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モーションにおける3次元回転

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運動計測では,3次元回転に関する数学的理解が不可欠です.しかし,バイオメカニクスの教科書には詳しい解説は見当たりません.単位クォータニオンを中心に他の分野でも書かれていないことも… もっと読む
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2022年3月の記事一覧

モーションにおける3次元回転 #3 〜複素数による2次元平面の回転〜

モーションにおける3次元回転 #3 〜複素数による2次元平面の回転〜

複雑な3次元の回転について説明する前に,複素数を利用した平面内の回転運動について説明する.クォータニオンとは,この複素数を利用した回転表現の3次元空間への拡張であるので,この理解を避けてとおることはできないし,この理解が3次元空間の回転をより深く理解することにつながるはずである.

複素数とオイラーの公式複素数と回転が関係すると言っても,なかなかピンとこないかもしれないが,ここでは,まず,一直線を

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モーションにおける3次元回転 #2 〜方向余弦行列としての回転行列〜

モーションにおける3次元回転 #2 〜方向余弦行列としての回転行列〜

前章「モーションにおける3次元回転 #1 」で方向余弦行列について触れたが,モーションキャプチャで回転行列を計算する際,多くの場合,方向余弦行列を算出することになるため,ここで少し方向余弦について補足しておく.

前章では,正規直交基底とは直交する座標系の各軸に固定された3つの単位ベクトルで,回転行列はこの正規直交基底を並べたものであることを述べた(図1).

図1の場合,直交する座標系の各$${X

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モーションにおける3次元回転 #1

モーションにおける3次元回転 #1

はじめに

バイオメカニクスの解析では,たとえば「腕と地面のなす角度」「腕の回旋角度」を算出するなど多種多様な解析が必要とされ,問題に応じて自分で解析方法を考えなくてはいけないことが多い.

また,モーションキャプチャなどで関節点の3次元位置が得られているなら,比較的これらの計算は容易であるが,モーションセンサ(IMU)でクォータニオンが出力され,そこからセンサの傾き角度をどのように算出するかとな

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