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ポケモンから考えるプロ野球の5年後

こんにちは。スタジアムヲタクのモリチッチです。
シーズンも終盤に差し掛かったプロ野球ですが、5年後、10年後の姿はどうなってるでしょうか。僕はプロ野球はポケモンが発展して行ったのと同じような構造でプロ野球ビジネスが拡大していくように思います。そう考えるのはプロ野球とポケモンは「似ている」と思うからです。プロ野球をメジャーリーグと比較して語られることがよくありますが、メジャーリーグよりポケモンの方がプロ野球に「似ている」と思います。

参考:株式会社ポケモンHP:https://corporate.pokemon.co.jp/

似ているとは??

似ていると一言で言っても2種類の意味があると思います。一つ目は「見た目が似ている」ということ。二つ目は「構造が似ている」ということです。プロ野球はメジャーリーグに「見た目が」似ていると思います。ボールを投げてバットで打つスポーツの周りに成り立つ事業という見た目はかなり似ています。しかし、ファンとプロ野球の関係性に絞って議論をすれば、プロ野球とメジャーリーグの構造は異なるように思います。

プロ野球とメジャーリーグは似てない!?

ここからの議論は僕の想像も多く含みますが、アメリカのメジャーリーグはベースボールというスポーツに熱狂しているのに対して、日本のプロ野球は野球というエンタメで盛り上がっている構造にあるように思います。
メジャーリーグのファンはサッカーW杯で自国を応援するようなロイヤリティを持ったファンに支えられているように感じます。結果的に、球場の雰囲気は野球の結果に対してより感情的に応援し、街中では地元チームのアパレルを身につけた人を多く見かけます。一方で、プロ野球は推しのチームや選手が提供するさまざまなコンテンツに対して楽しんでいる印象を受けます。その結果として、プロ野球の試合では応援歌といったエンタメが欠かせなくなります。また、日本では主流の選手グッズや、キーホルダーなどといった雑貨類はメジャーリーグではあまり発展しておらず、アメリカでグッズといえばアパレル関連がメインになるそうです。こうした観点から、日本のプロ野球とアメリカのメジャーリーグベースボールはファンが支えるシステムとしては「構造的に似ていない」ように感じます。
(議論は反れますが、アメリカでのメジャーリーグの楽しみ方は、テニスの現地観戦に似た方向性なのではないかと思ったりもします…)

プロ野球とポケモンは似てる!?

一方で、プロ野球と「構造が似ている」と思うのはポケモンです。ここでいう「ポケモン」は株式会社ポケモンが提供する様々なサービスであり、中期的にプロ野球はポケモンの成功と似たような成長を辿っていくのではないかと予想します。ポケモンとプロ野球が似ているところとしては、ポケモンやプロ野球チーム(選手)を中心として様々なコンテンツが生まれているという点です。

ポケモンとプロ野球の構造比較

ポケモンは「ポケモン」という究極の魅力の周りに作られたコンテンツをもとに拡大していると思います。ポケモンに対する魅力が高まれば高まるほど、各コンテンツの魅力度は上がっていくような仕組みにあるように思えます。

ポケモンとプロ野球の構造の比較②

それと同時に各コンテンツがポケモンという存在を高めているという仕組みもあると思います。ポケモンのHPでは「ポケモンは1996年に誕生しましたが、よく「人気の秘密は何か」「継続して愛される理由は何か」と尋ねられます。私は「収集・育成・交換・対戦」といったポケモンの普遍的な仕組みが我々の強みであり、長く愛される所以であると捉えています。ゲームに限らず、どのような商品やサービスでもこの点は共通しています」と説明されています。各コンテンツはポケモンに支えられ、ポケモンは各コンテンツに支えられているのです。

プロ野球はどうでしょうか。野球の試合に3万人前後の観客が集まったり、グッズが飛ぶように売れるのはプロ野球選手が「野球のうまい兄ちゃん」ではなく「プロ野球選手」という特別な存在だからです。一方で、野球選手が特別な存在でいられるのは、各コンテンツの演出や魅力に支えられているからこそであると感じます。

プロ野球は中期的にどう変わっていくか

では、5年後のプロ野球はどう変わっていくでしょうか。僕は、「ポケモンにあってプロ野球にないもの」がどんどん埋まっていくのではないかと思います。

プロ野球はどう変わるか①:グッズ

グッズはすでにポケモンにもプロ野球にもあるコンテンツですが、「プロ野球とグッズが相互に高めあう」という観点からはもう少し、ポケモンの成功例に近寄るのではないかと考えています。ポケモンは実店舗での販売として「ポケモンセンター」を運営しています。そして、そのコンセプトとしてHPでは「そこでしか買えないオリジナル商品の販売だけではなく、最新のポケモン情報を発信する拠点」と紹介されています。
プロ野球のグッズに置き換えて考えると、グッズ購入以外にも楽しめるような店内となっていくのではないでしょうか。そして、その中心には選手やチームの魅力があるのではないかと思います。

プロ野球はどう変わるか②:社会事業

ここでいう社会事業とは、社会貢献活動というよりかは、実世界へ進出したプロジェクトというイメージです。株式会社ポケモンの企業理念は「ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること。」であり、日常生活でのポケモンとの関わりが増えています。町中に散りばめられたポケモンのマンホールやポケモンGOを通して実世界でポケモンと触れ合うことができます。また、駅前でのポケモンイベントや、ポケモンを通した最新研究の学習機会も提供されています。
プロ野球選手やチームという存在は、我々一般人からすればもはや仮想の存在です。長期的には選手たちが球場から飛び出し、様々な形や媒体で実世界に影響を与えるのではないかと思います。

プロ野球はどう変わるか③:プロ野球チームという存在

これまでに述べた構造が成り立つのは「プロ野球チームとコンテンツが高めあう関係にあるから」です。ゆえに、プロ野球チームという存在がさらにブランディングされた存在になるように思います。
ブランディングという観点ではポケモンはかなり凝っていると思います。例えば、ポケモン図鑑で各ポケモンが定義されており、HPには丁寧に「ごくまれに、色違いのポケモンが見つかることもあります。これは突然変異のような存在で、能力や行動など、他のポケモンとの違いは、まだ解明されていません。」といった神秘的な演出がされています。これに似たブランディングがプロ野球においてもされるのではないでしょうか。

さいごに

今回のnoteではプロ野球とファンの関係性に絞って議論したつもりです。リーグ構造やよりビジネス的な視点に移ると、別の見え方ができると思います。違った意見の余地がいくらでもある議題だと思うので、感想やコメントを教えていただけるととても嬉しいです。最後までありがとうございました!

参考文献


細谷功「アナロジー思考」東洋経済新報社、2018/8


宮本茂「ポケモンをつくった男」小学館,2023/5

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