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出資を受ける前に知っておくこと①(融資と出資と株主のキホン)

空前のスタートアップブームで、VCもCVCが乱立し、エンジェル投資家という人も激増していますね。

私は似たような経験を20年ほど前の第三次ベンチャーブームの渦中で経験し、その後のITバブルも含めた残務処理もいろいろ見てきています。

当時もそうですが、今もかなり浮き足だっていますね。
きっとバブルに進んでいるのでしょうね。

投資の雰囲気が出ていることは良いことなので水を差すつもりはありませんが、この雰囲気に飲まれてしまったり、地に足の付いたビジネスをしている人が巻き添えを食らうこともあります。

みんなが「お金の苦手意識」のあるなかで、融資と出資をちゃんと見極めておくことは、とっても大切だと思います。

いろいろな考えがあるので私が正解ということではありませんが、私なりのたくさんの経験を判断材料にしてもらえたらと、何回かに分けてまとめておこうと思います。

株主と役員の関係

いろいろと事業提携をすると、株主や役員といった形で関わりを持ちたい人が増えてきます。

どちらもちゃんと理解しておく必要があります。

役員は会社の内情をすべて理解することができます。
その会社の財務はもちろん、原価やビジネスモデル、公にしたくない様々な機微情報までアクセスできます。
よって、商法では善管注意義務(忠誠義務)があります。

役員が退職して別の同じような事業を立ち上げて訴訟になるケースもあります。

残念ながら、私もそれに近い経験をしたことがあります。

株主はそこまでの開示は必要ありませんが、財務状況を開示する必要はあります。もし、いろいろなビジネス上で知りたい、コントロールしたいと思えば、役員を派遣することになります。

役員は株主によって決められるので、役員を解任することは大株主であれば可能です。

会社が株主を訴訟する権利は会社にありません。
逆に株主が会社を訴訟することはできます。

一方、株主が指定する人を役員にすることができるので、これを利用して、株主の会社と関係のない役員を就任させて情報を得ていたケースもありました。
これは忠誠義務違反ですが、これを追求することは難しいです。

「がっつり関わっていきたい」

株主であっても役員であっても、チカラにもなれば脅威にもなります。

たとえばまずは外部の協力先から業務提携、そこから役員や株主というステップを通じて、信頼できるかどうかを見極めることが必要ですね。

融資と出資のキホン

融資はお金を借りること、出資は株を持ってもらうことです。

お金は返せば縁が切れますが、株は手放してもらうことができません。

うまくいかなくなったり、揉めても、なかなか手放してくれず、ずっと持ち続けて居られて困った経験は何度もあります。
そしてそれに悩まされ続けている経営者は五万といます。

最終的にその会社からすべての事業を別の会社に移し、ゾンビのようになっている会社もいくつか知っています。

1株でも株を持てば、会社に対しての権利が発生します。
割合によってその権利が変わりますから、内容は理解しておく必要があります。

特に、個人投資家やエンジェルを名乗る人は要注意です。また、ファンドに居たからとか、VCに居たからという人も、自分のお金で投資をしていないことが多く、マネーゲームをしている人も多くいます。
「出資してもいいよ」という言葉を安易に使う人は、ちゃんと見極める必要があるかと思います。

筋の悪い出資者かどうかを見極めるためには、どういう出資をしてきて良くも悪くもどんな経験をしてきたかということが重要になります。
出資ですから良いことも悪いこともありますから、その時にどんな対応をしてきたかということです。

仮にうまくいかなくなったときも、次を期待して条件を飲んでくれる本物のエンジェル投資家と、無謀な条件を突きつけて困らせるエンジェル投資家がいます。
一般的に株主を不平等に扱うことはできないので、出資額に応じた個別相談はできないことが多いのです。
経営者としてこうした経験を何度かしたことがあるエンジェルが一番良いと思いますし、実際に出資を受けている会社の経営者と話をするのが良いと思います。
一方、エンジェル投資家という名前だけが欲しい人は厄介なことを起こしたり、事業会社であっても情報だけ吸い上げて事業をマネされることもあるので注意が必要です。

融資がいいか、出資がいいか

融資は審査が厳しく、返さなければならないということから、最近では安易に出資を選ぶ人がたくさんいます。

先に書いたように、出資というのはいろいろなリスクも伴うので、慎重に判断する必要があります。

ビジネスのセオリーとしては、出資なく個人100%で行けるなら、それに超したことはありません。

そこでビジネスモデルをキチンと構築し、借りても返せるモデルが確立させることが最優先です。

ただ、そのサイクルでは事業成長の確度が低く、場合によっては先に市場が取られてしまったり、融資の額では足りなかったり、ハイリスクハイリターンであるような場合には、出資を選択したほうがいいこともあります。

しかしそうした出資を受ける場合にも、最初はビジネスモデルを確立して数字が見えてきたことを確認してからでないと、足元を見られることがほとんどです。
本来、数字の伸びやビジネスモデルが見えない限り、出資という判断はありえないのです。
もしその時点で資本が足りないなら、経営者が増資をしたり融資をしたり、個人で融資を受けて増資をするなど、経営者がマジョリティ(株主のシェア)を取っていかないと、本当に出資を受ける際に立ちゆかなくなります。

最近ではゼブラとかソーシャル投資とか、いろいろなリターンを単位的に極度に求めないものもありますが、基本は出資であることには変わりありません。

最初はみんな、いい顔をして関わってきます。

でも、ビジネスってうまくいかないことも多いものです。

私が最初に起業した会社も、私自身の知識が乏しく相談できる相手もいなかったので、とても苦労しました。

今となっては良き経験になっていますが、それでも知っておいて判断するのと、知らなくて決めてしまってからでは、雲泥の差が出ると思います。

いろいろな人がたくさんいて、いい人が豹変することもあります。

どんな判断をしてどんな結果が出るにせよ、私はできるだけ起業家が想う世界に近づけるように応援していきたいと思っています。

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