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月の初めに思うこと

11月になった途端、
街中で流れ始めるクリスマスソングがちょっと苦手だ。


毎年そう思っていたけれど、
今年は以前ほどではないかもしれない。
(もうクリスマス!年末!っていう気分にはなってしまうけど)


例えばこの時期に店頭にあるクリスマスのオーナメントは、見てて可愛いし心が浮きたつ。


11月から始まる師走感は、
少し焦らされるような、普段意識しない時間がより大切に思えるような、そんな気持ちを抱かせる。

あと2ヶ月!って思うと「本当に一年って365日なんだろうか」と疑いたくなったりもする。
(もっと日数が少ないような)
光陰矢のごとし。
そんなことわざを妙に実感するのもこの頃だ。


そんななか、
『ムーミン谷の十一月』という本を見つけて読んでみた。

(この前、家の本棚を整理したときに発見したのだ)

ムーミンシリーズはコミックスで全巻揃えてて、小説を持ってることは自分でも知らなかった。

知らなかったというと変だけど、クローゼット内の本棚は混沌としていて、(だいぶ整理はしたのだけど) 持ってるのを忘れて図書館で借りてきたりする。買ったのを忘れて2冊持ってる本もたまにある……


物語は、スナフキンが旅にでるところから始まる。


森にかくれて、すっかりひとりぼっちになってしまったスナフキンは、なんともいえない、なごやかな気持ちになりました。


読み返してみて分かったけれど、
この本にムーミン一家は登場しない。
みんな会いたがって家におしかけるのに、肝心のムーミンたちは旅に出ていて留守なのだ。


その代わりに登場するのが、スナフキンやミムラや、ヘムレンやフィリフヨンカ。

特にフィリフヨンカはコミックスだと神経質で掃除好きなだけに見えてしまうけど、小説だとその内面が語られて面白い。

スナフキンの自由さやミムラの屈託のなさも。
(ミムラはいつも恋に恋する乙女の印象だったけど、小説は違う魅力がある)


本(特にムーミンシリーズなんか)を読むと、
日常のせわしなさを忘れられる。

この辺りに読書の効用があるんだろうなと思う。


ムーミンの魅力は、それぞれの登場人物が思い思いに日々を過ごしているところだ。

そこには憂鬱や寂しさも紛れ込んでいるけれど、つかず離れずの距離で繋がりあいながら、それぞれの一日を過ごしていく。


なんでもないことのようなのに、みんな独特の個性があって「いいな」と思わされるのだ。


例えばミムラの、

橋の上にねそべって、流れていく水をながめるのもいいものだわ。思いっきり走ってみるのも、赤い長ぐつをはいて、ジャブジャブ沼をわたるのも気持ちがいいわ。からだをまるめて、屋根の上の雨の音に、じっと耳をすますのもいいものよ。たのしくすごすって、ほんとにわけのないことよ。


なんて言葉とか、スナフキンの、


「あんまり、おおげさに考えすぎないようにしろよ。なんでも、大きくしすぎちゃ、だめだぜ」


なんて台詞も光る。


そして私はムーミンのことを妖精だと思っていたけど、ムーミンはスウェーデン語で「バーレルセル」というものだそうだ。
日本語にすると、「存在するもの」
「たしかに、いることはいるんだけれども、なんといいあらわしていいのかわからないもの」らしい。深い……


11月は少し遠くの図書館に行ってみる予定。
(楽しみ)



体調に気をつけながら、これからも書いたり読んだりしていきたい。




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