ビジネスモデルを学ぶことの大切さ(ベンチャービジネス論の授業より)
毎週月曜日は、大学でベンチャービジネス論とメディア産業論の授業を担当しています。(それぞれ学生は100名程度)
多数の起業と支援経験をもとに、実務家教員という立場から、学んだことをいつか活かせるような知恵として学んでもらうことを心がけて授業をしています。
ここでは備忘録として授業のメモを残していますので、みなさんの参考になればと思います。
ベンチャービジネス論の第6回目は、ビジネスモデル。
ビジネスモデルを学ぶことは、ビジネスの型を学ぶことでもあります。
ビジネスに必要な要素分解をして解像度を高め、それぞれにどのような視点から自分の事業のKeyを見つけていくかがとても重要です。
ビジネスモデルとは
ビジネスモデルとは、収益を生み出す事業の構造を表したもの。
WHO 誰に
WHAT 何を
HOW どのように
これを明らかにするために、
Why なぜ(提供価値)
を問う。
そして大切なのは、次の3つ。
1.商流(お金とモノと相手)
2.収益を上げるしくみ(収益構造)
3.再現性、持続性、組織での実現
たまたまうまくいったもの、一回限りで二度とできないもの、ひとりでしかできないこと
それは、ビジネスとは呼べないもの。
ビジネスのモデル(型)とでも呼べるような、再現性と持続性を意識しながら組み立てていくことがとても重要。
ビジネスモデルを表す方法
ビジネスモデルを理解する上で、ある会社のビジネスモデルを3つのフレームワークを使って演習。
9セルフレームワーク
ビジネスモデルキャンパス
ビジネスモデル図解
実際にビジネスを作っていくために、フレームワークは整理をする一つのツールになり得る。ただし、フレームワークを使ってもすべてを表せるわけではない。
ただそうであっても、自分のビジネスは盲目的になりやすいので、課題を突破していくための視点獲得やイメトレという意味では、とても良いツールとなる。
9セルフレームワーク
ビジネスを考える上で、原則に則ったとてもわかりやすい整理の方法。
わりと簡単に埋められる。
ビジネスモデルキャンパス
9セルで整理したことを、事業のフレームとして再整理することができる。
顧客側から考えることと、④と⑦がキモ。
ビジネスモデル図解
ビジネスフロー、商流がよくわかる。
登場人物で相互の価値交換が何かを直感的に理解できる。
こうしたフレームワークは、すでにある事業を整理するには簡単だが、自分で事業を起こす場合には、簡単にマスを埋めることができない。
これが理論と実践の乖離で、本来は一番重要なポイントだが、理論や学びの場ではあまり語られることはない。
ポジショニングマップで出てくる競合分析で活用し、可視化することでどの点で自社の優位性が出せそうか、別のアプローチがないかなどを検討するのも実践では効果的。
ビジネスモデルの例
サブスク、フリーミアムなど、世の中にはたくさんのビジネスモデルが存在する。
それらをたくさん知ると、自社に当てはめられるアイデアが見つかるかもしれない。工夫やアレンジをすることで、新しいチャネルやアプローチに出会うはずだ。
ビジネスモデルはコピペするためにあるわけじゃない。
それでも収益が出るモデル(パターン)なのだから、うまく活用しない手はない。
ビジネスは、発明ではない
ビジネスを発明と勘違いする人が多い。
ビジネスとは、あくまでもアレンジであり編集と言っていい。
要素の組み合わせ、ベクトルの方向、繋ぎ方を変える…ということで、新しい価値を創造できるものだ。
そのためにも、ビジネスモデルで整理されているような視点を身につけることはとても大切。
いろいろなビジネスを考察する場合にも、解像度を高めるための整理になり、自分のビジネスと繋ぎ合わせることにつながるからだ。
たくさんのビジネスモデルを知っておくことは、アイデアを見つけるためにとても重要になってくる。
ビジネスモデルを学ぶことは、アントレプレナーシップ教育(起業家教育)はもちろん、キャリア教育においても、経済や産業といった角度からの大切な学びだと思うので、僕の授業ではどの科目も必ずビジネスモデルを取り入れている。
ぜひ初等・中等教育でもビジネスモデルでキャリア形成につながる教材を作ってみたい。