見出し画像

~次世代の学び&奨学金からの解放~ SSDC事業創造デザインプログラム キックオフレポート

こんにちは。SSDCチーフデザイナーの北村です。

一般社団法人社会システムデザインセンター(SSDC)ではテクノロジーで社会課題を解決するため活動をしています。

この記事は社会課題を解決する事業やプロジェクトに関わる方々のために開催内容をシェアさせていただく目的で書いています。

今回は、事業創造のプロセスを体験しながら実際に事業化まで行うことができる「事業創造デザインプログラム」の開催進捗として、2021年7月9日(金)に「次世代の学び&奨学金からの解放」をテーマにした事業創造デザインプログラム キックオフの概要をレポートしていきます。

プログラム参加者はもうひとつのテーマである「自らバリアフリー車いす」と合わせ学生8名(慶応義塾大学、東京大学、明治学院大学)、SSDC法人正会員企業の社会人2名(都築電気株式会社、テクマトリックス株式会社)の計10名です。


テーマ概要紹介は以下の通りです。



■キックオフの目的とアジェンダ

キックオフの目的は「課題の原点を知ること」と「参加者同士が顔を合わせ、自らの原体験を共有すること」の2点。

以下のような流れで、前半の「サロン」ではテーマの提示、後半の「Basicワークショップ」では、テーマ提示を受けての参加者およびテーマオーナーでの対話を行いました。

画像3



■テーマの概要:次世代の学び&奨学金からの解放

2019年の一般社団法人設立以降、SSDCでは社会課題を解決するための事業を生み出すため、多様なテーマ案を討議してきました。

その中でも、課題ドリブンであり、かつ人にフォーカスして解決策を考えていくことが重要なテーマにフォーカスし、今回の事業創造デザインプログラムにて実際に事業アイデアを検討していくことになりました。

そのひとつが「次世代の学び&奨学金からの解放」です。

画像5

このテーマのオーナーには札幌市立大学 理事長・学長でSSDC副代表理事でもある中島秀之先生、シネックスジャパン株式会社 執行役員 デジタル・トランスフォーメーション&マーケティング部門長である伊藤弘泰さんのおふたりに就任頂きました。

中島先生は日本における人工知能(AI)研究の第一人者かつ大学トップとしての日本教育についての課題感、伊藤さんは外資系企業の役員かつ大学講師として教育現場の最前線に立たれている中での課題感から、今回のキックオフでもテーマの提示を頂く運びとなりました。



■テーマの提示:学びとは?

□次世代の学びとは(シネックスジャパン伊藤弘泰さん)
最初にテーマの提示を頂いたのは、シネックスジャパン株式会社 執行役員 デジタル・トランスフォーメーション&マーケティング部門長である伊藤弘泰さん。

画像1

伊藤さんはIT商社の執行役員である傍ら、岡山大学、環太平洋大学等で非常勤講師、特任准教授大学講師としての顔も持っており、現在、ふたつの大学で授業を日本語・英語両方で授業を実施されています。

そんな伊藤さんからは、日本の大学の授業のあり方、個人を伸ばすための教育のあり方、危ないのでは?…という想いから、以下の視点を提示頂きました。

1)授業の在り方。個人を伸ばす授業のあるべき姿は?
2)縦(誰に学ぶか)から横へ(誰と学ぶか)→もっと学生の為にあるべき授業形態とは?オンライン・オフラインの活用
3)生きた授業とは?理想の学び・大学像とは??


□日本型教育への危機感(中島秀之先生)
さらに札幌市立大学 理事長・学長でSSDC副代表理事でもある中島秀之先生からは、以下の視点を授けて頂きました。

画像2

1)専門教育重視(知識の習得)→リベラルアーツ重視(知識の活用)への流れ
2)教育ではIT、AIを全分野に入れましょうという流れになっている。だが、現在の日本ではプログラミング教育に矮小化されてしまっているように感じる
3)EdAI(Education+AI):AIを活用して専門教育を実施していくソリューションも出始めている



■質疑:学びへの主体的な参加について

テーマの提示後、以下のような質疑がありました。

質問)
学びについて、学生の主体的な参加の仕方もあるのでは?どんな風に学生が主体的に参加すると理想なのか?

