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【2023年】4つの食のトレンド予測

三旬九食(さんじゅんきゅうしょく)
→ 30日間で9食しか食事がとれないことで、非常に貧しいことのたとえ。

現代の日本で餓死するということは、よっぽどのことがない限りないといっていいだろう。

こんなことを書くと、実はそんなことはないなどと主張してくる人たちもいるが、まあスルーしていいマイノリティのはずだ。

それだけ日本は豊かな国だといえる。

実際、ワンコイン以下でこれほどクオリティの高い食事ができる先進国はない。

海外へ出るとよくわかるが、日本はすでに安い国として外国人から見られているという実態をしっかりと受け止めるべきだ。

ただ、それを悲観的に捉えるのではなく、むしろチャンスだと捉える意識が重要だ。

2023年の食のトレンド予想

ということで、2023年に飲食業界を深く掘り下げて予想した最新トレンドリポートがある。

発表したのは、世界的コンサルティング会社のBaum + Whiteman(バウム + ホワイトマン)だ。

手の内を少し明かすと、2023年に最も注目を浴びるナッツはピスタチオだと予想しているほか、不況到来の可能性を探っている。

そして、4つの食のトレンド予測を公開している。

1)AIが存在感を増す

新型コロナウイルスのパンデミックにより、飲食業界も大きな変化があった。

ロボットウェイターやロボットシェフの登場は2022年もトレンドの1つで、実際に見かけたことがあるという人もチラホラいるのではないだろうか。

そんな傾向は2023年もより存在感を増す、つまりコントロールしている人工知能であるAIがより浸透していくという予測だ。

ロボットウェイターやロボットシェフに限らず、画像生成が得意なAIが生成する、食に関する様々な画像やスタイルが増えていくというのである。

実際、空想と現実の中間にあるようなイメージがすでに生まれているのが現状だ。

具体的には、スフガニヤという食べ物を知っているだろうか。

画像検索をしてもらえたら一発で出てくるのだが、ドーナツのようなスイーツだというとイメージしやすいと思う。

ユダヤ教の年中行事の1つである、ハヌカというお祭りで出されるのが、このスフガニヤなのである。

ハヌカとは、マカバイ戦争時のエルサレム神殿の奪回を記念している、アンティオコス4世エピファネスと異教徒によって汚された神殿の清めのお祭りのことだ。

まさに、ユダヤ教の聖地ともいえるイスラエルの開発会社である、Omri Feinstein(オムリ・ファインスタイン)が人気ベーカリーの広告用にAIで生成したのが、このスフガニヤなのだ。

こういった直接AIが食の世界を席巻するということも十分にあり得るだろうが、それ以外の運営の面でもさらに活躍の場が拡がっていくだろう。

上述したように、新型コロナウイルスが飲食業界を変えた影響は引き続き大きくなり、AIが飲食店のマネージャー役を果たすケースが増えるという予測だ。

まあ、当たり前のような気もするが、例えば、日々の天気に応じて顧客の予測をしたり、それに合わせた仕入れの量を調整するといった具合いだ。

他にも、下ごしらえ、電話応対、皿洗いといった単純作業のようなものは、AIを搭載したロボットで十分だという世界が徐々に訪れるだろう。

2)超高級ダイニングクラブの台頭

世界は二極化が進んでいる。

富裕層とそうではない層の差はますます拡がっていくことは明確で、それに伴い超高級の会員制クラブやレストランが台頭していくという予測だ。

この予測は私も全く同感で、むしろそうなっていかなければいけないとすら思っている。

とはいえ、いきなりのシフトチェンジは難しいので、トレンドを見てみると、一般向けと謳いつつも、実際には超高級になっているという感じだろうか。

例えば、別荘のような豪華な邸宅や歴史のある存在感の強い古民家をリノベーションしたクラブや、会員資格がなければ入れないのだが、その仕組みがNFTだったりする。

また、超高級クラブの位置づけは、クラブといいつつも飲食を中心にしていることも特徴だ。

入会金は50万USドル以上(約6,600万円)で、かつ利用時には飲食代やサービス料もサブスクリプションでといったモデルも多々登場している。

そして、登場しているだけではなく、利用者が急増しているのも世界的なトレンドだ。

また、ラグジュアリーホテルの台頭も目立ってきている。

ニューヨークにあるアマン・ニューヨークの最低宿泊費用は、1泊3,200USドル(約42万円)で、基本的には滞在客しかロビーにあるバーやレストランを利用できない。

ただし、20万USドル(約2,620万円)を払えば、ホテル内にあるプライベートクラブに出入り可能だ。クラブメンバーになれば、ホテルのコンシェルジュサービスとアメニティも利用できる。

