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最近読んだ本のこと
エッセイが好きで、よく読む方だと思う。
面白いエッセイといえば、三浦しをん先生(選評を戴いたことがあるから先生としか呼べない)や、朝井リョウさんが思い浮かぶ。
最近だと、武田砂鉄さん辺りも気になってる。
(今度読んでみる予定)
この前読んで、とても面白いなと思ったのは、
吉川トリコさんのエッセイ。
タイトルの通り、女性にまつわるエピソードが多いのだけど、何が面白いって軽快な語り口だ。
無心に読んでいて思わず吹きだしてしまう語りのオンパレードだった。
何も考えたくないとき、それでも何かを読みたいときに、エッセイはうってつけだと思う。
時折自虐も混ざるのだけど、それも自分を全肯定(大人目線で)しているから出てくる言葉なんだと分かる。
「おしゃべりな文体」だとあとがきにあるけれど、直に著者から語りかけられる感覚を得られるのが、一番の魅力だと思う。
女性でいることの楽しさを思いださせてくれる一冊だ。
*
続いて、読み終えたのはこの本。
たまに「これは映画で観たいな」と思う小説があるのだけど、これもそんな物語だった。
ラップで交わされる親子対決。
そこに至るまでの過程もすごく面白い。
主人公はタイトルにある通り「お母さん」なのだけど、母親と息子というのは(母娘という関係同様)ままならないものだな、と思う。
「レペゼン母」である明子は、ラップバトルを通して息子の雄大に向き合っていく。
「対戦するって、相手のことを想像して、相手の立場になりきることなんだと思う。本当の勝負って、相手を理解することなんじゃないかな」
最後の最後までハラハラさせられるけど、
とにかく「対決できてよかった」というひと言に尽きる。
ラップバトルという世界も味わえて、
その下地をベースに描かれた家族小説とも読める。
読者を知らない世界に誘いだしてくれるのが、物語の醍醐味なのだと思わされた。
最後の場面もとても好き。
混沌のなかに希望を見出すのは簡単なことではないけれど、それを重層的に編まれたストーリーで実現していて、(デビュー作とは思えないほど) すごく書ける人だと分かる。
うーん、映画化してほしいな。
ラップバトルを生で観てみたい。
*
今日読んだ、最後の一冊はこの本。
江國香織さんの本を読むのは久しぶりで、
長編小説かと思ったら、超短編集(とてもたくさんの人の日常)を集めた物語だった。
個人的には、
「この人の続きはどうなるんだろう」と思ってそれを追いたくなった。
数ページだけで二度と出てこない人もいたり、少し出てくる人もいたり。
外国の映画を観ているような感じ。
なかでも印象的だったのは、会社をズル休みしてしまう女の子の一人称。
(長くなるから引用は省くけど)
連続ドラマに出てくる人々が人生を生きてくれるから、何もしなくていいという語り。
あまり見ない小説というか、
江國香織さんだからできることなんだろうなと思った。
人々は生きて、死んでいって、たまに死んでる人もいて、それでも日常のセンテンスが時折光って見えるような。
(出てくる人が多すぎて、覚えきれなかったけど)
今日は昨日に引き続き風邪気味で、
眠ったり読書したりしていた。
そういう怠惰な一日がもっと必要なのかもしれない。
物語を創るには「空白」や「余白」が必要で、風邪をひくこと自体、休暇を求めている気がする。
(読書はしてしまうけど)
明日図書館に行ったらまたお休みだから、
今日は早寝するつもり。
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