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【労務】通貨払いの原則とデジタル払い

こんにちは。SSKCの有路です。
先月の記事では、月60時間超の割増賃金についての話を書きました。
今回も労務に関する内容となりますが、4月の法改正の賃金のデジタル払いが解禁になったことを絡めて、賃金についての話をしようと思います。

このデジタル払いについて、メリット・デメリットについてはまた別の機会で書きたいと思うのですが、今回はそもそも賃金の支払いにはどのような決まりがあるのか、そんな原則の話になります。


賃金支払いの5原則

普段給与を支払われる時、毎月決まった日に、自身の銀行口座に給与が振り込まれるというのが一般的な給与の支払われ方だと思います。

そこでいきなり勤め先から「給与を通貨以外で渡します!」と言われたら困りますよね。
そういったことから労働者を守るための法律、賃金の支払いの原則についてお話します。

労働基準法第24条に記載されている内容で以下の5つの原則があり、社労士等の労務の勉強をしていて賃金支払の5原則として知っている方もいるかと思います。

・通貨払いの原則
・直接払いの原則
・全額払いの原則
・毎月1回以上払いの原則
・一定期日払いの原則

今回はデジタル払いにも関係してくる「通貨払いの原則」について詳しく見ていきましょう。

通貨払いの原則と改正内容について

賃金の支払い方は、労働基準法第24条で以下のように定められています。
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)」
つまり賃金はお金で渡さなくてはならず、会社に今お金が無いから代わりに会社の製品を渡す、というようなことは原則できないよ、ということです。

ここでいう通貨とはお札や小銭のことを指していて、実は銀行振込は含まれていないのです。
そこで例外の支払い方法が労働基準法施行規則第7条で定められていて、労働者の同意を得た場合には銀行口座等への振込ができます。

この労働基準法施行規則第7条が2023年4月から改正となり、振込先に「PayPay」のようなスマートフォンの決済サービス(資金移動業者)にも振込が可能となりました。これがいわゆる賃金のデジタル払いです。

ただ、賃金支払いが可能な資金移動業者としての登録に様々な要件があり、申請が始まったばかりであることや、デジタル払いをする企業の必要事項、管理の手間を考えると、実際に賃金のデジタル払いが始まるのはしばらく先になるのではないでしょうか。

ちなみに

現在では賃金は銀行口座に支払うのが一般的になっていますが、一昔前は賃金を封筒に入れて手渡しという形が主流でした。
しかし、1968年に起きた「三億円事件」という、賞与を運ぶ現金輸送車から約3億円が奪われた事件から、賃金を全て現金で渡すのは防犯上よろしくないという考えが広まり、企業や国家で賃金の支払いが銀行振込に移行していったと言われています。

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