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【2022年】4月に出会った本/映画/場所

4月はコンセプト型カプセルホテルに宿泊したり、
デイキャンプをしたり、イベントに出かけたりと外で過ごすことが多く、
月内に読み切れた本は少なくなりました。

4月に出会ったものたちを感想とともにご紹介します。

『13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海』 田中 孝幸

本屋で見かけることが多くなった「地政学」の本を初めて読んでみた。高校生と中学生の兄妹が古道具屋の主人との会話を通じて国際情勢やニュースの実情を学んでいくという内容でかなり読みやすい。「だからあの国はそんなに怒っているのか」「だからどの国も権利を譲らないのか」と納得しながら読む中で、いつも“結果”や“過程”の一部分だけを見ていて、何も知らないんだなと実感。

『複雑化の教育論』 内田 樹

「成熟とは複雑化すること」であり、なんでも単純化しないで複雑なものは複雑なまま歓迎していこうという本。
自身の好みとしては、もう削るものがなくなり洗練された状態に憧れがある。でもそれとは別に、人格が多層化し感情が複雑化して「その人がその人なっていく」という様は有機物で豊かになった土壌みたいでそこに美しさを感じた。冒頭の方で出ていた「校舎が人を育てる」という信念をもつ建築家ヴォーリズの校舎を体験してみたい。

『言葉のズレと共感幻想』 細谷 功/佐渡島 庸平

会社のメンバーからおすすめしてもらった本。印象に残ったのは、現在の価値観が変わると過去の思い出し方も変わる、という部分。(現在によって過去が規定されているとすると)現在にとって必要な過去の中から意味づけしたいものやストーリーにしやすいものを選択しているという話だった。最近、強い思い出だったはずのことがぼんやりとしてきたり詳細に思い出せないことも多いので「現時点では必要ないんだな」と腑に落ちた。

『すばらしい人体』 山本 健人

短めの細かいトピックがたくさん入っているので、他の本の合間にちょいちょい読んでいた本。タイトルそのままの感想だが、ほんとに人の体はよくできてて神秘的。人体のしくみについてだけではなく、今とは全く違うことが正しいとされていた時代の話や医学の進化と歴史も学べる。

漫画

『ひらやすみ』 真造 圭伍(1〜3巻)

阿佐ヶ谷を舞台に、血縁はないけど大切な関係だったおばあさんが亡き後、その平屋を譲り受けた青年と周囲の人との日常を描いたマンガ。朴訥でのんびりした好青年の主人公で大きな事件は起こらないストーリーだけど、この線で描かれる商店街の夜や雨などが好き。この先も読みたい。


『バクちゃん』 増村 十七(全2巻)

日本に住む叔父を頼りに、バクの星から地球にやってきた移民の少年・バクちゃんが主人公。このマンガの中の日本では他の星から来た=他の国から来た移民と同じ感覚で、その移民たちが日本で直面する問題を描く。かわいい絵柄だが多様性やマイノリティがテーマになっているので、温かさだけでなくシリアスでさみしい気持ちになる部分も多くある。

『千年万年りんごの子』 田中 相(全3巻)

舞台は昭和40年の青森。捨て子として育った都会の青年が雪深い青森のりんご農家に婿入りすることになり、田舎に伝わる奇妙な習わしに翻弄されていく。ファンタジーというかミステリーというか、ジャンルの判断は難しい独特な世界観で、すこし『蟲師』を彷彿とさせる。全3巻でまとまりもよく満足感があった。

映画

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』監督 フレデリック・ワイズマン

2019 年 アメリカ

Amazonプライムで視聴。世界最大級の〈知の殿堂〉ニューヨーク公共図書館の舞台裏を描いたドキュメンタリー。社会にどう貢献するかの「軸」があってそれを誇りにしている姿が素敵だなと思いつつ、(3時間半くらいあるので)話の流れをずっと集中して追ってわけではないが、場面場面の画や空間に響く音が頭に残る作品だった。

場所

彩湖・道満グリーンパーク(埼玉県戸田市)

荒川河川敷の調節池「彩湖」に沿ってきれいに整備された市営公園。都心近くにありながら豊かな自然が残り、四季を感じて心地よく過ごせます。開放感あふれる広場でのバーベキューだけでなく、様々な施設が充実し、多くの市民に親しまれています。車でのアクセスもしやすく、年間100万人以上の方にご来園いただいています。

公益財団法人 戸田市水と緑の公社 サイトより

いつもオンラインで定期読書会を開いているメンバーとデイキャンプ読書会を開催。平日に有給をとって、待ち合わせして車で戸田市のグリーンパークへ行った。とてもきれいに晴れた日で、火を起こして網で何かを焼いては食べ、焼いては食べの繰り返し。お腹いっぱいになったあと木陰で風を感じながら本を読んで、うとうと眠くなった瞬間に「あ、これは幸せなやつだ」と思った。

MANGA ART HOTEL, TOKYO(東京都千代田区)

マンガをテーマにしたコンセプト型のカプセルホテルです。紙のマンガだからこその出会いや感動がある特別な宿泊体験をお届けします。

MANGA ART HOTEL, TOKYO サイトより

「なにか面白そうなマンガないかな」とネット検索していたら見つけたホテルに土日を利用して宿泊してみた。到着したらオンライン通話でオペレーターと連絡をとりチェックイン完了。翌朝のチェックアウトはご自由に、とのこと。

男女別に階がわかれた各フロアに広義の“アート”という観点から厳選したマンガ作品を集めた本棚があり、その中に設置された部屋にこもって読む空間。なんかドラえもんの気分。「流行っている漫画集めました」ではない「誰かはめっちゃ好きだと思う」的な本揃えが良かった。

各部屋では食事が禁止で飲み物も蓋付きのもののみ持ち込み可なので匂いもなく静かで清潔感があった。(神田なのでホテル出れば食べるところは問題なくある) 出張や旅行途中のような人、海外からのバックパッカーぽい人などとたまにすれ違ったのでそこそこ部屋は埋まっていたようだが、洗面台もトイレもシャワールームも鉢合うことはなくゆったり。とにかく「漫画を読むためだけ」の時間を過ごし、一晩で20冊ほど読んだ。


以上、4月に出会ったものたちでした。

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