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「セグメント」の概念の認識揃えたいから、4つのレイヤーに整理してみる

会社の中でも「セグメント」っていろんな概念で使われるなと思ったので自分の中で整理をば。

個人的には大きく4レイヤーのセグメントを扱っているなと感じております。

1. サービス/プロダクトのコンセプト策定のためのセグメント
2. UX設計のためのセグメント
3. チャネルベース(主にプロモーション)のセグメント(ex. 顕在〜潜在)
4. コンテンツのセグメント(ex. 価値観)

それぞれ下記にて整理してみます。

1. サービス/プロダクトのコンセプト策定の上でのセグメント

サービス/事業コンセプトのを決定する上でのセグメント。

最初に考えるのは「セグメント」というよりは「状況」ですね。クリステンセンの広めたジョブ理論の話。ミルクシェイクの話が有名です。

ミルクシェイクの売上をあげるために捉えるべき状況は?
顧客がどういったJTBD(片づけるべき用事)のためにミルクシェイクを雇っているのかを調査した。今回採ったのは、来店客をひたすら観察する手法だ。観察の結果、朝9時までにミルクシェイクを買う客が大半を占めることがわかった。しかもほとんどがテイクアウトであった。購入者になぜミルクシェイクを買ったのかを尋ねると、車での通勤時間が長く退屈なので、車の中で楽しめるものが欲しかったということがわかった。
ベーグルやコーヒーも試したが、車の中を汚す心配があったし、長持ちしなかったのでミルクシェイクに行き着いたということであった。車通勤中の暇つぶしになり、小腹を満たすという仕事(JTBD)を解決するためにミルクシェイクを雇ったという予想外の事実が判明した。
参考: https://contentmarketinglab.jp/application-method/job-to-be-done-1/


上記を踏まえた上で、「セグメント」という観点が出てくるのは競合との立ち位置を考えるとき。

下記2点の観点から捉えています。(というか上記状況と下記2点の繰り返し作業を行いながら方針を具体化していくイメージ)

1. どの市場を捉えて(誰を競合と捉えるか)
2. どの切り口で(何を価値として)

このあたりは超難しく面白みがあります。「アンカリング」で以前記載した記事(その際はUX戦略、と記載しましたがわかりやすいように「コンセプト」と今回は名付けています。)に面白さを描いてます。

上記で出した話は、例えば近年の投資系のサービスをどう捉えるかで、コンセプト/切り口が変わってきそうという話。
i). 「1. 投資市場」を捉えて「2. 簡単な/気軽な投資」という切り口で入り込む
ii). 「1. 貯金市場」を捉えて、「2. 少しリスクはあるけどリターンの大きい貯金」という切り口で入り込む

どんな新しいサービスでも「代替の行為」があるのでそれを見逃さない、ってのが市場を捉える上で大事だったり。「インサイト」はこのレイヤーで捉えられると良い。(ex. ファブリーズなど)
価格帯などはこの「市場」次第で変わってくるので、まさにコンセプト(UX戦略)はマーケの4P全体を司っている感じですね。


2. UX設計のセグメント

個人的には西口さんのフレームとか近いです。

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参考: https://markezine.jp/article/detail/30846

このあたりはD2Cとかサブスクリプションの概念とかなり繋がるのですが、
認知〜継続利用までの体験のなかで、「一握りの重要な顧客とのつながり」を如何に形成していくかを考えるためのセグメントです。

検討すべきは
1. 一握りの重要な顧客は誰か/価値・状況の理解
2. 再現性を持って上記を作っていくために、認知〜利用初期〜継続でどのような体験を提供すべきか(ロイヤル化までのモデル化 / 長期体験設計)

この概念はややイメージしづらいかもなのでもう少し補足。
売上を「顧客×LTV」で捉えると、売上は概ねパレートの法則(2割の顧客が8割の売上を作る)に従います。(多分)

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故に「買ってくれるけどロイヤル化していない(8割)」顧客への注力の仕方はかなり注意が必要です。本来「価値提供ができない人」に買わせてしまう可能性も含みますからね。(最近はサブスクリプションが台頭したことで、この概念は少しイメージ付きやすくなっているはず。)

「既にロイヤル化している人」は継続的な施策を提供するとして、
「非ロイヤル層」の中から「ロイヤル潜在層」にきちんとリーチし、「認知」から「ロイヤル化」までのストーリーを踏まえた打ち手の検討重要です。


3. チャネルベース(主にプロモーション)のセグメント

3と4のセグメントは、より一般的な概念かもしれないです。
どちらかと言うと「チャネル」主体の考え方。個々のチャネルを考えると、チャネルに接触するユーザのステージは様々。

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下記2点を考えることが多い気がしています。
1. 購買までの検討深度(潜在〜顕在(興味喚起〜選択〜購買、など)
2. 顧客の属性

ただ上記に捉われず、コミュニケーションを考える上では下記3つで分けた上で軸を抽出するのが経験上良いです。
1. 「今確実に取れる人は誰か」→ コミュニケーション雑でもほぼ取れる
2. 「絶対取れない人は誰か」→ 頑張っても取れない
3. 「曖昧なところだけど粘れば取れる人は誰か」 → コミュニケーション頑張るポイント

4. コンテンツのセグメント

「価値観」や「ライフスタイル」のようなセグメントです。これらのセグメントは「コンテンツで刺しに行く」ときに特に有効だと思っています。

例えばメディア系。サービス自体のターゲットは「1」のセグメントによって決まりますが、特に規模の大きいメディアだと「1」はかなりバックリしてしまうので、具体性が必要となるケースが様々ですよね。そのときの指針になるイメージです。

小言: 正直自分はこのセグメントの意味合いが全くわかっていなかったのですが、最近ようやく理解が追いつきました 笑

広告を出す際のボリューム算定や、記事を書くときのペルソナ設定など使われ方は様々ですが個人的には「コンテンツ」に惹かれても結局は「プラットフォーム」への吸着がなければ意味がないと思っているため、このタイプのセグメントに対して時間を割いて良いのはかなりサービスのコンセプトがきちんと固まった企業だけだと思っています。結局両側考えることにはなると思うんですけどね…

まとめ

以上が私が話をする際に良く出てくるセグメントの種類です。完全に私の整理の仕方ですが。

論点に応じてきちんと使い分けられると良い気がしています。

<追記1: セグメントなんて正直分けなくて良い>

なんとなくセグメントってファンシーなので、セグメントに分けることが目的になることもちらほら見受けられますが、正直気をつけないとです。「注力すべき対象をシャープにすること」や「思考に漏れがないか」を確認することが目的だったりするので、セグメント作ろう!とか思うとバグると思ってます。

顧客の分類なんて、「"あ"が付く人」「"い"が付く人」とかでもできるわけで、分けることに意味は無いはず。意味のある分類であれば注力しても良いとは思うのですが、分類自体に本来意味はないです。

<追記2: よくある、地理的データや年齢・性別による分類について>

セグメント、というと年齢・性別・地理など、そういった属性で分けることが多いですよね。個人的に上記の分け方はマスマーケの弊害です。

上記でも述べたとおり、「意味のある分類」であればいいんですけどね。20代男性みんなターゲットのサービスなど無いわけで。

ターゲットが決まった上で、含有率が最も高い領域が20代男性だった、という順序ならわかりますが、はじめから20代男性がターゲット!などはあまりないよなーと思います。

リアルのサービスや言語上の障壁などあれば地域などでの分けもわかりますが、どちらかと言うと前提条件ですよね。


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