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ドキドキ!プリキュア回顧録

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ドキドキ!プリキュアについて【最終回】

45話は、タイトル通り、レジーナとキュアエースの一騎打ちです。

エターナルゴールデンクラウンによって真実を知った亜久里が、トランプ王国に乗り込むわけですが、エースとソードがハートたちとは別行動を取る構想はかなり前(それこそ松下Pがまだ在籍していた頃だから2013年4月の時点)からあって、今回はそれを実現した形です。逆に、戦いの前に亜久里がエルに別れを告げるシーンは一年間かけてキャラが育ったが故に

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ドキドキ!プリキュアについて【15】

 今回は、本編のお話に入る前に、時系列を整理しておきます。

 2013年6月18日に、38話のプロットを提出しています。タイトルは「超えられない壁」。マナの先輩が放浪の旅からふらりと大貝町へと舞い戻って波乱を巻き起こすお話で、その物語の中で、マナがどうして大貝第一中学の生徒会長に立候補したのか、その理由が語られる予定でした。

 カンの鋭い人はお気付きかも知れません。その先輩こそが、ありすの兄・

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ドキドキ!プリキュア~博愛の理由~【16】

44話は、レジーナ説得シリーズのラスト。六花の番です。

発注の段階では、マナと六花が珍しく喧嘩をしてしまうけれど、プリキュアを分断して倒そうとするレジーナが介入したおかげで、二人は友情を再確認するというお話でした。それが準備稿の段階で喧嘩の要素がほぼ消えて「離れ離れになっても二人は心で結ばれている」という筋書きになりました。

「愛してる」という台詞は、準備稿の段階ではマナメモの一回だけです。そ

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ドキドキ!プリキュアについて【14】

32話はドキプリで数少ない季節ネタ、文化祭のお話です。2話からモチーフとして使っている「幸福の王子」ですが、その物語の本質は悲劇です。貧しい人たちに金箔や宝石を分け与えた王子の像が輝きを失い、打ち捨てられてしまうように、マナもジコチューとの戦いで最後は命を落とすのではないかと考えていました。*1

ヒーローは孤独です。特にドキプリは「大切な人たちを戦いに巻き込まないために正体を明かしてはならな

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ドキドキ!プリキュアについて【12】

「ちょっとぉ! あたしが登場したあたりから、Noteが全然更新されてないじゃない!」

「飽きたのよ、きっと……」

「まあまあ六花、そんな身も蓋も無い言い方しなくても」

「ダメ人間の亮太さんにしては、むしろよく続いたほうですわ」

「このままうやむやにして終わらせるつもりなんじゃ?」

「一度はじめたことは最後までやり遂げなさい!!」

はいはい。お久しぶりです。娘に尻を叩かれたのでNote再

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ドキドキ!プリキュアについて【11】

さて、レジーナ登場と劇場版のシナリオ作業というふたつの巨大な波と格闘していた頃、その8のラストで触れた通り、突如としてとんでもない試練が降りかかります。

「五人目のプリキュアを出してください」

バンダイからの指示が私に届いたのが2012年の9月末。作業的には3話の決定稿が出るか出ないかのあたりです。何故、この時期にてこ入れの案が出たのかは知る由もありません。ですが、こちらもこの道二十数年。この

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ドキドキ!プリキュアについて【10】

第8話から参加となった成田さんですが、初顔合わせ(※1)の時は緊張しました。何せ相手はプリキュアの事を隅から隅まで知り尽くした匠。「こんなのプリキュアじゃ~ない!」なんて言われたらどうしようかと一方的に怯えていたのです(笑)。そんな心配も杞憂に終わり、アイちゃん登場のお話をのびのびと書いて貰いました。お世話ラビーズなど、初めて使うアイテムも多い話数なのですが、そこは匠も手慣れたもので、全く違和感を

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ドキドキ!プリキュアについて【9】

1クール後半は、怒涛の新設定ラッシュになりました。

①アイちゃん
②ラブハートアロー
③レジーナ

アイちゃんは、既にオープニングやアイキャッチには登場していましたが、本編で登場するのは第8話(CMは先行して7話から流れています)。バンダイ的にはラブリーコミューンの次にプッシュしていた商品ですから、本来であれば最初から登場していてもおかしくありません。しかし、どうしても物語の「謎」の部分が伴うキ

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ドキドキ!プリキュアについて【8】

7話のプロットを提出したのは2012年10月9日です。
当初、真琴が仲間に加わるのはもう少し後でもいいんじゃないか、という案もあったのですが、映画NS2(2013年3月16日公開。7話の初回放送は翌3月17日)との関係上、現在の話数になったのでした。

改めてシナリオを読み返して見ると、この話がシリーズのキーポイントになっていることが判ります。
例えば、マナがベールを論破する下り。第二稿までは「あ

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ドキドキ!プリキュアについて【7】

5話以降のシリーズ構成案を提出したのは2012年10月2日です。
4話までは作品の雰囲気を構築するために一人で執筆しましたが、このお話から他のライターさんたちに入って貰うことになります。
5話担当の田中仁さんは、ドキプリのライター陣の中ではキャリアこそ一番浅いですが(って言うか他のメンバーが豪華すぎるんだ)実直なホンを書く方で、その実力は柴田Pのお墨付きです。この話も、マナが反省するくだりの描写を

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ドキドキ!プリキュアについて【6】



今回はちょっとオーディションのお話をします。
ドキプリのオーディションは(日付は明かせませんが)三日間に渡り、総勢72名で行われました。こちらの希望で、一人で何役か演じて貰う方もいますから、延べ人数で言うと膨大な数です。
ご存じのとおり、プリキュアはビッグタイトルです。週に一度の本編の収録以外に、玩具、各種イベント、CM(番組告知なども含む)、キャラソン、映画etc……と派生するお仕事がいっぱ

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ドキドキ!プリキュアについて【5】

 第四話はプロットが2012年8月20日に、第一稿が9月19日にあがっています。一話から三話の作業を優先して、一カ月ぐらい寝かせてあったんですね。そのせいか、プロットからお話がちょっと変わって……いや、なんだこれ……印象がかなり違うぞ。
 元々は、ありすがプリキュアの力をうまく使いこなせずに悩むけど、ディフェンスに特化することで活路を見いだす、比較的ストレートなお話だったんですね。それが「幼少の頃

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ドキドキ!プリキュアについて【3】

ドキドキ!プリキュアの第二話初稿は2012年8月8日にアップしています。第一話初稿から二日しか経っていませんが、これは一、二話が連続話だったため、ほとんど一気に書き上げたことを意味しています。

そんな短期間で執筆したということは、さぞかしスラスラ書けたのだろうなとお思いの方もいるかと思われますが、これがそうでもないのです。

先述の通り、第一話はプロットの段階から細かく決め込んで、手ごたえを感じ

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ドキドキ!プリキュアについて【2】

前回からの続きです。

ドキドキ!プリキュアの第一話初稿を書きあげたのが2012年8月6日。それから六回ほど書き直し、決定稿になったのが同年9月13日です。通常、アニメの脚本は三、四稿でフィニッシュですから、これはかなり丁寧な作業だったといえます。どうしてここまで時間をかけたかというと、監督もプロデューサーも皆、「このドキドキ!プリキュアという作品の出来不出来は、すべてこの相田マナにかかっているぞ

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