中南米へのエントリーポイント
また、多くの企業にとって、中南米へのエントリーポイントになります。日本企業やアジアの他の起業が中南米に進出するとしたら、まずはメキシコ、というところが多いでしょう。
メキシコからカリブ海諸国にも展開しやすいです。
大企業が集まりやすい、ということは、彼らに対してサービスを提供するスタートアップも生まれやすかったり、彼らから投資を受けることができるスタートアップも多くなる、ということになります。
大企業とスタートアップの協業、いわゆるオープンイノベーションが起こりやすい地理的条件も有しています。
地政学リスクが少ない
最後に、最近言われていることですが、地政学リスクが少ないと言われています。
新興国としては他に東南アジアや東欧が挙げられるかと思いますが、最近の不穏な国際情勢から、東南アジアや東欧は地政学リスクが高いと言われるようになっていると思います。
一方、中南米は、治安は良くないものの、地政学リスクは比較的少なそうです。大きな戦争や紛争が起こっても、巻き込まれにくい地理的条件を有していそうです。
(南北アメリカにおいてはアメリカが唯一の軍事大国であるという理由や、南北アメリカが他の大陸とかなり離れている、という理由がありそうです。)
地の利を生かしたスタートアップを
このように、メキシコは地理的に有利な条件をいくつか持っています。治安や格差といった課題を乗り越えて経済成長の軌道に乗ることが期待されており、PwCのレポートによると、2050年にはGDPが日本を抜くと予想されています。
そんなメキシコで地の利を生かしたスタートアップをやるのも面白いのかもしれません。
注)本記事はJICAの公式見解ではなく、専門家個人の見解、所管です
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