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会社を潰した元社長が、地元百貨店の再生プランを勝手に考えた

 私の住む地元の大手百貨店が私的整理に入りました。

 私的整理は倒産では無いので、金融機関の協力を得て再建に向けて進めようとする計画になると思われます。
 私は一切の利害が無いので、結構真面目に考えてみました。

現状分析から考える

 昨年度売上は158億円で、営業赤字が2億円。つまりビジネスモデルが致命的に破綻しているわけではありません。従来の顧客層や根幹のビジネスモデルは維持することが非常に重要になります。

 半面でコアの顧客層は、シニア層に偏っており、今後の見通しを含めれば、若年層にターゲットを絞りたいと考える人も多いでしょう。しかし若年層の購入層は、ネット販売が主となりつつあり、世界的な小売業不振の原因となっている部分もあることから、安易に若年層ターゲットに注力することも危険です。

 これらから考えると、基幹の部分は変えずに維持しながらも、新しいことに対する挑戦によって、取り組む方が再建できる可能性が高いのではないかと考えました。

百貨店の強みから考える

 百貨店のニーズは、元々が豊富な品揃え・明快な価格表示・丁寧な接客・高いブランド価値で成長してきた産業であり、ディスカウントストアとスーパーマーケットを合わせたスーパーセンターや、イオンを代表とするデベロッパーが仕掛けるショッピングモール等の台頭で、その強みを削られてきました。

 飲食店でもアパレルでも、出店する際に考慮するのは、集客効果とテナント料とブランド価値です。大手有名ブランドが百貨店に出店しても、ショッピングモールに出店しないのは、ブランド価値を棄損することが最も危険だと理解されているからです。そのため付加価値が高い商品ほど、ブランド価値を重視し、薄利多売を目指すほどに集客効果が重要になってきます。

 それであれば、現在テナントに入っている多くは、ブランド価値が高い店が多いはずなので、店内テナントの商品をインターネット販売できないかを検討すべきでしょう。

 一般的にテナント売り上げは、最低賃料と売上課金でなりたっているので、同様の契約であれば、ネット販売によって売上課金分の収入は増加します。抵抗されるショップもあるでしょうが、一流ブランドをテナントに持てる百貨店でしかできない戦略と言えますし、ショップも百貨店もブランド価値を損ないません。

マーチャンダイジングの強化

 小売業における仕入や販促をバイイングと言いますが、商品開発まで含んだバイイングをマーチャンダイジングといいます。もう数十年前から言われている概念です。

 長いデフレの中で、多くのバイヤーやマーチャンダイザーは、安い価格か売れる企画を求めてきた流れがあります。少子高齢化の地方の小売店として、爆発的に売れる商品を探すことは必要ですが、全国展開している小売店と比べれば、1アイテム当たりの販売数量で、魅力ある提案をすることはできません。

 ブランド価値を維持できている百貨店としては、大衆目線でもバイヤー目線ではなく、大金持ち目線で購入したい超一流のものの商品開発が、重要となるでしょう。お金を持った人は、海外旅行など普通に行っているので、海外輸入で良いものを探しているようでは、時代遅れです。
 衣料・食品・備品・家具等で、本当に品質がいいものを、国内で一流の技術者が手掛けて作り上げたものを、ふさわしい価格で販売するのです。

 当然に普通の人は買えません。反対に普通では買えないものも置いてあることが、百貨店の魅力になります。こうした最高級品をネットで販売してはいけません。来店して価値が理解できる人が買えばいいのです。
 売れない魅力的なものをラインナップできるのは、ブランド価値を維持してきた歴史ある百貨店にしかできません。

若年層ターゲット企画の開発

 百貨店には、様々なテナントや物品が取り揃えられており、現実的には子供から年寄りまで満足いく品揃えに尽力しているのですが、若年層にはそれが響きません。

 そこで限定したターゲット狙いで、企画を作っていくことが重要になります。来ない客は呼ばなければなりません。

 提案するのは、デートファッションコンシェルジェ企画です。
初デート・合コン・婚活・街コン等何でもいいので、出会う場に行く人が、いつもより素敵だったり、いつもよりかっこよくなるために、身の回りを飾るための企画です。

 企画購入者は、アウター・インナー・ボトム・シューズ・靴下・ヘアカット・メイク・アクセサリまで全部百貨店内で仕立てます。これは男女両方へのサービスです。
 おしゃれができない人は、どこのアパレルショップにも行きません。そこをブランド価値が高い百貨店がプロデュースするのです。トータル金額を10万円、8万円、5万円ぐらいに設定して、価格の範囲でコーディネートします。事前に採寸とかをさせてもらって、行く場所の雰囲気や集まる方合わせたコーディネートができるようにした方がいいでしょう。

 トータル価格が決まっているので、アップセルの必要が無いためセールストークも不要です。本当の目的である、本人の見た目を良くするためだけに尽力できるプランです。

 うまくいけばリピーター獲得にも貢献できますし、何よりコーディネータ配置だけで、追加コストが必要ありません。

リフォーム事業への進出

 一般に工務店がやっているようなリフォームをする必要はありません。一流の家具やカスタマイズしたキッチン等を導入できるこだわりのリフォーム事業です。

外商部限定で案内するのもいいでしょう。「このサイズの◯◯は、ちょっと入らない」を解決できれば、大物家具や電化製品も売れます。

鹿児島銀行本店に向けたプロジェクションマッピング

 山形屋の正面には、鹿児島銀行本店があります。奇しくも今回の最大の支援をもらわなければならない金融機関です。

 これに向かって、夜にプロジェクションマッピングの投影をします。
夜にやっても店が閉まっているので、売上増強効果が薄いので、食堂から最も見えやすいように投影します。

 これによって相乗効果を狙うのですが、鹿児島銀行本店様には、夜遅くまでの残業を控えて頂いて消灯する必要があります。
 土曜日や祝日を中心として、宴会や披露宴の二次会利用での促進を行い、若者の交流の場として活用できる百貨店を演出します。

がんばれ百貨店

 本来なら、関連会社の切り売りや関係会社の売却まで考えていた部分もあります。債権カットとDESを行い、関連会社の切り売りをすれば、謝金0も不可能ではありません。

 しかし、営業赤字が解決しなければ、最終的には倒産するしかなくなります。そこに必要なのは、物を売る力を維持しながら、新しい試みを取り組んでいくことしか無いと思います。

 実際に思い付いた一部を挙げました。他のアイデアや、それぞれの細部まで話をすれば、まだまだ言いたいことはありますが、きっと社内からも面白いアイデアは出てくるでしょう。

 日本一の北海道物産展ができたのだから、まだまだできることはたくさんあると信じたいものです。

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