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最新テクノロジーで人材不足に貢献しながら、より安全・安心なセキュリティ環境へ

サンシャインシティでのショッピング中に、白と黒の小さなパトカーのようなチャーミングなロボットに出会った方もいるかもしれません。このロボットは、AIを搭載した最先端のセキュリティロボット「cocobo(ココボ)※」。実は、不特定多数の人が行き交う大規模な商業施設では、サンシャインシティが初の導入事例という、チャレンジングな取り組みでもあったといいます。

サンシャインシティの警備業務を担当する株式会社アール・エス・シー SS事業統括部の⼤久保さんと、株式会社サンシャインシティ・ビルマネジメント 施設管理部の櫻井さんに、cocoboの採用を決めた理由や能力、施設の安全・安心のためにどのような取り組みを行っているのかを伺いました。

※ cocoboは、セコム株式会社が開発した公共空間と調和するセキュリティロボットです。

大型複合施設初!セキュリティロボットcocobo を導入した理由

――cocoboは大型複合施設では初の導入だったそうですが、なぜ導入を決めたのでしょうか?

大久保
きっかけは、cocoboの前身となるSECOM Robot X2という警備ロボットを館内で短期運用したことです。警備業界の人材不足が課題になっているなかで高性能な警備ロボットが開発され、それまでは空港などの限られた場所でしか運用されていなかった警備ロボットですが、商業施設内でも運用できないかと初めて試験的に導入してみたのがサンシャインシティでした。近年では様々な場面でロボットが活躍しているシーンを見かけるようになりましたが、コロナ禍前でしたので当時は本当に新しい試みでした。その後、2022年6月より後継のcocoboの運用を開始しました。

――セキュリティロボットを導入するにあたり、サンシャインシティ側からはどのような反応がありましたか?

大久保
不特定多数の方がいらっしゃる施設ですので、「安全・安心に運用してほしい」という要望が大きかったです。一番の懸念は、ロボット側から人にぶつかってしまうこと。はじめのうちはロボットの横に人がついて歩き、安全を確認しながらの運用スタートでした。実際はロボットの走行性に問題はなく、施設警備の手助けになりました。

櫻井
ロボットの活用は警備業界の人材不足という課題に貢献できる可能性があること、そして、この取り組みに協力することで、技術が発展し品質も向上すれば、将来的にはサンシャインシティがより安全で快適な場所になる期待もできることが導入の決め手でしたね。

大久保
実は、まだ警備ロボットの導入事例は少ないため、普及が進んできている清掃ロボットなどよりも費用がかかります。それでも、サンシャインシティのように取り組みに賛同する施設があることで、実績を積むことができます。そうすれば他の施設への導入にも繋がり、将来的にはコストが下がって、さらに導入が増え、警備業界の人材不足の課題解消に繋がるのではと期待しています。

頼りになるアイドル的な存在。cocoboの働きぶりに注目!

――実際cocoboはどのようなことができるのですか?

大久保
現在は1台のcocoboが、サンシャイン60ビルにある充電スポットでスタンバイしています。日中は4回、1回あたり約40分かけて館内を巡回。これは人間による巡回警備とあまり変わらないスピードなんですよ。上手に人や障害物を避けながら決められたルートを走行するのですが、その際に映像を撮り溜めているので、何か気になることがあったら過去に遡って確認できるのは人間以上の能力です。異常を察知すると防災センターに通知が入るので、常駐の警備員が向かって対応します。
さらに、夜中にもう1回巡回しています。今までは人が行っていましたが、高齢化で人材が不足している警備業界において、深夜業務というハードな仕事をロボットに任せられるのは雇用を確保する上でも助かっています。

商業エリアで定期的に巡回警備を行う「cocobo」
   

――人口が減少し続ける日本において、将来的にニーズが増えそうですね。

櫻井
そうですね。他の商業施設の方が、実際にcocoboが働いている様子を視察にいらっしゃることもあります。

――走行姿を拝見しましたが、人の流れも多いなか、本当にスムーズに障害物を避けているのでびっくりしました。なによりも威圧感がなく、微笑ましい空気も流れていました。

櫻井
そうなんです。丸みを帯びたフォルムでロボットとして可愛らしいので、お子さまからは特に人気があって、巡回時間に合わせて会いに来てくださる親子もいるんですよ!

――安全を守ってくれる、サンシャインシティのアイドルですね!

警備中に転倒者を発見したり異変を察知したりすると、防災センターに通知を送ります 


商業施設の安全・安心対策のパイオニアとして、これからも一歩先のチャレンジを!

――新しいことに果敢にチャレンジするのは、サンシャインシティらしいと思いました。他にも取り組んでいることはありますか?

櫻井
AIによる警備システムを防犯カメラに搭載しようと、昨年から実証実験を始めたところです。これまでの防犯カメラは、防災センターに画像を送ったり、動画を記録したりするだけでしたが、危険や異常を察知して教えてくれるなど一歩先のアクションをしてくれるものです。倒れている人がいたり、喧嘩のようなトラブルがある動きを検知したら、cocobo同様に防災センターに知らせるシステムです。まだ実証実験中ですので、今後さらにアップデートしていけたらと思います。

大久保
従来の防犯カメラは、防災センターにあるモニターを人の目でチェックし、異常がないかを判断するものでした。しかし、この数十年の間に設置されているカメラの台数が増えてきたため、リアルタイムで人がモニターを監視するには、限界を既に超えてしまっているのが現状なんです。

――人とAI、それぞれに得意な分野があり、適材適所に配置することが、人材不足だけに限らずよりよい社会環境を整えてくことにもつながりますね。cocoboやAIを活用した防犯カメラなど、最新のテクノロジーを導入したことで、現場に変化はありましたか?

大久保
以前は、人間の仕事が取られてしまうのではないかという漠然とした不安の声もありましたが、実際に導入して以降は、不安な声を聞くことはなくなりました。最新テクノロジーを活用することで、より安全・安心が守られていくと思います。

櫻井
施設としては、新しい技術を取り入れるのは注目されるのでプラスの面が大きかったです。ただ、最新の技術ですから私たちも勉強を重ねて、常に新しい情報をキャッチアップできるようにしておく必要がありますね。また、他の施設の方と情報を交換し合うきっかけになるなど、よいコミュニケーションツールにもなっていると感じます。
今後はますます人材が不足し、ロボットが活躍する時代が来ると思います。施設としては何よりも大切なのは安全・安心ですから、未来の安全・安心をつくるためにも、これからもロボットやAIなどの技術開発に少しでも貢献できたらと思います。