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在宅パーキンソン病患者さんの困り事|水分摂取量が少ない

皆さん、いかがお過ごしですか。
言語聴覚士(ST)の八田です。

パーキンソン病の方、ご家族から
「中々水分が取れない」というお悩み
をよく聞きます。

今日はおうちでどんな工夫が
出来るのかについて考えます。

水分がとれないのはなぜ?

ご本人からよく聞くのは

「喉、渇いてません」
「もう飲んだよ」
「身体が欲しいと思わない」
「今、おなかいっぱいやわ」

ご家族から聞くお悩みは

「すすめても水分を摂りたがらない」
「飲む量が少なくて困る」

パーキンソン病の方に限った事では
ないかも知れませんが、「トイレが
近くなるから...」と思われている方
もいます。

ご本人が普段どんな事を考えて、
どんな気持ちであるかを聞いて、
それをどう解決出来るのかを考える
必要があります。

ご本人の訴えからは余り聞かないのですが、身体が思うように動かせなかったり、動作が難しくなっていないか、嚥下のしにくさが隠れていないかを見ていきます。

気がつかれていないだけで、
ここに問題がある場合も意外と
あるな、と感じています。

コップを持って飲む動作や座る姿勢に
問題がある場合は、PTさんやOTさんに
相談しています。

パーキンソン病の以外に、整形疾患や
脳血管障害による片麻痺が合併して
いる方もいらっしゃるので、何によって
出ている症状なのかをみていきます。


パーキンソン病の指標

パーキンソン病の進行度を示す指標
として、「Hoehn & Yahr(ホーン・
ヤール)の重症度分類というものが
あります。

私は1度から5度まで色々な方と
お会いします。

お家での工夫

パーキンソン病の重症度が異なれば
対応も変わってきますが、今日は
私が訪問で経験したことを書きます。

・飲水量の見える化

このようなコップを使われている方
がいました。このような物を使わなく
ても、1杯分の容量がわかれば、普段
使われているコップで良いと思います。

1日分のお茶の中から、「ここまでは
午前中の分」「寝る前までにここまで
飲みきってね」等決めていました。

・ご本人が好きな飲み物を

水やお茶以外に好きな飲み物を試す
のも良いかなと思います。

結構同じ物が出され続けていて飽きて
いる場合もあるので、ご本人さんの
好きな物を改めて聞くのも良いです。

私のご利用者さんでは、昔梅ジュース
作っていた方があり、「梅なら飲み
たい。」と言われたことがありました。

炭酸やジュースが好きな方があり、
よく飲まれている方もいます。
温かい、冷たい等メリハリをつける
工夫も良いかも知れません。

水やお茶が水分とカウントされがち
ですが、お味噌汁やスープも水分が
取れるので、提案したりします。

嚥下に問題がなければ、夏にかき氷、
嚥下が難しいようであれば、ゼリー
からも水分が取れますよ、とお伝え
しています。

・少量で回数を多く

リハビリや看護師、ヘルパーさんが
訪問した際にこまめに促し、少しずつ
飲んでいただいたりもします。

リハビリ前後やお風呂前後は、
水分摂取のお声かけ受け入れが
まずまずよい印象です。

私はパーキンソン病の方とは
「大きく質のよい声を出す」練習を
するので、「喉のため」のこまめな
飲水のお声かけも行っています。

欲しくない方に、「飲め飲め」と言う
のも苦痛かと思うので、声のかけ方は
無理強いにならないよう気をつけて
います。

「北風と太陽」というお話あります。
そう、北風は逆効果なんです。
継続出来てこその飲水なので、私は
いかなる時も太陽を目指しています。


・経口補水液や点滴

いろんな工夫をしてもそれでも中々
飲水量が増えずに困る場合もあります。

その様な方で、経口補水液を飲まれて
いる方もいらっしゃいます。水分で
ムセてしまう方は、嚥下状態に応じて
ゼリーの選択をする方もいます。

パーキンソン病の重症度が5度の方で、
身体の状態により、どうしても必要量
の水分が摂れないこともあります。

その時は、看護師さんが早めに先生に
相談して下さり、脱水が進んでしまう
前にお家で点滴される方もいらっしゃ
います。

おわりに

水分摂取のお悩みは、パーキンソン病
の方以外にも当てはまるかもしれませ
ん。

今回紹介したのは私が経験した事です。
もっと他にも工夫出来るのではないか、
と思っています。

十分な水分摂取量を確保するために
「こんな工夫でうまくいったよ!」と
いうのがあれば、ぜひ教えて下さい。
宜しくお願いします。


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