見出し画像

豊島区100周年に向けた『ウォーカブルなまちづくり』への期待

※掲載内容は2022年4月6日時点のものです。

2022年は豊島区が誕生してから90年。100周年に向けた新たなスタートに位置付けられる年となっています。豊島区の未来について、豊島区 高野之夫区長と株式会社サンシャインシティ 合場直人社長の対談の様子をご紹介します。


「文化のまちづくり」を掲げて

高野区長
私が区長に就任した当時は財政破綻寸前の危機的状況であり、非常に苦しい区政運営を強いられました。そのためお金を使わなくても区民の皆さんと一緒に地域活動で豊島区を盛り上げようと「文化のまちづくり」を掲げました。2014年に「消滅可能性都市」の指摘を受け、大ピンチかと思われましたが、豊島区は“区民との協働”で文化のまちづくりを加速させ「国際アート・カルチャー都市」構想によって、これを躍進のチャンスに変えたのです。90周年は次の100周年に向けて、夢が実現するスタートになる節目の年と考えています。

豊島区 高野之夫区長

合場
豊島区は“よくぞここまで「文化」を軸に都市の将来像を作り上げてきたな”という都市経営に対する高い評価が定着してきていると感じています。「文化」というテーマはいいですね。調子のいい時も悪い時も“人が動く”ことによって次に繋がり、継続して取り組むことができます。

私たちサンシャインシティグループのスローガンは『なんか面白いこと、その創造力を街の力に』です。サンシャインシティも、オイルショックなど経済不況の波を受け、厳しい経営状況が続きましたが、日々お客様の足を向かわせる工夫と努力を続け、地域の皆様に信頼と価値を感じていただけるようになったと感じています。“ピンチをチャンスに変える”も、豊島区と同じく地元の“皆さんとの協働”にあると考えています。


新しい形の公民連携で、「好きな街」の実現へ

高野区長
いよいよ池袋西口駅前再開発も始まります。池袋の都市再生の仕上げがスタートするのです。この池袋西口駅前再開発は事業協力者として三菱地所グループが地元の権利者と一緒に全体像を描きつつありますね。私は、東口の豊島区新庁舎以降の展開のように、西口も駅前の変化だけではなく、再開発によって西口エリア全体が良くなる、まちが動き出すきっかけにしたいと思っています。

合場
私は前職の三菱地所時代には、主要地方都市のニュータウン開発、横浜ランドマークタワーとみなとみらい21地区の開発、大手町・丸の内・有楽町エリアの「大丸有」再構築などに携わってきました。池袋は副都心のなかで新宿、渋谷に比べて遅れをとって…などとよく言われますが、これは今となっては逆にものすごいアドバンテージだと思います。

かつてのまちづくりは、人口数やインフラの配置、社会形成要素から導き出す都市工学の発想によるものでした。今は都市経営の発想が大切になっています。必要なものがある「正しい街」もイイけど、良い劇場や素敵な公園がある「良い街」の方がイイね、さらにそれよりもっとみんなが「好きな街」になるのがイイね、この「好きな街」の高みを目指そうよ、という考え方です。

池袋は民間デベロッパーが推進役になるのではなく、豊島区自体が推進役となって、行政と区民と民間企業が一緒に考え、提案し、動いていく、これまでにない公民連携の新しい成功モデルができるのではないかと期待しています。

株式会社サンシャインシティ 代表取締役社長 合場直人

高野区長
“池袋らしいまちづくり”にこだわりたいと思っています。先日、この池袋都市再生の将来像について「ウォーカブルなまちづくり」と題して発表しました。『居心地が良く歩きたくなるまちなか』を実現します。合場社長の仰った「好きな街」へのアプローチに近づいていませんか?

合場
そうですね。「歩きたくなるまち」はまさに自分にとって「好きな街」になりますね。これから生き続けるまちは、多くの人が参加し、自分が作ったと思えるまちだと思います。高野区長のお話を聞いて、それこそが「池袋らしさ」なのかもしれないと思えるようになりました。

近年は利潤追求のみを目的とするのではなく、社会課題の解決をビジネスに、という企業も増えてきています。公と民は、手法は違っても目指すものは同じ、それがSDGs(持続可能な社会の実現)ですね。サンシャインシティは池袋のまちとともに成長する企業、池袋の成長になくてはならない企業にこれからもなっていきたいと思います。

高野区長
サンシャインシティにはさまざまな交流のなかで豊島区の公民連携の推進役を担っていただいています。豊島区100周年に向けて、区民と企業と行政が一体となるプラットフォームのような体制を作って取り組みたいと考えています。

合場
歩きたくなるまち「ウォーカブルなまちづくり」のこれからが楽しみです。私たちも一緒になってチャレンジします。池袋だけでなく、豊島区中のまちが「歩きたくなるまち」を目指すのもいいですね。豊島区が区制90周年を記念して“ウォーカブル都市宣言”をする、なんていうのはいかがですか。

高野区長
いいですね。一緒にまちを歩きましょう!

(2022年2月10日 豊島区役所区長応接室にて)

 ©とっぴぃ 豊島の選択/撮影:松本敦(株式会社創発としま)

豊島区 区長
高野之夫 Takano Yukio

家業の古書店経営の後、区議、都議を経て1999年から現職。

株式会社サンシャインシティ 代表取締役社長
合場直人 Aiba Naoto

1977年、三菱地所入社。学生時代はラグビー部と応援団。2018年6月より現職。

サンシャインシティ サステナビリティサイトhttps://sunshinecity.jp/file/official/sustainability/