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人生が好転〜超絶美女までゲットした男

社会人5年目の彼は職場で不貞腐れていた
入社当時から上司と馬が合わず
やる気の無い態度に周りからも諦められ
とうとう職場から追い出される事になる
ある日退屈な毎日を過ごす彼は上司から
別部署へ応援に行く話を持ちかけられた
彼は迷う事なく即答『行く』
これが彼と私の出会いとなる

私の職場ではこんな噂が立っていた
『職場のお荷物』
『やる気が無くて態度も悪い』
『上司の言う事を聞かない』
『仕事もまともに出来ない』
『めちゃくちゃな人間が来る』
そんな奴存在するのかと疑う程の言われ様

そんな彼が職場へ来た
見た目は無精髭を生やし無愛想
作業服を腰パンで穿いている
確かに見た目から印象が悪い
噂を証明するかの様な風貌
応援に来てくれたものの
私自身警戒していた事もあり
なかなか一緒に仕事をする機会は無かった
彼と誰かが話している中で
多少会話をする程度の関係
日が経つにつれ少しずつだが
彼という人間が見えてきた

・無精髭はある芸能人に憧れて
生やしているという単純な理由
※元職場では反抗の現れと表現されていた

・腰パンをしているのでは無く
極端な短足で裾が余ってしまう
※元職場では何度注意しても直さないから
言う事を聞かないレッテルを貼られていた
直さないでは無くて直せない理由があった

・仕事をしないのでは無く仕事量が
少ないから早く終わらせると暇で仕方なかった
※元職場の方針が残業時間ゼロであった為
上司は相当余裕のある仕事しか取らない

色々な事情があったとは言え
言葉にして伝えなかった事で
悪い印象を与えてしまった
会社という組織の中で失った信頼を
取り戻すのは相当大変である

ある日彼が私に声をかけてきた
『痩せるにはどうしたらいいですか?』
どこかで情報を得たのだろう
初めは会話のきっかけ作りくらいに
思っていたが毎日毎日質問してくる
そして伝えた事を実践し続けている
この時の彼は身長の割にかなり横に大きく
顔にはニキビが噴き出していて
食生活の乱れを物語っていた

そこから半年が経った頃
周りから『あいつ痩せてきたな』
『何か吹き込んだのか?』
こんな事を言われる様になる
毎日見ていると分からなかったが
よく見ると確かに違う
全身がスッキリしていて
顔のニキビは消えている
情報だけ与えて何も聞いていなかった
改めて聞いてみると
『あの日から13kg落ちました』
『えーーーー』久しぶりに衝撃を受けた
なんと作業服がワンサイズ落ちている
彼は私が伝えた事を鵜呑みにしてくれ
淡々と食事管理をしていたと言う
この瞬間彼に対する私の中での
不信感は全て消え去った

私自身も減量を経験しているから
どれだけ積み重ねる事が難しいかを
身に染みて分かっている
淡々とこなすにもあらゆる誘惑があり
時に精神が疲れ切る事もある
しかし彼はこの半年間一度も
辛い姿を表に出さず過ごしてきた
仕事に対しても積極的に動き
態度が悪いなんて感じる事は無かった
周りもあの噂は何だったのかと言っている
化けの皮はいつか剥がれると思っていたが
剥がれた時の彼は素晴らしく良い男だった
純粋で忙し過ぎるくらいの仕事に
テンションが上がり自虐ネタで周囲を
笑顔にする事も出来る
環境が人を変えるとはこういう事だと実感した
彼にとって良い環境に巡り会えた事は
秘めた想いに運が重なったとも言える
この時周囲に彼を悪く言う人間は
いなくなっていた
信頼も同時に積み上げていたのだ

彼の意欲は止まらない
『筋トレを始めたいです』
『プロテインは飲んだ方がいいですか』
ダイエットが成功した事で
次のステージへと足を踏み入れた
彼がどうなりたいかを聞いて
トレーニングのプログラムと
同時に筋肉を付ける為の食事管理法を伝えた
彼ならやれるだろう
そう思わせる

