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半世紀続く人類共通財産の世界遺産とは?

山河襟帯(さんがきんたい)
→ 山が襟のようにとり囲み、河が帯のようにめぐって流れる地形の意から、自然の要害のこと。

日本は自然が豊かだ。

このことは日本人であれば誰もが持っている共通認識だと思っていいだろう。

ただ、この当たり前すぎる感覚が盲点になっていることを改めて指摘したい。

日本がグローバルで輝くためには、この自然を最大限に活かした観光を上手く使うしかないと考えている。

となったときに使えるツールの1つが世界遺産というコンテンツだ。

今さら聞けない世界遺産ってなぁに?

世界遺産の歴史は今からちょうど50年前の1972年に始まる。

つまり、2022年の今年でちょうど版籍を迎えたわけだ。

そんな世界遺産とは、1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき記載された世界遺産リストに記載された、顕著な普遍的価値を持つ、建造物、遺跡、景観、自然のことをいう。

顕著な普遍的価値というとわかりづらいが、どの国や地域の人、いつの時代のどの世代の人、どのような信仰や価値観を持つ人、いずれも素晴らしいと感じる価値のことだ。

そんな普遍的な価値をもつ世界遺産は、人類共通の財産といえるというわけだ。

そして、そんな世界遺産は、3つに分類される。

  • 文化遺産:人類が作り上げたもの

  • 自然遺産:地球の歴史や動植物の進化を伝えるもの

  • 複合遺産:文化遺産と自然遺産の両方の価値を持つもの

中でも、文化遺産が最も多く、世界遺産の総数は1,000件を超えている。

世界遺産に登録されるためには、世界遺産リストに記載される必要があり、そのリストに記載される遺産は1年に1度開催される世界遺産委員会で審議され、登録の可否が決まる。

世界遺産委員会の決議フローは、登録、情報照会、登録延期、不登録の4段階となっている。

さらに詳細を紹介すると、21の委員国からなる世界遺産委員会では、他にも様々な話し合いが行われる。

例えば、世界遺産条約を運用していく諸事項、世界遺産基金の使い道の決定、世界遺産の保全状況の確認、危機遺産リストへの記載の可否といった具合いだ。

日本と世界遺産の関係

2021年の時点で日本の世界遺産登録は全部で25件あって、世界第11位となっている。

ただ、日本が世界遺産条約に参加したのは条約採択のあった1972年から20年も後の1992年となっている。

初めて採択された日本の世界遺産は1993年のことだ。

法隆寺地域の仏教建造物群、姫路城、白神山地、屋久島の4件が日本初の世界遺産登録として世界遺産リストに記載されている。

その後、2021年までに21件増えて25件となっているわけだが、世界遺産保全への協力、真正性などの価値の見直しに日本も重要な役割を担っていえるといえる。

世界遺産登録ランキング

日本が2021年の時点で25件の世界第11位ということは上述したとおりだが、10件以上ある国別ランキングを紹介していこう。

第1位:イタリア(58件)

  • 文化遺産:53件

  • 自然遺産:5件

  • 複合遺産:0件

第2位:中国(56件)

  • 文化遺産:38件

  • 自然遺産:14件

  • 複合遺産:4件

第3位:ドイツ(51件)

  • 文化遺産:48件

  • 自然遺産:3件

  • 複合遺産:0件

第4位:スペイン(49件)

  • 文化遺産:43件

  • 自然遺産:4件

  • 複合遺産:2件

第4位:フランス(49件)

  • 文化遺産:42件

  • 自然遺産:6件

  • 複合遺産:1件

第6位:インド(40件)

  • 文化遺産:32件

  • 自然遺産:7件

  • 複合遺産:1件

第7位:メキシコ(35件)

  • 文化遺産:27件

  • 自然遺産:6件

  • 複合遺産:2件

第8位:イギリス(33件)

  • 文化遺産:28件

  • 自然遺産:4件

  • 複合遺産:1件

第9位:ロシア(30件)

  • 文化遺産:19件

  • 自然遺産:11件

  • 複合遺産:0件

第10位:イラン(26件)

  • 文化遺産:24件

  • 自然遺産:2件

  • 複合遺産:0件

第11位:日本(25件)

  • 文化遺産:20件

  • 自然遺産:5件

  • 複合遺産:0件

第12位:アメリカ(24件)

  • 文化遺産:11件

  • 自然遺産:12件

  • 複合遺産:1件

第13位:ブラジル(23件)

  • 文化遺産:15件

  • 自然遺産:7件

  • 複合遺産:1件

第14位:オーストラリア(20件)