回答1)
ひとつの方法論として、プロジェクト学習(PBL:Project Based Learning)がある。

1年間かけて、先生1人+学生20人程度で、街中の実問題を解いていく活動を進める。答えが提示されているわけではない。まずは役割分担から始まる。チームをつくり、実際に課題を探索しながら進めていく。
ただし現在行われているPBLの中にはは主体的な学びに繋がっていないものもある。予定調和でない学習が重要。

回答2)
オンライン授業・コミュニケーションをより良くするようなツールのデザインもあるのでは?たとえば、ちょっといまいい?と隣の人にきけるような…



■質問:教育で身に付けていくべき力とは?

質問
社会でどのような力が必要かという観点から逆算して、学校で身に着けることが大事かと思うがどのような力を身に着けた方がいいか?

回答1)
そもそも社会とはなにか?教育とはなにか?
個別のことをみとめる教育システムのようなものは現在ない。尖った人を伸ばす働きかけがないのか?現在の教育システムには、質保証の概念が現存することで平均化のためのシステムになってしまっている。

学び続ける制度を作れるか?でというよりも、何を・なぜ学びつづけるのか?という視点が重要

回答2)
「思考力」がとても大事だと感じる。教育って何だろう?と考える機会が最近多い(たとえばプレゼンテーションの仕方)。授業でならうプレゼンと実業でのプレゼンとの乖離がある。社会人から話を聞く、文科省のプログラム外の取り組みを敢えてやってみる、など…。ゲーミフィケーションを用いた授業も面白いのではないか

回答3)
思考力ってなんだろう?自分自身がどんなものを使っているのだろう?論理的なテキストと、イメージと両方から入れるような伝え方、教育もだいじなのではと感じる



■対話:学びに関する原体験のシェア

キックオフ最後の時間では、以下についての対話を行いました。

・サロンでの課題提示を受けて感じたこと
・ご自身や周囲の方の原体験(できるだけ具体的に)
・未来、どんな風になったらよいと思うか?

参加者の方からは、以下のような内容が上がってきました。

・教育がなぜ必要なのか?を考えるきっかけになった
・たとえば、外国の難民問題やプランテーションでの搾取という問題に対して解決策レポートで提出といった講義がある。机上の空論に陥らず、学生たちの本気度を高めたい
・学んだことを活かせる先が見つかった時に、より学びたくなる
・これまで、あまり自分から本を探して読むとか言ったことをしてこなかったが、目標がみつかるとやるようになった
・受験・就活において、学生たちがどんどん貪欲さを身につけていきたい(S.Hさん/学生)
・学校って何なんだろう?社会人になったからの方が勉強している気がする
・知的好奇心を発掘する仕掛けが学生時代にほぼなかった。実社会でどう生きるか分からないのに学ぶことに疑問や苦しみがあった
・社会にある課題をどう解決していくかというような実践型の授業というものが次なる教育の理想なのでは
・何か活かしたいことがあるから学ぶ。知識の植え付けから、活用へ
(S.Nさん/社会人)
・授業に意味が感じられず、周りが落単している人が多い
・これから就活するうえで、今後必要になるような知識・経験を得るためにこういった(デザインプログラムのような)取り組みにでるようになった
・学生からの能動的に参加するような授業が必要
(U.Iさん/学生)


キックオフのレポートは以上です。
参加者のみなさんはこのあと、約2か月半にわたりワークショップを通して事業アイデアを立案→仮説検証していきます。次回のレポートをお楽しみに!

デザインプログラムキックオフ_SSDCテーマ2



■参考:一般社団法人社会システムデザインセンター(SSDC)

SSDC事業創造デザインプログラム キックオフレポート

SSDCの活動にご興味を持っていただけた方は、下記に詳細資料をご用意していますのでご覧ください。

SSDCホームページ

SSDC正会員企業ご紹介

事業創造デザインプログラムとは



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?