フランス博士課程に入学するまでにやったこと

こんにちは。フランスの理系博士課程に在籍している笹です。

今回の記事では、海外博士課程を志してから実際に入学するまでにやったことを、簡単にまとめていきます。

各項目を簡単にまとめて、詳細が必要な場合は個別記事を作成したいと思っています。(書き終わった後に見てみるとすごく長い記事になってしまいました。気になるところだけ見ていってください)

では、以下に時系列順にまとめていきます。


1.志望研究グループの選定

2020年10月〜

まず、どの研究グループに所属したいかを漠然と考え始めました。
いくつか頭に浮かぶ研究グループはありましたが、可能性を狭めるのは良くないと思い、改めて自分の分野で活躍しているグループを調べました。

初めに論文で名前と研究内容を知っているグループを詳しく調べました。その後は「〇〇(研究分野) research group」のようなざっくりとしたキーワードでGoogle検索をかけて、知らないグループも発見しました。

大学のレベルによっては入学自体が困難な大学もありますが、最初の段階ではそこは気にせずに、University of Cambridgeのようなトップ大学も候補に入れていました。また、大学だけでなく一部の研究機関でも博士号を取得することが可能ですので、Scripps Researchなどの研究機関も検討しました。

最終的にヨーロッパ の4つの研究グループまで絞り込みました。日本で修士課程を修了してからの入学であるため、博士課程から入学することが一般に可能であるヨーロッパを選択しました。アメリカの大学や研究所の場合、修士と博士が一体化していることが多く、PhDを取得するまでに5年以上かかることがほとんどでした。

また、この時点で日本の指導教官に海外の博士課程を希望していることを伝えました。


2.TOEFLの点数の確保

2020年12月〜2021年8月

次に始めたのがTOEFL iBTの点数の確保です。
大学の入学要件のほかに、後述する奨学金の応募条件にもTOEFLの点数を要求するものがあったため、全てを満足する100/120点を目標としました。

2020年12月にあまり対策をしないまま初めてのTOEFLを受けてみたところ、85点を取得しました。スピーキングの形式が独特で、対策しないとボロボロだったので、DMM英会話などを活用してスピーキングの対策をしました。

2〜3ヶ月に1回のペースで試験を受け続け、4回目の試験である2021年8月に102点を取得しました。一回の受験に3万円程度かかるので受ける回数は少なくしたかったのですが、4回も受験することになってしまいました。

TOEFLの点数推移や対策は個別記事にまとめたいと思います。


3.利用可能な給付型奨学金の調査

2021年3月〜2021年7月

これが一番大事な項目です。海外の研究機関における博士課程学生は学生でありながら労働者の扱いにもなるので、給料が出る場合がほとんどです。ですので、教授は博士課程学生を迎えるのに予算が必要になるわけですが、もし学生が自分で外部奨学金を確保していれば、教授としては非常に嬉しい話になるのです。また、倍率の高い研究グループでは、自分で外部奨学金を確保していないとそもそも学生を受け入れない場合もあります。

海外での博士課程進学を支援する給付型の奨学金が世の中にはいくつかあります。

日本で一番有名なのはJASSO(日本学生支援機構)による海外留学支援制度(大学院学位取得型)だと思います。倍率は4倍程度でそこまで高くないので狙い目ですが、書類作成が非常に、本当に、めんどくさかったです。

ほかにも、日本国内の財団が募集している奨学金がいくつかあります。待遇が素晴らしいものが多いですが、倍率が非常に高いです。数十倍の倍率がほとんどです。

進学先の国によっては、外国人向けの奨学金を公募している国もあります。実際に私はフランス政府の奨学金を受給しています。

また、分野や出身地に限定した奨学金の募集も多数見かけます。

奨学金についても個別記事を作成したいと思います。過去の自分が一番時間をかけたのが奨学金の情報収集でしたので、きっと役に立つ記事になると思います。


4.教授へのコンタクト

2021年7月〜8月

TOEFLの点数を確保して、利用可能な奨学金を調べ尽くしたのち、ついに現地の教授にコンタクトを取りました。

来年9月に関する問い合わせとしては少し早すぎるかもしれませんが、奨学金の申請締め切りが9月か10月のものが多かったので、余裕を持てるよう早めにコンタクトしました。

