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短編小説 雲の子

 絵を描くのが大好きな少女がいました。少女はいつも外に出ては、お気に入りのクレヨンで風景を描いていたのです。

 その日も少女は公園で絵を描いていました。朝からとてもいい天気だったのです。

 少女が画用紙に絵を描いていると、画用紙の上にちょこんと何か白いものが乗りました。どうやら、空から落ちてきたようです。

 それは少女の手の甲くらいの大きさで、綿の塊のようにも、なにかの繭のようにも見えました。

 そして不思議なことに、その白いものは少女の手の上でぴょんぴょん飛び跳ねているのです。まるで生きているかのように。

 なんだろう、これ。

 しばらくすると、ぽとり、ぽとりと画用紙の上に水滴がいくつもでき始めました。

 どうやら、雨が降ってきたようです。

 少女はあわてて画用紙とクレヨンを手に取り、近くにあった大きな木の下へゆきました。

 今日雨が降るなんて、天気予報では言ってなかったのにな。

 そんなことを思いながら、少女は木の下で雨が止むのを待ちました。

 だけど、雨はいっこうに止む気配がありません。それどころか、雨足はどんどん強くなるばかりです。

 少女が木の下で雨宿りしている間も、白いものは少女の周りをうさぎのようにぴょんぴょん飛び跳ねていました。

 あれ? 誰か来る。

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