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[スタートアップとは違う]大手企業における新規事業の進め方

こんにちは。
株式会社スターク・インダストリーズの金本です。
 
今回は、「大手企業における新規事業の進め方」について、お話をさせて頂ければと思います。

なぜ新規事業に取り組まなければいけないのか?

 まず、そもそもなぜ企業が新規事業に取り組まなければいけないか?という点ですが、これは一言で申し上げると「世の中の変化に対応していくため」になります。現代経営学の発明者とされるピーター・F・ドラッカーは「企業の目的=顧客の創造」だとしていますが、企業が成長していくためには顧客を創造し続けていかなければならないですし、また、持続的に存続し続けるためには、社会と顧客のニーズの変化に対応していく必要があります。一方で近年のインターネットの普及やハードウェア/ソフトウェア技術の発展により、人々のライフスタイルや趣味・嗜好の変化・多様化が顕著になっていることは周知の事実かと思いますし、この変化に対応し続けることが企業の至上命題ともいえます。

 日本国内においてもこの変化への対応に対する危機意識は高まっており、特にデジタル技術を活用した企業の変革に対する課題感から、経済産業省が『DX推進ガイドライン』にてDX(デジタルトランスフォーメーション)を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義しています。この言葉の中には様々な背景情報が含められており、私なりの解釈としては、以下のスライドに記述したようなものになるかと思います。また、ここでの重要なことは単なるデジタル化をゴールにするのではなく、「競争上の優位性を確立すること」と定義されていることです。紙文書のデータ化や社内の業務プロセス自動化といったコスト削減や効率化に止まらず、顧客接点やプロダクト/サービスにデジタル技術を巧みに組み込み、新たな顧客を創出し続けていくことがまさにDXの本丸と言っても過言ではないと思います。


スタートアップと大手企業における新規事業の違い

 さて、新規事業に取り組むのは、「世の中の変化に対応し顧客を創造し続けるため」としましたが、大手企業の新規事業についてサポートさせて頂く場合、必ずお伝えしているのが「自社のユニークバリューを定義すること」の重要性になります。ゼロからスタートするスタートアップとは異なり、収益性のある既存事業をもつ企業においては基本的にはその既存事業における強みを活かすことで事業の成功確率を上げることができます。これは学術的にも提唱されていることで、例えば、有名なアンゾフの「製品・市場マトリックス」についても既存事業の強みを活かし、製品に強みがあるのであればその製品を異なる市場に展開したり、販売チャネルに強みがあるのであればそこに異なる製品を投入するといった戦略をとっていくのが成功確率を上げていくことにつながるとされています。また、バーニーの「RBV(リソース・ベースド・ビュー)」は企業の内部資源に競争優位性を求めるアプローチであり、「VRIO分析フレームワーク」を用いて自社のもつ経営資源を「経済価値」、「希少性」、「模倣困難性」、「組織」といった観点で評価することにより、自社の強みや課題を明確化したうえで事業展開していくことが持続的な競争優位性を築いていくことにつながるとされています。

 このユニークバリューを定義することに実は苦労されている企業が少なくありません。理由として、自社の強みを客観的に評価することが難しいということと、そのユニークバリューを「新規事業を検討するうえでの適切な粒度」で定義することが難しいということです。例えば、とあるお客様との話の中では自社の強みについて「業界No.1であること」や「信頼と実績」といったことを挙げられているお客様がいましたが、これは結果としてそうであるだけなので、その結果につながっている要因について、もう2~3段階はブレイクダウンしていく必要があります。
 

デジタル技術と新規事業の関係性

 昨今、大手企業を中心にどの企業においても「DX」という冠がついた部署が存在しますが、AIやクラウド等の特定の技術の導入を目的としてしまっているケースが少なくありません。なぜこれがダメかというと、デジタル技術はどこまでいっても「How」であり、提供価値そのものであるプロダクト/サービスといった「What」ではないからです。前述したユニークバリューの重要性はここに帰結するものであり、いくらHowを磨いても、提供価値自体にユニークバリューがないと顧客は購入してくれず、また、競合他社にも簡単に顧客を奪われてしまいます。

 このように自社のユニークバリューを適切に定義し、デジタル技術を組み合わせていくことが昨今の新規事業においては重要かつ成功要因となっていますが、これを自社内にて推進できる人材を育てるには多くの時間と試行錯誤を要するため、我々スターク・インダストリーズのようなビジネス/技術の両面での知見がある外部アドバイザリーが必要とされるケースが多いです。
 

まとめ

・大手企業は自社のユニークバリューに基づいた新規事業を検討することで成功確度を高めることにつながる。
・ユニークバリューの定義にあたっては適切な粒度で定義することが重要。
・デジタル技術は自社の価値を提供するにあたってのHowを実現するものであり目的そのものではない。
 

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