ドキドキ!プリキュアについて【8】


7話のプロットを提出したのは2012年10月9日です。
当初、真琴が仲間に加わるのはもう少し後でもいいんじゃないか、という案もあったのですが、映画NS2(2013年3月16日公開。7話の初回放送は翌3月17日)との関係上、現在の話数になったのでした。

改めてシナリオを読み返して見ると、この話がシリーズのキーポイントになっていることが判ります。
例えば、マナがベールを論破する下り。第二稿までは「あたしたちは絶対に負けられないんだから!」みたいな精神論に過ぎなかったのですが、「それだけじゃ弱い!」という柴田Pと古賀監督の意見で、第三稿からマナの「高笑い」が加わり、ベールの能力を看破した上で「お前、ひょっとして俺を言いなりにすることを前提で話をしているのか?」「モチのロン!」というやり取りが生まれたのでした。本来、プリキュアにはこんな少年漫画的なロジックは似合わないのかも知れません。でも、それをドキドキ!プリキュアは敢えてやった。結果として、マナの個性が確立し、この作品のカラーが決まったのではないかと思っています。
ちなみに映画の布石にもなっている「モチのロン!」ですが、実は「中学生らしくない、古臭い」という意見も出たのです。だけど「これは、お婆ちゃん譲りなんだ。マナはお婆ちゃん子で、今の人格形成にも大きくかかわっているんだ」と。本編中か映画かは決まっていませんでしたが、絶対何処かで使ってやろうと密かに画策していたので、そのまま通して貰いました。こうまで上手くハマるとは自分でも予想していませんでしたけれど。
そうそう、キャラクターの個性と言えば、意外な事に、六花が壊れた橋を飛び越えるところの「無理無理無理~!」は決定稿直前まで入ってなかったんですよ。恐らく、マナが際立った分、他も補強しなきゃと思ったんでしょうね(笑)。


それともうひとつ、この話数を語る上で忘れてはならないのが演出の三塚雅人さんです。第一話の冒頭でしか描かれていなかったトランプ王国のイメージを作品の中に定着させたのは、間違いなく三塚さんの力です。田中裕太さんと並んで、今後が楽しみな演出家の一人です。

この7話までは連続モノのつもりで、毎回ラストに次回への引きを作ることを心掛けました。設定の説明も終わり、真琴が仲間に加わったことで、物語はいよいよ本編に突入していくわけですが、我々には思いもよらない難題が待ち受けていたのです。そのお話は、また次回に……。

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