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最近読んだ本のこと

エッセイが好きで、よく読む方だと思う。

面白いエッセイといえば、三浦しをん先生(選評を戴いたことがあるから先生としか呼べない)や、朝井リョウさんが思い浮かぶ。
最近だと、武田砂鉄さん辺りも気になってる。
(今度読んでみる予定)


この前読んで、とても面白いなと思ったのは、
吉川トリコさんのエッセイ。




タイトルの通り、女性にまつわるエピソードが多いのだけど、何が面白いって軽快な語り口だ。 

無心に読んでいて思わず吹きだしてしまう語りのオンパレードだった。

何も考えたくないとき、それでも何かを読みたいときに、エッセイはうってつけだと思う。
時折自虐も混ざるのだけど、それも自分を全肯定(大人目線で)しているから出てくる言葉なんだと分かる。

「おしゃべりな文体」だとあとがきにあるけれど、直に著者から語りかけられる感覚を得られるのが、一番の魅力だと思う。

女性でいることの楽しさを思いださせてくれる一冊だ。


続いて、読み終えたのはこの本。



たまに「これは映画で観たいな」と思う小説があるのだけど、これもそんな物語だった。


ラップで交わされる親子対決。
そこに至るまでの過程もすごく面白い。


主人公はタイトルにある通り「お母さん」なのだけど、母親と息子というのは(母娘という関係同様)ままならないものだな、と思う。

「レペゼン母」である明子は、ラップバトルを通して息子の雄大に向き合っていく。


「対戦するって、相手のことを想像して、相手の立場になりきることなんだと思う。本当の勝負って、相手を理解することなんじゃないかな」


最後の最後までハラハラさせられるけど、
とにかく「対決できてよかった」というひと言に尽きる。

ラップバトルという世界も味わえて、
その下地をベースに描かれた家族小説とも読める。


読者を知らない世界に誘いだしてくれるのが、物語の醍醐味なのだと思わされた。

最後の場面もとても好き。
混沌のなかに希望を見出すのは簡単なことではないけれど、それを重層的に編まれたストーリーで実現していて、(デビュー作とは思えないほど) すごく書ける人だと分かる。

うーん、映画化してほしいな。
ラップバトルを生で観てみたい。


今日読んだ、最後の一冊はこの本。




江國香織さんの本を読むのは久しぶりで、
長編小説かと思ったら、超短編集(とてもたくさんの人の日常)を集めた物語だった。

個人的には、
「この人の続きはどうなるんだろう」と思ってそれを追いたくなった。
数ページだけで二度と出てこない人もいたり、少し出てくる人もいたり。


外国の映画を観ているような感じ。
なかでも印象的だったのは、会社をズル休みしてしまう女の子の一人称。

(長くなるから引用は省くけど)
連続ドラマに出てくる人々が人生を生きてくれるから、何もしなくていいという語り。


あまり見ない小説というか、
江國香織さんだからできることなんだろうなと思った。

人々は生きて、死んでいって、たまに死んでる人もいて、それでも日常のセンテンスが時折光って見えるような。
(出てくる人が多すぎて、覚えきれなかったけど)



今日は昨日に引き続き風邪気味で、
眠ったり読書したりしていた。


そういう怠惰な一日がもっと必要なのかもしれない。

物語を創るには「空白」や「余白」が必要で、風邪をひくこと自体、休暇を求めている気がする。
(読書はしてしまうけど)


明日図書館に行ったらまたお休みだから、
今日は早寝するつもり。




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