このように高級クラブやラグジュアリーホテルも食を中心としたコンテンツを全面的に推し出し始めており、この傾向がスタンダードになっていくという予測だ。

3)植物由来食品の人気の下降トレンド

植物由来食品が健康や美容にとって人気を博してきたが、市場の動きを見れば、植物由来食品の人気が明確に低迷している。

ここ12ヶ月のデータでは、スーパーマーケットでの人工肉の販売量は約10%減少している。

また、代替肉大手ビヨンド・ミートの株価も、2021年秋はには108USドルをつけていたが、2022年末から2023年始にかけては12USドル台に急落している。

このように、明確に植物由来食品に対する人々の熱は冷めてきている、つまり下降トレンドにある。

その原因には、価格や味のほか、健康にいいという主張に対する懐疑的な見方の高まりなどがある。

さらに、ラベルの記載内容が複雑なことも大きな要因だろう。

これは、植物由来食品がかなり加工されていることを逆に証明してしまっており、本当に健康や美容にとってプラスなのかも懐疑的になっている部分でもあるということだ。

ただし、エコやサスティナブルが根底にあるグリーントレンドやSDGsが意識されなくなるということとは違うという点にも留意しておきたい。

植物由来食品を提供する飲食店チェーンは引き続き誕生しているし、多くの人々が利用しているという実態もある。

また、代替タンパク質メーカーの多くも、多額の資金を調達しているので、今後に注目しておきたいことに変わりはない。

この分野で特に注目されているのが、培養肉と植物由来の人工肉をミックスしたハイブリッド・ミートだ。

本物の肉に近い味わいがあり、さらに健康的というオーラも持つハイブリッドのタンパク質が、植物由来食品への関心を取り戻すきっかけになるかもしれないのである。

4)デリバリーよりピックアップ

ここ最近、フードデリバリーサービスを利用したことがある人は、なんとなく感じているかもしれないが、配達員が圧倒的に不足している。

そもそも人手不足ということもあるのだが、インフレにより配達料の値上げが続いているという要因もある。

これにより、円滑にデリバリーが行われなくなっている現状から、カルチャーが薄れ、配達してもらうよりも自分で取りに行く人が増える見込みだというわけだ。

このピックアップのカルチャーは、カジュアルなファストフード店やチェーン店が、ピックアップ専用レーンやピックアップ専門店を設けて効率化を図っていることが押し上げの理由になっている。

客がピックアップによって節約できる時間とお金は、30〜50%になるという試算もあり、デリバリーのカルチャーよりも一般的に根付く可能性が高いというのである。

加えて、やはり世界規模でのインフラの影響も大きい。

注文する料理に応じて配達料が変わるダイナミック・プライシングの場合はなおさらだ。

こうした変動料金制を試験導入するデリバリーサービス会社が増加しているため、消費者が反発したり、ピックアップ専用レーンの設置がさらに進んだりすることも考えられる。

まとめ

食に関する2023年のトレンド予測を様々な記事から抽出してみたが、あくまで予測であることは最期に付け加えておきたい。

ここまで書いておいて、最期に逃げるなといわれるかもしれないが、未来予測などできるはずがないのである。

というのも、ちょうど1年前あたりに新たなブームとして、ポテトミルクが2022年は大流行するといった予測もあった。

その理由は、豆乳を使ったソイミルク、アーモンドミルク、オーツミルク、そしてエンドウ豆からできるピーミルクなどが流行してきた背景があるというものだった。

この背景から、2022年の春頃には、低糖質で飽和脂肪酸の含有量も少ないポテトミルクをコーヒーショップのメニューで目にするようになるだろうという予測だった。

さてさて、2022年に一度でもポテトミルクを店頭で見たことがあるという人は、どれくらいいるだろうか。

トレンド予測はあくまで予測であることを楽しむという側面も言い訳の1つとして添えておこう。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。