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【読書感想文】ミミズクと夜の王 コミカライズ1・2巻

2007年2月に発売された紅玉いづきの小説『ミミズクと夜の王』。
14年の時を経た2021年現在、そのコミカライズが月刊LaLaにて連載されています。

コミカライズ2巻の発売を記念して読書感想文キャンペーンが開催されているということで、参加がてら2巻までの感想を書いてみました。
キャンペーンはTwitterで開催されてますが、まぁ140字じゃ足りないですからねぇ。

あらすじ

額には「332」の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。
自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。
「あたしのこと、たべてくれませんかぁ」

死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。
絶望の果てからはじまる、崩壊と再生の物語。

https://lala.ne.jp/sakuhin/?id=36

コミカライズの感想

コミカライズが始まって最初に思ったのは、「夜の森が美しいな」ということだった。
『ミミズクと夜の王』と言えば、ライトノベルには珍しく挿絵がなく、ビジュアルとしてあるのは磯野宏夫さんの表紙だけ。
その表紙に描かれた深い緑の森、その薄暗く闇の濃いイメージそのままの森が漫画に描かれていて感動したのを覚えている。

私は原作のファンなので。
14年間愛してきた物語が、解釈を違えずにこうして描かれていることが、何より嬉しい。

それから、主人公であるミミズク。
表紙に描かれた、線が細くて影がある感じ。原作では「三白眼気味の目」という描写があり、いわゆる美少女キャラクターではない。
でも、笑うその姿は真昼のようなあたたかさがある、そんな女の子。

鈴木ゆう先生の描くミミズクはそんな原作そのままのミミズクで、美少女ではないけれど愛嬌があり、表情がころころと変わる。
ミミズクの「目」が印象的なシーンが多くあり、そこが堪らなく好きだ。

コミカライズは原作のセリフをとても尊重されているのも、原作ファンとしてとても嬉しい。
1巻の冒頭を読んだとき、見知ったセリフでありながら、初めて見る1コマ1コマの美しさに、新鮮な気持ちになった。
「あぁ、この世界のミミズクも、好きだ」「この世界を愛せる」って、シンプルにそう思った。

1巻で特に好きなシーン

①ミミズクとクロの初対面、「ヒメイー?」のコマ。クロのデカさとミミズクのちっぽけさの対比がとても好き。

②夜の王の元へ向かってる際の「喰われるか?」の次のコマのミミズクの表情。何とも言えないミミズクのコワレ具合がよく現れてて好き。

③「まるで」「生きたいみたいだ」のコマの全て。ミミズクの人生観が変わる象徴的なシーンの1つ。

④焼きゴテの数字を紋様に変えるシーン。夜の森と月とフクロウとミミズク、全てが美しい。

2巻で特に好きなシーン

①「そして君達は魔王を捕らえに来たんだろう?」のシーン。アンディの顔がイケメンすぎる問題。

②「大丈夫だ‼︎」のシーンのアンディ。イケメン通り越して王子様なのよ。

③初めて街の市場を訪れたミミズクの好奇心旺盛でワクワクしてる顔は全部可愛い。

④西の塔、クローディアスの部屋。可愛いぬいぐるみいっぱい置いてあって可愛い。

原作の感想

一番好きなのは、ミミズクの喋り方。
あの独特な柔らかい言葉遣いがずっと好き。
書き出したらキリがないけど、序盤のコワレ度が強いミミズクの喋り方が特に好きで、

「たいーたいーすごくたいー」
「キライじゃないよーう」
「こーれーはー、焼きゴテですなのよー」

この辺のセリフとか、

「わたしに、だれかがいうの。わすれてろ。わすれてろ。わたしは、いやだっていった。ふざけんなばか、なんでわたしわすれなきゃいけないのよーう」

これも序盤じゃないけど可愛さと乱暴さのバランスが絶妙に好き。

そして何より、ミミズクの成長と強さ。
自分の意志で、自分の生き方を選び取る、その生命力の強さが大好きだ。

「泣き方を覚えたの」
「笑い方も覚えたわ。こんなにも人間らしくなってしまった、あたしは嫌?」

私が今女性アイドルのオタクをやっていて、いつも「強い女が好き」と言って憚らない、その根源、元凶、がこの作品です。
ミミズクを始めとする、紅玉いづき作品の少女たちは皆、生き様が強くて、キラキラしてて、カッコいい。
その姿と、ライブのステージで輝く女性アイドルの姿が、私にはダブって見える。
ページを捲る度に。ライブを見る度に。
同じ、胸の昂りを感じる。
『ミミズクと夜の王』で初めてその感情を抱いて、その時の興奮が忘れられなかったから、14年経った今もこうして、オタクを続けています。

おわりに

連載を追ってるので、3巻ではまた物語が一気に進んで、ドキドキハラハラしながら見てます。
先の展開はもちろん知ってるのだけど、それが漫画になることで新鮮な楽しさがある。
原作で好きだったあのシーン、原作でグッときたあのシーンがどう描写されるのか、毎月楽しみで仕方ないです。

コミカライズから読んでも絶対原作を好きになるはずだし、原作が好きならきっとコミカライズも好きになると思う。
おまけ?ノベルティ?として掲載されている紅玉いづき先生の掌編は、原作の空気感はそのままありながら、コミカライズのオリジナルな部分もチラリと書き込まれていたりして、両方好きだとなおさら楽しく読めて最高。


ここまで読んでみて少しでも気になった方がいたら、ぜひコミカライズでも原作小説でも『ミミズクと夜の王』読んでほしいです。
書店なり、電子書籍なり、お好きな方法でどうぞ。

都心だと大きめに展開してるお店もあるみたい。
いつまでか分かりませんが。
3巻発売時にもまたこういうの、やってくれたらいいなぁ。とか。

この真っ黒な目のミミズクと真っ白な目の夜の王の対比、いいよねぇ。うっとり。

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