それから半年後
彼は思った以上に成長を遂げてきた
上半身の作業服がやけに張っている
バランス良く鍛えているが
胸筋の発達が恐ろしい
表情にも自信が伺える程逞しくなった
『筋トレが楽しくて仕方ないです』
筋トレ初心者が正しい情報を得て
トレーニングすると物凄い勢いで
成長すると聞いた事があったがまさにこの事

冒頭に述べた彼の紹介が信じられない
彼はさらに仕事面でも覚悟を決める
元々応援1年間という期限付き
どれだけ文句を言われようが
そう簡単に邪魔者を排除出来ないのが
会社の仕組み
元職場へ帰る事を予定されていたが
彼は先を見据えて動いた
上司に自ら宣言
『帰るつもりは無い』
『帰って来いと言うならやめる』
応援に来てもらっている私の職場では
誰もが残ってくれたら嬉しいと言う
しかしそこは上司が決める事であり
会社として1人の意見を通してしまう事が
あっては他で収集が付かなくなる
先は思いやられた

しかし運命はまたも彼を味方する
私の職場への応援システムは
いくつかの職場から期限付きで
来てもらう様になっていたが
それを廃止する事になった
その代わり人員不足を補う為に
今まで応援に来てくれた人の中から
1人転籍してもらうという事になった
絵に描いた様な出来事
全てのタイミングが重なり
彼は私の職場へ正式に仲間として
迎え入れられた

人生は望んで行動し続ければ叶うものなのか
目の前に叶った人間がいるのは事実
喜ばしい事に加え貴重な学びとなる
彼とは今や一緒にトレーニングする仲である
私は身近にそんな人間が居なかった為
互いに高め合える関係が嬉しくもあり
感謝している

話は終盤に近付いてきた
ミラクルはまだ続く
彼はずっと見ているだけだった
憧れの美女と趣味を通して知り合っていた
数年も前の話だ
もちろん美女には常に彼氏が居た
そして到底届かない存在と考えていた
しかし久しぶりに会った時
彼氏と別れたばかりと聞いた
彼はすぐに動いた
『ご飯に行こう』返事はOK
美女は整った顔にモデルの様な体型
気が強そうに見えなかなか男が近付けない印象

デート当日ご飯を食べて楽しい時間は
あっという間に過ぎた
一緒にご飯を食べれただけでも嬉しかったが
帰り際に彼は動いた『俺と付き合おう』
素晴らしい行動力
美女からの返事は『考えさせてほしい』
運も味方に付けた男も不安になる
それから1週間過ぎた頃
美女から返事が来た
『過去の彼との事もあり
正直付き合う事に億劫になっている』
『やりたい事もあるから
私と付き合うの辞めといた方がいい』

これはフラれているのか?
そう思う所だが今の彼は動じない
『全てを受け入れる』
『付き合って欲しい』
これは見本とも言える回答
彼女は試していたのか?
『わかった』
『こんな私で良ければお願いします』

素晴らしい
人生を好転させるは美女を落とすは
どうなっているんだと言いたい
そんな報告を受けて喜びと共に
男として負けてられないと
意味の分からない感情も込み上げた私

話をデートの時に戻すと
彼女のモデル体型は
トレーニングをして手に入れたものと知る
そして彼もトレーニングをしているから
さらに趣味が合った事で盛り上がったとの事
減量時の食事話や日頃の過ごし方が
希少な男に映ったのは間違いない
自分わ変える為に続けてきた事が
気付いた時には武器になっていた

彼の人間の良さに努力が重なり
運命をも味方に付けた話
私が思うのは何かを一生懸命に
取り組む人間はどこか魅力的に映り
それが雰囲気として醸し出される
積み重ねは自信となり自分を
思った通りに動かせる様になる

映画でも何でもない日常に
一つの物語りが生まれた
彼は止まらない
私も止まらない
共に成長し続けよう

長らく読んで頂きありがとうございます
誰かの勇気になれば幸いです






















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