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想いをカタチにするWORK BOOK―「共感」からはじめる社会への一歩― ★無料ダウンロード開始

キャリア教育において、アントレプレナーシップ教育(起業家教育)の要素を取り入れたワークブックの配布(無料ダウンロード)が始まりました。
小学校・中学校・高校などどなたでも自由に利用することができます。

どのような想いで制作し、活用していただきたいかということを少し綴ってみたいと思います。


起業家教育とキャリア教育の誤解

起業家教育が、いま全国で盛んに行われています。

しかし、「起業家教育」という言葉に、何か違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。
起業家を生むことが目的の教育?であるかように感じますが、これは、起業家(アントレプレナー)が持つマインドや行動特性(アントレプレナーシップ)を育むための教育です。
カタカナであまり知られていない言葉でもあるので、「起業家教育」と略されているのだと思います。

●●家教育という言葉は、あまり聞いたことがありません。
起業家を生み出すことをゴールにしているように見えるため、様々な違和感と反発をたくさん聞きます。たぶん、この日本語訳「起業家教育」が解釈の間違いや誤解を生む原因じゃないかと思うのです。私もアントレプレナーシップ教育と呼びたいのですが、なかなかひとことで通じない現実があります。

教育に関わる方々がアントレプレナーシップの説明を聞けば、キャリア教育の一部であると感じるはずです。
キャリア教育とは、「一人一人の社会的・職業的自律に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通じて、キャリア発達を促す教育」のことです。

キャリア教育もまた、職業選択という間違った使われ方もされます。
職業訓練や就活のことではありませんし、個人や社会と切り離して仕事のことを考えるものでもありません。
就職前提の社会構造であるからこそ、就活ありきになってしまうのかもしれません。

人生や仕事や社会との関わりから、社会的な役割を果たしていくことを自分で見つけていくためのスキルは大切です。
ですから、もし自分らしい人生を歩もうと思った時、そこに職業の選択肢が仮に無くとも、自分で仕事を作り出すという選択肢もあるということを知っておくことも良いでしょう。知識で知っていることと、感覚や体験で感情が理解していることとは、また少し異なってくるはずです。

「起業」という選択肢を想像できる人とできない人では、職業選択はもちろん、人生においての優先度や選択が限られることもあります。
人生には、意図せずとも選択機会が生まれてきます。

就職後にも転職したり、個人事業で独立したり、地方に移住して開業したり、家族の都合で仕事を辞めざるをえなくなってひとり起業をしたり、仲間と会社やNPOなどを創業したり…人生100年時代ですから定年後にも起業される方も増えてきます。

つまり、あらゆる人に起業の可能性はあるにも関わらず、学ぶ機会が圧倒的に少ない現状です。また起業がさかんに推奨されていますが、スタートアップとして企業価値を大きくすることばかりが取り上げられ、目的と手段が混同しているのではないかと感じるものも多くあります。

大きな夢を立派に言えることよりも、大切なこと

私は小さな頃から、夢を聞かれることが苦手でした。

「大きな夢を持たないと、立派な人間になれない」

そんな大人たちの問いに、潰されそうになりました。

私は、その問いを避けながら、自分が大切だと思えるものに向き合う学生時代を過ごしました。

ー なぜ大切だと思えるのか
ー それはどんな理由なのか

そんな「自分への問い」を探求する中で、結果的に自分らしいキャリアを見つけることができました。

私は音楽と自然という環境から自分のことを知ることができました。
幼少からピアノをはじめ、音楽を通じて大切にしたいことを見つけ、自己表現し、仲間や社会との関わりをつくることができました。また、小さな頃から自然の中で育ち、地球環境への意識も生まれたのだと、ふり返れば思えます。

人からの問いだけではなく、自分への問いを繰り返すことで、結果的に自分の価値観を見つける=自分らしさを発見することにつながったように思います。

人との、価値観の重なりを見つける
社会との、価値観の重なりを見つける

価値観が重なると生まれるのは感情です。
そこに「共感」が生まれたり、違和感が生まれたりする中で、自分の価値観を認識し形成されていきます。

実際に私は、たくさんの人の応援や共感でたくさんの事業を作ることができました。

社会に出た時には、立派な学歴も使える資格も何もない私でしたが、自分が大切にしたいと言う思いや、それを語れる仲間と一緒にいたことで、今日があるのだと思います。

「共感」が自分の価値観を育み、自身を育てる

予測不可能な社会の中でありながら、あらゆるものが手のひらに収まる情報社会の中で、キャリアの選択肢もまた、大きく広がりました。

そして、働き方や生き方が多様になる中で、自分らしい人生を見つけた先に、自分で起業をしていく判断をしても、昔ほど難しくない時代となっています。

こうした問いに応えることができるひとつが、アントレプレナーシップ教育ではないかと感じます。

これまで起業家が考えてきたようなマインドや行動特性を体験することで、可能性を広げていくことができるのではないかと考えています。

起業をすることが目的ではありませんし、すごい起業家を目指す必要もありません。

自分自身の人生を表現していく選択肢の中に、自分で仕事をつくったり、誰もやらないことに手を上げてその役割を担おうとする機会もあることでしょう。

その時にもし選択ができれば良いでしょうし、人生には何度もそうした機会がやってきますから、何度でも挑戦をしていきたいと思えるようなマインドが生まれることが良いのではないでしょうか。

想いをカタチにするWORK BOOK―「共感」からはじめる社会への一歩―

社会に出てから30年間の社会の変化も見ながら、時代の中で求められている起業や起業家に対する期待も変わってきています。

そして10年前、私がアントレプレナーシップの研究を始めてから、自身の経験や支援するたくさんの起業プロセスに立ちあう中で、大切なものを見つけました。

どんな起業家も、最初から大きな夢が語れるわけではありません。
しかし、起業家の誰もが、自分の大切なことに気づき、それを育んでいくことによって、自分らしい生き方の選択をしていることです。
そして、自分と社会、自分と仲間との共感から全てが始まっているということにもたどり着き、そして、昨年、共感起業大全という本にまとめることができました。

共感起業大全を読んでいただいたNPO法人アスクネット 代表の山本さんが、子供たちのキャリア教育の中できっかけとなる教材を作りませんかというお話をいただき、今回、教材を発表することができました。

支援をする側のみなさんから、起業家教育(アントレプレナーシップ教育)をどのように扱って良いのかという相談や、学校教育の中でキャリア教育と合わせて取り組んでいきたいという声が後押しとなりました。ありがとうございました。

そしてこのワークブックをきっかけに、アントレプレナーシップ教育を積極的に取り入れようと考えるキャリア教育に携わるみなさん、また現場や実践で経営支援に携わるみなさんとの間で、学びと繋がり、成長がうまれるプロジェクトを開始しました。

まずは、共感と経営(ビジネス)の基本的な学びのコースを提供し、そこから教育現場でどのように取り組んでいくかという教育者向けの実践コースを提供していきます。

ぜひこの教材を一緒に使っていただき、使っていただき、キャリア教育における実践のフィードバックや気づきのシェアなどいただきながら、一緒にプログラムをつくりあげていけたらと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。