【2022年】 1月に出会った本/映画/場所
今月は年末年始で集めた情報をもとに、比較的最近出た本を中心に読みました。そのほか1月に出会ったものたちを感想とともにご紹介します。
本
『水中の哲学者たち』 永井 玲衣
哲学対話のファシリテーター永井さんの初単行本。客観的にこんなに柔くてだいじょうぶだろうか(弱いや脆いではなく柔いという感じ)と感じつつも、自身と静かに話しているような不思議な感覚になった。
『思いがけず利他』 中島 岳志
誰かのためになる瞬間は、いつも偶然に、未来からやってくる。親鸞聖人『歎異抄』の「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし。」という言葉にハッとした。私が私であることの「偶然性」についてもっと考えたい。
『料理と利他』 土井 善晴/中島 岳志
土井さんの健やかな強さがある言葉は安心感がある。民藝にも興味が湧いた。出汁はとらなくていいが、アクはとる。「澄む」という言葉は美しいなと感じた。
『牧師、閉鎖病棟に入る。』 沼田 和也
人々に「ありのまま」であることを説く牧師の著者が感情を抑えきれずキレてしまった末、ありのままでいられない環境(閉鎖病棟)に身を置くことになる。特に何かを明確な回答を導きだすという流れではないが、読後に「皆その可能性がないなんて言い切れるのだろうか」と考えさせられる。
『まとまらない言葉を生きる』 荒井 裕樹
著者は被抑圧者の自己表現活動を専門とする文学者。「言葉が壊れてきた」と思う。という一文から始まり、障害者や疾患、公害、ジェンダーへの差別問題に取り組んだ人々の生きる言葉を紹介している。かなり印象に残ったが今月読んだ中で一番感想を書き出すのが難しく感じる本。
『雷神』 道尾 秀介
会社のメンバーがおすすめしてくれて久しぶりに道尾さんの最近の小説を読んだ。帯に書いてある「何を見てはいけなかったのか」にきちんと囚われまくって読み進め、著者得意の“ミスリード”される面白さを味わえた。
『アーモンド』 ソン・ウォンビョン
感情がわからない少年が主人公の韓国のベストセラー小説。そういう特性をもった主人公目線で語られていくので淡々と進むかんじが良かった。きれいな表現だなと思う文章がいくつかあった。(翻訳が良いのかも)
『ヘンテコノミクス』 佐藤 雅彦
こちらも会社のメンバーと話していたときに、おすすめしてもらった行動経済学の漫画。
※漫画だけど内容的に本の括りで記載
落とした財布の中には「一万円札」と「亡くなった祖母からもらった五百円札」。戻ってきたときに無くなってたらショックなのはどっち?
漫画
『Artiste』 さもえど太郎 (1〜7巻)
広告で気になり、試し読みして最新刊まで一気に購入してまった漫画。
タイトルのArtiste(アルティスト)はフランス語で芸術家の意味。シェフである主人公を中心として、同じアパルトメントに住むさまざまな職業の「ものを生み出すひと」たちの話も交差していく。
私自身、以前は飲食の仕事を長くやっていてピーク時にまるで戦場みたいになる激しさが好きだったなと思い出した。給仕側と厨房側との関係性(4巻くらい)もとても良くわかるし、別のスキルを持つ相手をその特性も含めて理解し、プロとして背中を任せ合う姿は理想的。
映画
『青いパパイヤの香り』 監督 トラン・アン・ユン
1993年 ベトナム
Amazonプライムで鑑賞。題名はずっと知っていたけれど、観たことがなかった作品。「不安定さ」を感じさせる演出がぞわぞわした。ベトナムの家のつくりだからできるのか、手前に対象がいるのにかなり奥の方で何かが起こる(単に誰かが扉から出てくる等、でもカメラの方には来ない。演劇ぽい)のが頻繁に映ってまたぞわぞわ。
『みかんの丘』 監督 ザザ・ウルシャゼ
2013年 エストニア・ジョージア合作
Amazonプライムで鑑賞。みかん畑で働く2人のエストニア人が敵同士の傷ついた兵士を看病し、戦争の不条理さを描く。静かに進む短い映画だが「(彼らの)何が違うんだ?」というセリフが沁みる。主人公のおじいさんの仕事がみかんの「箱」をつくることなのが良い。
アニメ
『平家物語』 監督 山田 尚子
2022年 日本
1月から放送開始したTVアニメ。映像、演出、声優、音楽…どれも良くてびっくりした。人生の中で平家物語にこんな形で出会うとは。(Amazonプライム、Netflixでも追っかけで観れます)
場所
板橋区立熱帯環境植物館
とても寒い日に「どこか暖かいところへ行こう」と思い、ネット検索して開いていた熱帯植物園へ。
平日の夕方頃行ったので他に誰もおらず、“我が庭”顔で散策できた。園自体は小さめだけど、吹き抜けで日が差し込んで天井が高い空間が自分は好きなんだなと実感。約150種2500匹の熱帯の魚が泳ぐミニ水族館もある。
オザキフラワーパーク
今年は何を植えようかと植物への気持ちを高めるため、都内最大の園芸店へ。いたるところに実物大の動物の置物がいてドキッとする。笑
盆栽の整え方をお孫さんに教えているおじいさんがいて、近くでそっと聞いていた。小さい頃は母が、20代前半で仲居さんの仕事をしていた頃はお花を活ける担当のお姉さんが、今の仕事では一緒にコンテンツをつくってくれるフローリストの方が。花の名前はいつも誰かが教えてくれて、その人の声で覚えている。
以上、1月に出会ったものたちでした。
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