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従業員が辞めるパターンの分析

 人手は不足と言われて、しばらく経ちます。この傾向はまだまだ続くでしょう。新しく求人するより、定着させる方が望ましいことは知りながら、なかなかそう簡単な話ではありません。

 定着の視点から見ないで、辞める人の事情や感情をベースに考えることで、辞めないメカニズムを見つけ出すことができないでしょうか。

退職のパターン

退職するパターンは3種類あります。
1.本人が予期しない退職
2.いつかは辞める予定だった退職
3.辞めたくなってしまった退職
この複合パターンもあります。

1.本人が予期しない退職 
 
本人の意思に関係なく、いきなり辞めざるを得ない場合があります。代表的なものから考えます。
1-1 死亡
 事故や病気で亡くなってしまうのは、最終的に避けることはできませし、防止もできません。ご冥福をお祈りします。
1-2 病気
 短期間であれば休職という手段もありえますが、長期になるのが明らかであれば、退職せざるをえません。健康診断と不摂生の改善が最大の防御になりますが、当人の意識次第なので難しいです。
1-3 行方不明
 恋人に連れていかれたとか、シェルターに逃げ込んだとか、連絡が取れなくなった等の対処不能な事態は時々起こります。これも事前対処が不可能です。
1-4 逮捕
 罪状と認否によって対応は変わりますが、これも事前対策は無理。無実の勾留もあります。現行犯ならむしろ解雇を検討すべきかも。
1-5 解雇
 懲戒解雇案件なら、むしろ会社からの通告なので、対策どころではありません。

 ということで、本人が予期していないのは、会社も予期していないので、事前にできることは限られています。ちなみにこれらの例は、ほとんどが現実に私の社労士事務所に相談があった話が含まれています。「自分の会社にはありえない」とは言えません。

辞めたい度変化 縦軸が辞めたい度 横軸が時間経過

 赤い縦線が退職日です。感情をグラフにすると、突然辞めてしまうので、完全退職モード、達観モード、葛藤中に分かれます。どういう心情であっても、復帰も引き止めもできないので仕方がありません。

2.いつかは辞める予定だった退職

 入社時点からいずれ辞める予定で入社する人がいます。いずれは社長とか独立開業を夢見る人もとか。社労士事務所に入所する有資格者も、こういうタイプがいます。

辞める予定退職の辞めたい度

 元々辞める気なので、最初から辞めたい度が高いです。夢見る退職の場合は、現実を見ることで抑止されたり、居心地が良過ぎて辞められなくなったり、することもあります。

 人手不足の今であれば、居心地の良い職場づくりがこういうタイプに有効です。居心地のいい職場とは、本人の好む働き方に合った職場であって、賃金が高いとか休みが多いとかとは限りません。

3.辞めたくなってしまった退職

 最も多いパターンです。感情から見てみましょう。

辞めたくなった退職

 最初はやめる気がなくても、様々な要因で、辞めようかなと思うタイミングがあります。グラフの②のように、辞めたくなったけど、その気が減って、また辞めたくなるけど、なかなか辞めないパターンは非常に多いです。

 赤線が退職届が出る時なので、灰色のパターンでは、辞める気が収まってますが、実はまだ辞める気満々です。

 辞めると口に出すまでに、何度も辞めたいという感情があり、ぞれが増幅して、弾け飛んだ結果「辞めます」の声が出ているのです。声に出てしまってから引き留めても、前のモチベーションには戻りません。次の「辞めます」までの時間稼ぎをしただけです。

 口に出る「辞める」は、積み重なった「辞めたいパワー」の蓄積が爆発した瞬間です。そこで引き留めても9割は決断したあとの話で、既に遅いのです。

辞めさせないにはどうするのか

 単純に報酬が高いとか、休みが多いとか、仕事が合ってるとか、雰囲気がいいとかで、運営できているのは、非常にいいことです。それを目指して事業収益の拡大をすることがベストです。

 例えば現状で採算がギリギリとか、赤字では無いが、そこまで利益が出ているわけでもない場合に、簡単に待遇を引き上げるわけにはいきません。当分の間最低賃金も爆増するので、多少の賃上げは最低限必要なのですし。

 辞める要因は、
・会社の待遇や環境
・家庭の事情
・本人の身体的事情
による部分が大きいです。そこのミスマッチを解消するのも簡単ではありません。そのため一番のポイントは、職場の人に興味を持って下さい。

 言いたくないプライベートに必要以上の興味を持ったり、自分の興味本位で調べるのは、逆効果ですし犯罪のにおいもしますが、相手を理解する姿勢だけで離職率は減ります。もちろん相談されるような関係性も重要ですし、直接相談を受けるのではなく、相談される人が組織内にいる場合もあります。

 どんなに努力しても、最初の1、2のパターンのように避けられない場合あります。しかし3を減らせば、必ず減ります。単純に飲み会や社員旅行をすればいい話ではありません。

 興味を持って接していけば、今何をするといいのかも分かってきます。そこが重要だと思います。


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