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夜勤中に呪霊と遭遇してしまった


これは、実話である。



某日、深夜3時30分
静かな夜でした。とてもとても静かな夜。
わたくしは優雅に紅茶ラテを飲みながらそこそこに鳴り止まないナースコールを取り、時には歩けないことを忘れてしまった認知症のお爺様のトイレ介助を行い、時には品のあるお婆様がトイレまで歩かれるのを見届け、時には空になりアラームの鳴っているシリンジポンプを更新し、それはそれは忙しなく夜勤の一人番をこなしていたのです。
4時の巡視。とはいっても少々早いですが、ナースコールや点滴のアラームをさばきながら回り終えるには丁度よい時間でした。
オムツ交換に必要なタオルや手袋を乗せた処置カートを押しながら、巡視に回っていたのです。
皆々様方よく眠られておられます。よく寝れないと仰って廊下のソファに座っている患者さんも、いびきをかいて気持ち良さそうに眠っておられました。
するとどうでしょう。窓ガラスに人影が写っておりました。
男性でした。それがわかるほどに、はっきりと人影が雨に叩かれる窓ガラスに写り混んでいたのです。
わたくしは、こんな夜中にお散歩だなんて驚くじゃありませんの。と思いながら後ろを振り返りました。後ろには誰もおりません。


只今わたくしの働く病棟で歩ける男性患者さんは、点滴や酸素が繋がっている方か、起き上がるだけでセンサーが鳴る方か、そして先述した眠れないと廊下のソファにひょっこり座りにいらっしゃる方しか入院しておられないのです。
窓ガラスに写っている人影は、確かに当院のレンタル寝衣を着て(そのためわたくしが目撃したのはスタッフではありません)、点滴棒も持たずに歩いているのです。
作動していたセンサーは全て確認を済ませております。
こうして廊下を歩けるただ一人の患者さんは、ほんの数秒前にいびきをかいているのを確認しております。
さて、そしてその虚像には、実像がございません。


貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
呪霊の類いかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!

闇を祓って~闇を祓って~♪
夜の帳が下りたら合図だ~~~~~♪♪♪


就職と共に上京して早数年、俺っち呪霊を見ちまったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

見た瞬間は冷静でしたとも。
「あー、ん?誰???歩ける人、寝てたけど???ん???誰か点滴引き抜いて歩いて~んのか???はぁ??????」
と、恐怖を抱く前にリスクマネジメント。
呪霊より点滴やらなんやらを引き抜かれる方がよっぽど怖いのです。目の前で心停止される方がよっぽど怖いのです。

窓ガラスの多い当院、生きてる人間が歩いてる様子が反射しているだけの可能性がありました。

状況を整理しよう。

○奴は点滴も何もつけていない。
○病衣を着た男性
○スタスタ歩ける患者
○上記三点に該当する患者はただ一人。数秒前にいびきをかいているのを確認。

IQ3000000000(自称)の私は光の速さで推理。

「誰だ。点滴抜いてベッドセンサーくぐり抜けて夜中に歩いてる奴は!!!!死にたいのか!!!!!」


急いで他の部屋の巡視をします。
歩くだけで心臓がお釈迦になってしまう人、点滴を止めたらたちまち血圧が下がる人、管を抜いたら本気で心臓が止まる人、そんな人ばかりが入院しているここで、看護師の存ぜぬうちに歩かれたとなっては生死に関わる大惨事なのです。

窓ガラスの虚像は私の巡視の方向と同じ方向に歩いていきます。ついてきてる。しかし私はそれどころじゃない。
こちとら人様の命がかかってんだ。呪霊ごときが邪魔すんじゃねぇ。
全部屋の巡視をし直し、皆よく寝ていることを確認し、心電図モニターの波形も確認。あー、よかった~~~誰も死なな~い~~~。みんな生きてるいい日和~~~

そして私は安堵して心の中で廻廻奇譚を歌いながらオムツ交換のため部屋を回り、他のスタッフの仮眠が明けるのを待っていたんですね。

そして時間は過ぎ去り、慌ただしく朝のラウンドや業務を済ませて自転車で帰宅している時に、「そういやあの窓ガラスの人影、なんだったんだろうなぁ」と

終わった後に思い返せばこそですが、私はとうとう見てしまったわけですね。


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Oh,ghost!