英語のCVを用意して、丁寧な文体の英語で4人の教授にメールを送りました。メールの書き方や内容はブログなどを参考にしました。PhDに興味があること、学術的な興味の内容、日本の奨学金に申請可能であることなどを書きました。

緊張しながら待っていると、4人中2人の教授からは1週間以内に好意的な返信をいただくことができました。その後ビデオミーティングを行い、教授の協力のもと、本格的な奨学金の申請書類の準備を始めました。

この項目についても、特にメールの書き方と内容について個別記事を作成するかもしれません。


5.奨学金の申請

2021年9月〜2021年10月

7個の奨学金に申請しました。このうち面接まで通過できたのはJASSOとフランス政府奨学金の2つだけです。

また、少しでも可能性を広げるために、日本の所属研究室でそのまま博士課程に進むことも想定して学振にも応募していました。

この項目については、あまり書くことがないので個別記事は作成しません。
学振の対策本に研究計画の書き方が詳しく書いてあるので、そちらを参照することをお勧めします。実際私も学振の書類に時間をかけて、他の奨学金の書類は学振の書類の内容を流用しました。
また、指導教官の推薦書が複数必要なことが多いので、メインの指導教官以外に、交流のある教授/准教授にお願いできると良いです。


6.奨学金の面接

2022年1月〜2022年2月

JASSOの面接はオンラインで、フランス政府奨学金の面接はフランス大使館で行われました。

JASSOは書類について質問を受ける形式で、フランス政府奨学金はプレゼンテーションののち質疑応答という形式でした。両方とも、専門外の審査の先生方にわかりやすく研究内容を伝えることを心がけました。フランス政府奨学金の面接はフランス語も選択できましたが、英語で行いました。

結果、フランス政府奨学金の審査に合格することができました。教授に連絡をして、入学手続きやビザの手続きを開始しました。


7.入学手続き

2022年3月〜2022年9月

ここからはフランスに特化した内容になります。

現地の秘書さんと連絡を取り、必要な事務手続きを進めていきました。7月と8月に研究員として労働契約を結び、9月から博士課程に入学するという流れだったので、少し特殊かもしれません。ビザの申請に必要なConvention d'accueilはこの段階でいただきました。

大事なことは、日本で発行できる書類は十分に用意しておくことです。学位証明書、成績証明書、ワクチン接種証明、戸籍抄本など…… 特に戸籍抄本はフランス語訳が必要だったので早めの準備が大事でした。

また、家探しも同時に始めます。私は幸運にも大学の施設の部屋を確保することができました。大きい大学には滞在施設が設けてある場合がほとんどだと思います。一般の賃貸を借りることも可能ではありますが、フランス語のやりとりが少しめんどくさいのと、保証人が必要なので少し大変です。


8.ビザの申請

2022年3月〜2022年6月

ビザの申請は少し苦労しました。
簡単に言えば書類を用意して、ネットで日時を予約して、広尾のフランス大使館を訪問するだけなのですが……
何の書類が必要なのかよく分からず、訪問してからその場で書類を記入することになってしまいました。結局は申請が受理されたので良かったのですけどね。よく調べて書類を準備しましょう。

気が向けば個別記事で詳しく流れを説明するかもしれません。


9.渡航準備

2022年6月

事務手続きが済んだらいよいよ渡航です。ドイツに数ヶ月滞在した経験があったので準備はスムーズに進みました。2022年6月時点ではワクチンの接種証明は必要でした。

執筆時点ではこちらに来てから3ヶ月経っていますが、今のところあまり不自由していません。今後「日本であれを準備していれば良かった……」と思うようなことがあればこの項目に追記していきます。


まとめ

海外博士課程を志してから実際に渡航するまでの私の経験を説明しました。

内容の多い項目については個別記事を作成する予定です。ですが、いつになるか分からないので、もしご質問がありましたらお気軽にお知らせください。お答えできる範囲で何でもお答えします。

そもそも海外博士課程に行くか迷っている……という方もご相談していただければ何かご助言できると思います。苦労を伴う進路なので手放しにお勧めはできませんが、得られるものも多い魅力的な選択肢です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。次の記事でお会いしましょう!


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