  • 文化遺産:4件

  • 自然遺産:12件

  • 複合遺産:4件

第14位:カナダ(20件)

  • 文化遺産:9件

  • 自然遺産:10件

  • 複合遺産:1件

第16位:トルコ(19件)

  • 文化遺産:17件

  • 自然遺産:0件

  • 複合遺産:2件

第17位:ギリシャ(18件)

  • 文化遺産:16件

  • 自然遺産:0件

  • 複合遺産:2件

第18位:ポーランド(17件)

  • 文化遺産:15件

  • 自然遺産:2件

  • 複合遺産:0件

第18位:ポルトガル(17件)

  • 文化遺産:16件

  • 自然遺産:1件

  • 複合遺産:0件

第20位:チェコ(16件)

  • 文化遺産:15件

  • 自然遺産:1件

  • 複合遺産:0件

第21位:韓国(15件)

  • 文化遺産:13件

  • 自然遺産:2件

  • 複合遺産:0件

第21位:スウェーデン(15件)

  • 文化遺産:13件

  • 自然遺産:1件

  • 複合遺産:1件

第21位:ベルギー(15件)

  • 文化遺産:14件

  • 自然遺産:1件

  • 複合遺産:0件

第24位:スイス(13件)

  • 文化遺産:9件

  • 自然遺産:4件

  • 複合遺産:0件

第24位:ペルー(13件)

  • 文化遺産:9件

  • 自然遺産:2件

  • 複合遺産:2件

第26位:オーストリア(12件)

  • 文化遺産:11件

  • 自然遺産:1件

  • 複合遺産:0件

第28位:アルゼンチン(11件)

  • 文化遺産:6件

  • 自然遺産:5件

  • 複合遺産:0件

第29位:クロアチア(10件)

  • 文化遺産:8件

  • 自然遺産:2件

  • 複合遺産:0件

第29位:デンマーク(10件)

  • 文化遺産:7件

  • 自然遺産:3件

  • 複合遺産:0件

第29位:ブルガリア(10件)

  • 文化遺産:7件

  • 自然遺産:3件

  • 複合遺産:0件

第29位:南アフリカ(10件)

  • 文化遺産:5件

  • 自然遺産:4件

  • 複合遺産:1件

世界遺産の分布図

10件の世界遺産登録ということで、ちょうど第30位まで書き出せたが、いかがだろうか。

全体的に複合遺産というカテゴリでの世界遺産リストへの登録が少ないことは明確だし、日本がアジアの中では中国と共に牽引していることもわかるだろう。

また、ヨーロッパの国々が上位に多く見られるが、ほとんどが文化遺産の数で登録数を稼いでいるという傾向も見て取れる。

一方で、中国に注目したい。

世界第2位の中国は、56件の登録のうち、自然遺産が14件で自然遺産ランキングでは世界第1位となっている。

他に自然遺産が多い国を見てみると、アメリカ、カナダ、オーストラリアといった国々で大国が故に自然を売りにした観光地が多いのも納得できる。

中国も日本の国土の約25倍と多く、文化的な歴史も長いので併せて世界遺産の数が多くなるというのも理解できる。

ただ、ここで思うのが北米やオセアニアのエリアとまた違った自然遺産があるイメージもないだろうか。

それこそ、仙人が出てくるような独特の雰囲気の山や湖がある風景が想像できるという人も多いはずだ。

となってくると、日本にも同じようにイケてる風景はたくさんあるように思うのである。

世界自然遺産というコンテンツ

ということで、文化遺産が圧倒的にシェアが多いので、自然遺産を目指して地域創生を図るというのはどうかということを数年前から密かに提案し始めている。

日本は水資源が本当に豊かな国で、川があるということは滝があれば湖もある。

そして、その周りには山脈があり、日本全国どこにでもありふれた風景がいくらでもある。

ただそれは、日本人だから当たり前になっているだけで、外国人からすると珍しく心が落ち着くという人も多い。

となると、ザ・観光地といった売り出し方をするのではなく、自然遺産を目指して差別化を図るというのは案外ありな気がするのだ。

そのハードルがどれくらい高いのか不明だが、自然遺産に登録されるまで挑戦し続けるというコンテンツを提供するのも面白いと思っている。

まとめ

当たり前は、そのままにしておくと当然当たり前のままだ。

生まれてからずっと同じ風景を見ていたら、当たり前過ぎでなにがいいのかわからなくなるということは理解できるだろう。

でも、見る角度を変えることで財産になるというのは、実は世界遺産というコンテンツが50年も前から教えてくれていたのかもしれない。

そして、その称号で人を集めることができるのであれば、最大限利用するという行動を取ってみても面白いと思うのである。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。