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組織風土改革日報№.14_予期した通過と予期せぬ通達(鼻から焼酎)

①前回のあらすじ

2021年4月から自律分散型組織の企画運営リーダーとしてアサインされた私(キタ)。
元々はキャリア支援機能を、部内に付与するという企画提起から、今の職務に流れ着いていたのだが、社内活動と並行して進めていた、キャリアコンサルタントの国家試験が、漸く自己採点では合格の目途が付いた。
さて、自律分散型組織の導入に託けて、本来やりたい事に向けて、1歩踏み出してみようか。

~登場人物~
林さん:キタの上司(課長)
下井さん:社内キャリアサポーターのおじさん

②『鼻から牛乳』の正しい使い方

どよっとした雲が空の光を遮り、蓋をされた冷蔵庫の、その内側にすっぽりと世界が閉じ込められてしまった様な、2021年12月。
私に光差す、キャリアコンサルタント国家試験の、合格通知が届いた。

「もしかしたら、答案用紙に名前を書き忘れてんじゃないか。。。」

というネガティブな仮説は棄却され、安堵するのも束の間、キャリアコンサルタント登録センターにて、登録申請処理が求められる。
申請受理には1カ月掛かるらしい。

飼い主の戯れで、大好物を何度もおあずけされる犬の様な気分だが、その犬は別のおもちゃの事で頭がいっぱいだ。
(おもちゃという表現は読み損なってるが。)

社内へキャリアコンサルタント機能の付与。

元々この職務を拝命するキッカケとなったのは、製造部にキャリア支援機能を付与するという、私自身のチャレンジ企画があったのだ。

従業員の健康と情熱をサポートする

今は国家資格保有という社会的責任を伴って、名実共に推進する側に立った事になる。

上司の林さんに、早速現状を報告する。

「キャリアコンサルタントの国家試験、無事通過しました!おそらく1月には正式に受理されるかと思います👍」

『そうですか~、良かったやん。』

「有難う御座います!早速、キャリア支援窓口を立ち上げたいと思います!」

『もう居てるで。』

「えぇ!まずは管理職の皆さんに説明を、、、えっ?、、、もう居てる?」

『うん。キャリアサポーターやんな。』

・・・

えーーー!
ビックリ!!全く知らなかった。
サングラスを掛けた、ダミ声が特徴の、替え歌専門の歌手の表現を借りるならば、
チャラリ~ 鼻から牛乳~♪である。
(若い人は知らないだろうなぁw というか、私自身、初めて素でこれを使った。なるほど、こういう使い方か。)

『あれ?知らんかったん?人事の方にキャリアサポーターのおじさん居てるで。協働すんねやろ?』

「あぁ、、、あ!んー。。。うん。知らんかったです。。。」

『そうなん?一度話をしといで。筋通しとかんと、後々ちゃぶ台ひっくり返されてもアレやしなぁ。確か下井さんって方やで。』

「かしこまりました。有難う御座います。。。」

知らん知らん!!
というかキャリアサポーターという大切な役割が、なぜここまで浸透していないのだ!!

ちょっとだけモヤモヤする気持ちを抱えながら、以前5名程にトライアルで実施した、私の社内キャリアカウンセリングの実績と、評価データを備えて、早速下井さんにメールでアポイントを取った。

何となく、大きな組織は越境を嫌うイメージを持っているが、下井さんの返信メールは『合格おめでとう、データ見ました。一度話をしよう。』と、非常にポジティブなものだった。

メールのフッター部には署名があり、”キャリアコンサルタント資格保有”と銘打たれていた。

私と同じ冠だ。同じ使命を持つ仲間として認知したせいか、何だか勝手に親密さを感じた。


③予期した通過と予期せぬ通達

「はじめまして、製造部の北と申します。」

『下井です。』

やや小柄な体躯。165cmほどだろうか。
白髪は短く刈り込まれ、1本1本に若干の隙間を備えたヘアースタイルは、真冬の草原の様である。

その一方で、肌は初夏の日焼け程度の、健康的な浅黒さをまとった、どことなく柔道の達人を彷彿とさせる、60歳ほどのおじさんだった。

相対するは、豊かな大胸筋と、腹囲に不健康的な贅肉をまとった、色白で胆嚢を失った、もうすぐ41歳になる私である。

「お時間を頂き、有難う御座います。今日は私の企画について、ご相談、というか、単刀直入に言うと、ご支援頂けないか、というお話をさせて下さい。」

『えぇ。ではまず背景から聴かせてもらえる?』

おぉ~、キャリコンや~。

あ、俺もか。

自己紹介、私のキャリコン取得に至った背景や、現在の職務説明について、簡単に済ませた。

『すごいね。自分で今の道を選択したんだ。』

「はい。ミッドライフ・クライシスを自覚し、内省したんだと思います。」

『ユングだね。』

話が通じる!!楽しい😂

「えぇ。現場には、自分達の身近で、直ぐにキャリア相談が出来る人が、私は必要だと思うんです。それは先般共有させて頂いたデータからも、読み取る事は出来ました。」

続ける。

「そこで、セルフキャリアドックなど、色々とアイデアはありますが、いきなり大きい改革は控え、着実に小さいところから、部内に対して、キャリア相談できる窓口を設置し、電子掲示板から、誰でもいつでも、私に相談できる環境を作ろうと思うんです。」

製造部には面白い特徴がある。
どれだけ社会的に推奨され、現場に必要だと認識されていても、何となく大きな規模感での活動は、最初は嫌がってみるのである。

その事実をこの半年間、嫌というほど味わってきた。その経験から出た、前述の言葉だった様にも思う。

下井さんが返す。

『確かに製造からすると、人事はやや敷居の高さがあるようだね。課題を感じてます。現在は50歳を過ぎた方の、セカンドキャリアのサポートに力を入れているので、働き盛りの方へのサポートは、行き届いていないでしょうし。それを北さんが担ってくれるのであれば、企画はやぶさかではないですね。』

ヨシ!ヨシ!!

「有難いお言葉です。。。一つ宜しいでしょうか。」

『はい。』

「おそらく、社内のキャリアサポートという文脈には、転職といった、人事領域のご相談や、メンタルヘルスに関する内容も含まれてきますよね。」

『そうだね。』

「そういった、職務上のキャリア選択以外の、製造部としては所謂重たい案件については、バックアップ頂けないか、と思うのですが。」

『当然だね。それは私の方で対応しますよ。』

おっしゃー!!サンキュー下井さん!!あんた神だ!
と絶叫しそうになるのをこらえた。

「有難う御座います。では早速電子掲示板で社内通知をしたいと思いますが、回覧先に下井さんを入れさせて頂いてよろしいでしょうか?」

『ccでいいですよ。人事の部長には、私の方から伝えておくので。』

「かしこまりました、有難う御座います。では近日中に対応致しますので、宜しくお願い致します。」

『宜しく。他にもキャリコン居るの?』

「私が所属する部では、話は聞こえてきませんでした。ただ、現在養成講座に通おうとしているメンバーは2人程知ってます。」

『そうなんだ。楽しみだね。』

「えぇ。それでは失礼致します。」


概ね期待通りの成果を得た私は、早速林さんに報告した。
良かったやん。という一言目に続けられた、
二言目で激震が走る。

『そうそう、キタ君。私も君も、異動やわ。』

はいはい、異動ね。ん?異動?

いどえええぇぇぇぇぇーーー!!!

もう鼻から牛乳では効かん効かん!!
牛乳どころか、鼻から焼酎出るって!!
ズバババーーって!!
赤兎馬ババババーって!!!


日報№.15へ続く、、、のか?

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