嫁入り前に幽霊を見ると一生見るとききました。

高校生の時にその話をきいた私は、そんなのごめんだとおじいちゃまに話した記憶があります。その時おじいちゃまは
「俺が70年生きてて見たことがないんだから、見るわけないだろう」
と、答えてくれました。私はその一言で救われて、以降幽霊とか気にしなくなったのです。
おじいちゃま……私見てしまいましたよ……。おじいちゃま……。
故郷にいる存命のおじいちゃまに向かって空に投げ掛けます。この青い空は私の故郷にもつながっているのでしょう。

元々、私は幽霊や怪奇現象が怖くて仕方なかった可愛らしい少女でした。本当にあった怖い話やホラー映画も見れない程に。夜中トイレに行くとき鏡がみれない程に。
そんな私はとある男性の死をきっかけに怪奇現象への恐怖を乗り越えます。
その男の名は岸沼良樹。(CV.中村悠一)コープスパーティーというホラーアドベンチャーゲームの登場キャラクターです。

コープスパーティーのアニメで彼は、好きな女の子を守るために壮絶な死を迎えます。
推しを失った悲しさは、怪奇現象への恐怖を越えました。以降私は深夜2時のトイレも1人で行けるようになりましたし、塾の帰りの道も1人で帰れるようになりました。ホラーゲームの実況も1人で見れるようになりました。
言い様のない恐怖を感じる時には、彼のことを思い出し、あの時の喪失感で恐怖を塗り潰して生きてきたのです。

窓ガラスの呪霊に出会ったとき、腰を抜かさず職業人として正しい判断を行えたのは彼の犠牲があってこそと言えるでしょう。
ありがとう岸沼くん。君のことは忘れないよ。

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しかしです。
その呪霊に遭遇したことにより、私は仕事を増やされているわけですよね。
すでに巡視の終わった部屋を周り直してるわけですし。
そう思うと怒りが沸いてきます。

よくも、よくも、仕事の邪魔をしてくれたな。

廻廻奇譚ではなく、廻廻労働じゃねぇかぁ、なぁ??おいおいおい。
しかも嫁入り前に見ちまったじゃねぇか。
許さない。
許さないっ!!!!!
君がッ泣くまで殴るのをやめないッ!


次は窓ガラスから出て来い。タイマン張んぞ。
処置カートで引き殺してやるからよぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
次はッ!!!絶対ッ!!!!仕留めるッ!!!!!!!

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お父さん、お母さん。お元気ですか?

あなたたちが大切に大切に育てた娘は、幽霊をカートで引き殺そうとする程に強く、逞しくなりましたよ。

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皆さんがもし入院した時には、消灯後の廊下を迂闊に歩くのは止めたほうがいいでしょう。
呪霊と勘違いした看護師に殺意を向けられカートでひき殺されるかもしれませんからね!

そんな私の奇妙な夜勤でしたが、実は私が今一番熱を入れているあんさんぶるスターズ!!のストーリーでも、怪奇現象を表題にしたものがありまして

こちらです。

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こちらのストーリーでは私の最推し七種茨が大活躍しておりますよ☆
ダイヤ3個を砕くと読めるようになっておりますので機会があれば是非ともご一読くださいね!
読了後にはダイヤが1個プレゼント、言い換えればキャッシュバックされますので、実質ダイヤ2個で読むことが出来ます!!!

そんなあんさんぶるスターズ!!ですが、大型アップデート1周年記念、そして来る6周年のため、様々な企画が準備されています!

是非是非インストールしてくださいね!


そしてなんとあんさんぶるスターズ!のライブイベントコンテンツ、スタライの配信チケットが買えるというじゃありませんか!!

幕張メッセでなんと3日間!

4月29日、4月30日、5月1日に開催されますよ!

是非是非奮ってご購入くださいね☆


ESMGディレイビューイングも延長決定!全国の映画館で上映中!


それでは皆さん!ご一緒に!
突撃!侵略!制覇!

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幽霊か何か存じ上げませんが、私は軍事施設組のデュエットを聴くまでお迎えいただくわけにはいかんのでありますよ!!!!

あっはっはっはっ☆

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