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インドの会社には社員のエンゲージメントを高めるヒントがたくさんあった


今の日本の労働環境を完全に把握できている訳ではないが、一旦日本の会社に入ると毎日働き詰めで疲弊→限界を迎える→退職or休職するを繰り返すというイメージがある。

インド人の知り合いで日本のことをよく知ってる人にも、「日本の労働時間ってクレイジーなんだよね?日本人は12時間ぶっ通しでずっと働いているって聞くよ」なんて言われたりする。

そうだね、ここで残業している人たちあまり見ないもんね。
そんな持続性のない日本人の働き方を知っている自分から見て、勤めていたインドの会社は働き方に関するヒントをもらえる部分がたくさんあったので、思いつくだけ書き留めてみる。

プロセス<成果


基本的に成果主義で、プロセスの評価やマイクロマネジメントはしない。

始業時間と終業時間も自由で、在宅勤務の不可も個々のマネージャーとの間で決められるので全体のルールは決められておらず、
子供を迎えに行くから早めに帰宅するだったり、家族を病院に連れて行くから出社が遅れるだったり、当たり前のように家族>仕事という優先順位で物事が動いていく。

ラップトップさえあれば大抵の仕事ができてしまうことや、オフィスの席数が従業員より少なく全員来られても困るからという理由もあって、場所と時間に関してかなりフレキシブルな働き方をしている。

社員の雰囲気、人間関係

以前日本で勤めていた会社は、気の難しい部長にみんな過剰に気を遣いながら、問題を起こさないように仕事するといった、お世辞にも良い雰囲気とは言えない環境で仕事をしていた。
比較対象がそこしかないので何とも言えないが、インドの会社の社員は楽しそうというかみんな意欲的に働いていて、私も以前のように日曜の夕方から会社のことを考えて気分が沈む、なんてことがそう言えば無かった。

また、上司と部下の上下関係がそんなに厳しくないので、年齢や社歴は違えど、友達というか一緒に働くチームメイトのような関係性で、義務的に会社に行くというよりは、もはや友達に会いに行くからオフィスに行く感覚の人もいた。

別に皆やることがない訳ではなく、それぞれがいっぱいタスクを背負っているが、チームメイトにもクライアントに対しても、過剰な焦りと責任がなく、あくまで自分ができる精一杯のパフォーマンスをする。できないことは頑張らないというスタンスだった。
また「私がこんなに頑張ってるのに、何であいつはいつもサボってるんだ!」などと人に干渉したりもしない。

他人から小言を言われるストレスがないと、社内での居心地も良く、仕事のパフォーマンスも上がる(気がする)。
人間関係に関して、インドはストレスフリーな会社が多いと思う。(他の理由で日本人がストレスを感じる点は多々あるが、、、)
みんな意欲的に働く姿を見て、自分もモチベーションが上がることが多かった。

社内イベントあれこれ


会社はインドの各都市に支店があるが、本社のデリーにはHRやファイナンスなどのバックオフィス系の人が多い。
オフィスには常に大勢の社員がいて、賑やかだ。
HR主導の社内イベントや社員のエンゲージメントを高めるための工夫で盛りだくさんだった。

イベントごとは、日本だと「そんなことしている余裕はない」と渋々参加する雰囲気になりそうだが、インド人はイベントに対する熱量がすごい。

Employee/Team Appreciation
一緒に働いた同僚やお客さんから送られた賞賛のメッセージが定期的にメールで送られる。内容は「〇〇さんから〇〇さんへ、このプロジェクトの際によく働いてくれました。ありがとう。」のような感じ。社員が1000人近くいるが、全員に一斉送信されていた。

Annual Event
日本語でいう決起集会という位置付けになるのかな?
1年に一度、社員全員で前年度の達成度発表や年度目標などの意識合わせをするイベントだ。
昨年は、社員全員ムンバイの高級ホテルに泊まり(どこからそんな予算が出てくるのかは不明笑)、ド派手なもてなしを受けた。
前年度良い成績を残した人や会社に貢献した人がみんなの前で表彰され、トロフィーなどももらえる。

そして皆が楽しみにしているのは、パフォーマンスの時間。この日のためにみんな3ヶ月前ほどから仕事の合間にチームでダンスの練習をする(気合い入りすぎ笑)
みっちり練習しているだけあって、どのブランチのチームもかなりクオリティが高いダンスを披露する。

パーティではとにかく踊りまくる


普段真面目な人が頑張ってダンスの練習をしているのを見たりすると、かわいいなぁと思ってしまう。
みんなが一丸となって一つのことに取り組むことを大人になっても経験させてくれるのはいい会社だなあって思う。

TGIF
毎週金曜日、30分ほど社員同士の交流の時間がある。
アルファベットの単語をオフィス内で見つけるアクティビティ、風船を膨らませて人のを割る謎のゲームなど、小学生がお昼休みにやるようなゲームをチームごとに行ったり、誕生月の人をみんなでお祝いしてケーキを食べたり、新しく入った新入社員の自己紹介をしたりする。

インド人はこういったアクティビティが大の得意で、いつも想像を超えた盛り上がりを見せる。

普段交流しない他部署の人とも仲良くなれるきっかけになるし、ギター、歌、詩の朗読など、会社で個人がパフォーマンスを披露する機会があるのも良い。

Women’s day
女性だけが集まってピザを食べながら、自分の紹介をする時間。新しく入社してきた人や仕事をしているだけでは知り得ないその人の趣味や考えが知れて楽しかった。

Puja
インドは宗教絡みのお祭りが多い(Diwali、Ganesh Chaturthi、ナヴァラートリなど)がその度に社内にある祭壇に集まり、Puja(礼拝)が行われる。
その他ドレスコードが決められていたり、Diwaliパーティの時はみんな華やかな衣装を着てくる。

プージャ後の祭壇


この日のドレスコードはピンク

他企業とのコラボ
他にも他社とタッグを組んで、ヨガイベントやヘルスチェック(血圧測定、視力測定)、試食会などもある

ヨガタイム

長い時間軸で捉えるインド人

こういったアクティビティに参加できる心の余裕があるのは、インド人が長い時間軸で仕事をとらえているからだと思う。
インドの会社で働いて自分がやっぱり日本人であること強く感じたのは、9時から6時の勤務時間中は常に集中して働いていないいけないというマインドセットがあり、勤務時間中に散歩に出かけるとかチャイ休憩をするってことに結構抵抗があった。逆に勤務時間外、家にいるときは基本仕事のことは考えたくなかった。

それに比べてインド人は時間に余裕がある時に仕事をするという感覚に近い気がする。
勤務時間内に「ちょ、休憩しすぎじゃない?」と思うくらい、散歩したりタバコ吸ったりチャイ飲みに出たりするが、夜12時とかにメールが飛び交ってることもあるので、とりあえず余裕ができたらギリギリのタスクを終わらせるという感じなのかもしれない。

さいごに

下のコラムでも書いたようにもちろん負の部分もたくさんあるが、良いなと思うのは社員同士が仲良く、みんながやる気と意思を持って仕事に取り組んでいるところだ。

社員の入れ替わりが激しい割に、この雰囲気が持続してるのは、HRの努力とインド人の持ち前の明るさがあるのかな。

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