マーケティング用のマルチモーダルAIを設計
GoCharlie.aiの創業者兼CEOは、SRIと協力してデジタルコンテンツの制作現場へ改革をする
GoCharlie.aiのCEO兼共同創業者であるKostas Hatalisは、SRIのCenter for Vision Technologiesと協力してマーケティング専門家の業務フローの拡大を支援しています。KostasとGoCharlie.aiのチームは、SRIのモデルカスタマイゼーション(モデルのカスタム化)とマルチモーダルのモデル拡張を活用して、同社の大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)がマーケティング業界に変革をもたらすような革新的なマルチモーダルAIモデルになることを目指し、SRIの専門家と緊密に協力しています。
このブログでは、AIへの揺るぎない情熱とKostasのアイデアのきっかけとなった家族との繋がりについて語ってくれました。
私がAIに興味を持ったのは、高校生のときにレイ・カーツワイル(Raymond Kurzweil)の『シンギュラリティは近い(The Singularity is Near)』という本を読んだのがきっかけです。それは2000年代の後半、90年代のいわゆる「AIの冬時代 “AI winter”」の直後で、この分野はカタツムリのようにのんびりとしたペースで進展しているようにも見えました。その後、大学院に進もうとしたときも変わらずゆっくりと、特にニューラルネットワークの分野はのんびり進んでいるように感じられました。大学の教授の中には、機械学習はもう先の見込みのない分野であり、博士課程で学ぶべきでないと言う人もいたのですが、私はAIには未来があると信じていました。私は深層学習(ディープラーニング)を専攻して電気工学の博士号を取得しましたが、教授になるつもりも研究室で働くつもりもありませんでした。
2019年に卒業した私は、共同創設者のDespina Christouと共に、生成AI(generative AI)関連企業のGoCharlie.aiを2022年に立ち上げました。私たちはGPT-3の成功を目の当たりにしており、特にマーケティングの分野で使用できるように製品を改良したいと考えていました。私の姉妹はマーケターなのですが、彼女がパーソナライズしたソーシャルメディアのコンテンツを複数のクライアント向けに作成するときに、必要なすべてのパーツの取扱いに苦労し、疲弊しているのを見ていました。ここから、私たちは文章(テキスト)はブログや記事を書くための1つの手段にすぎず、画像や動画、そして音声がこれからの時代に重要となってくることに気づいたのです。
SRIと関係ができたのはこの時期でした。私たちは、SRIのベンチャーズグループのTodd Stavishと会って、(マーケティング用の)コピーライティングだけでなく、これらにまつわる他の要素も提供できるように私たちのモデルをより強力なものに拡張できないかと議論を重ねました。現在、私たちはRyan Lewisをグループに迎え入れており、SRIのCenter for Vision TechnologiesのKaran SikkaとAjay Divakaranがいる素晴らしいチームと協力して、マルチモーダル(マルチメディア)モデルを開発しています。これは、まさに天が引き合わせてくれたような関係だと思っています。
この会社に対する私の最終的ビジョンは、退屈で繰り返しになりがちな仕事の一部を自動化することで、クリエイティブな仕事をする人たちが自由に好きなことや楽しいことが出来るようにすることです。例えば、私の姉妹は写真に情熱を注いでいます。私たちの大規模学習モデルであるCharlieを活用すれば、好きな写真を撮ることに時間の大半を費やすことができ、また撮影した写真を使ってパーソナライズしたマーケティング・コンテンツをAIに作成してもらうこともできるのです。この技術は、人事から金融まで、また医療から教育に至るまで、幅広い分野のコピーライティングやコンテンツ作成に変革をもたらす可能性を秘めています。
現在、AIが作成しているのは基本的なコンテンツですが、明日にもパーソナライゼーションが格段に進歩してアニメーションや動画、映画、音楽、詩、本など、各個人が好きなコンテンツを作成できるようになると私は予想しています。もっと言うと、AIが自律的な判断を下してEメールを使ったキャンペーンの立案や実行など、複雑なタスクを実行できるようになるのです。あらゆる分野で、まさに破壊的な変化が起こるだろうと思っていますが、私は、私たちの両親や祖父母がこれまで耐えてきた仕事に対するストレスの多くが過去のものとなり、多くの分野のクリエイティブな人たちが、熱中して取り組みたいと思う仕事に自由に集中できるようになる未来を楽しみにしています。