書く理由

ずっと小康状態を保っていた父がこの夏くらいから本格的に体調を崩して入院となり、そのまま施設への入所が決まった。

父は、歳を取ってとかそんな話じゃなくてとにかく全部自分の思い通りにしないと気が済まない性質で、その思い通りの基準になる価値観もガッチガチな『昭和の世間体』で固まっている。今の時代に生まれていたら間違いなく何かしらの診断名がついていたと思う。そんな人だから、入院から施設入所までの間は本当に大変だった。

入院中何かしらの理由をつけて毎週末呼び出され、片道3時間かかる何度めかの帰り道。電車に揺られながら私はこの日々を記録に残そう。ちゃんと書いて何かの形にして世の中に出そうと考えていた。私の今やっていること、感じていることは、この日々は、きっと誰かの役に立つはずだという思いに至り、気付いた。自分がこうやって文章を書く理由に。

小さい頃から本ばかり読んでいた。本を読んでいる間はどっぷりとその世界に浸かった。本の中は、父と母の間から漂い家中を満たす険悪な雰囲気も尖った声も届かない、誰にも邪魔されない私だけの居場所だった。今までの人生でどれだけ本に救われたか分からない。私の心と知識、両方ともをいつも本が一番近くで支えてくれた。

私が本にしてもらったことを私も本で返したい。人は言葉という神様からの贈り物で何千年という時間を途切れることなく継ぎ続け、栄えてきた。私も言葉で知恵と心をこの先の誰かに渡したい。

最初の一冊はブログをたくさん書いた記念に形を残したいだけだった。それで終わらず2回、3回と文学フリマへの参加を続けている理由をここに来てようやく理解したという話でした。


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11月20日(日)に開催の、自作の文学を売るイベント『文学フリマ東京』で、半年強の短いスパンで首と卵巣の2か所を手術する羽目になった闘病記とnoteに綴った日々の記録に書き下ろしを加えた日記本の2冊を販売します。ブース番号は第二展示場の『い-72』です。
開催場所は東京モノレール流通センター駅すぐ、東京流通センターです。入場無料!良かったら遊びに来てください。

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twitterの人に「ブログでやれ」って言われないようにアカウント作りました。違うブログで台湾旅行や入院や手術に関してお役立ち情報書いてます。よかったら見てください。 http://www.ribbons-and-laces-and-sweet-pretty-faces.site