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短歌note/夏の空

見失う言葉は今も過去だけを照らし続けて真空の海

唇に触れた指先溶けてゆく言葉は今も希釈されずに

流星はさびしからずや誰の目に留まることなく夜を切り裂く

甘やかな夢の余韻は儚くて光のどけき春に逢えたら


久しぶりに雨が降って涼しい。
夏の雨のことを「夏ぐれ」っていうんだね。
夏真っ盛りに降るにわか雨。


夏の語源には、「あつ」とか「熱」があるけど、
一説によると「撫づ」から来ているとか。
昔の人は撫でるという行為は生命力を高めると考えていたらしい。
夏の風に撫でられた苗が育つように、
願いが込められていたのかな。

他の語源に「なる」もあるから、あながち間違っていないのかも。


そういえば入道雲にもたくさん異称があって、
人の名前みたいでどれも面白かった。

坂東太郎とか奈良次郎とか、
和泉小次郎とか四国三郎とか……

入道雲が発生する方角や地名が、そのまま異称になったそう。


発達した積乱雲が青空に映える様子は、
夏ならではだと思う。その景色を見るたびに、
昔の人は親しく呼びかけたのかもと思うと、なんだか心愉しいような。

物に名前を付けるのは、
それを自分のなかに取り込む行為なんだと思う。
だから誰かの名前を知ったり、呼んだりすることは、とても大きな意味があったんだろうな、とも。

ぐんと時代を遡れば、
名前を知ることが求婚の意味になるくらいだったのだから。


物の名前を知ることは、
世界の解像度を上げて、自分との繋がりを深くしていく。


そんなことを思いながら、
夏空に想いを馳せてみたい。

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