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社労士のお仕事 就業規則の初歩+

鹿児島で社労士をしています原田です。

前回は申請書を作成する上での基本の心構えについてお話しました。

 今回はみんな大好き就業規則の社労士として作成する時の原則的な話をします。社労士が作る場合の話なので、届け出の手順とか、必須記載事項とかの話はしません。

就業規則とは

 就業規則は会社で定める従業員の会社のルールですが、労働基準法第89条で10人以上の労働者のいる企業は監督署に届け出が義務付けられている通り、定めた場合は法定文書のひとつとなります。

 「義務だから作ってください」という依頼もきます。簡単に作るのもできなくは無いです。どうしても緊急でしなければならない依頼で、ヒアリングしながら1時間で作ったこともあります。(あとから見直して改定しました)

就業規則の構成

 人によってそれぞれですが、多数の就業規則を見る限りで一般的なのは、
1.就業規則
2.賃金規定
3.育児介護休業規定
に分けているパターンが多い印象があります。賃金規定を就業規則に入れ込んでいる場合や、就業規則や賃金規定をパート・アルバイト用就業規則や契約社員用就業規則等に分けている場合もあります。

 個人的には、できるだけ分けないのが好きです。なぜなら、分けると必ず重複するものが出てきます。ひとつを改定する場合に、多数の規則があると改定忘れが起こったり、記載内容が異なったりすることで、理由のない違いが発生したりしないためです。

 単なる好みなので、分けてもいいと思います。一部では、分けないと意味不明に怒る行政機関もあったりするので。

 分けるのが好きでない私も、育児介護休業規定は必ず分けます。これを入れ込むと意味なく分厚くなるの嫌なのと、正直に言うとこっちが本音ですが、最近の改正があまりにも多過ぎて、これを入れ込んでいると改正時に面倒だからです。 

 必須記載事項とかの話は、基本中の基本ですが、それ以外の部分を増やす方が多いので、意識することはあまりありません。

納品はWORDでしますか?

 社労士の中でも、議論になったりしますが、私は原則的にWORDで納品しません。事業主や担当者との会話で
会社:「WORDで下さい」
私 :「なぜですか?」
会社:「自由に書き換えたいから」
自由に書き換えたいなら、フォーマットを格安で売るので、最初から作成依頼しなければいいと思います。こういう人が必須記載事項を消したり、不利益変更を安易にするのです。ヒアリングして、考えぬいて、時間かけて定めた規則に責任が持てなくなるなら、規則作成に関与してない方がいいです。

 社労士を変えるからという理由でWORD文書が欲しいなら、OCRで読み込めばいいだけです。新しい社労士がスキャナー持ってないなら、安物でいいから買えと言いたいです。私も最初は3万ぐらいの安物インクジェット複合機で始めました。OCRソフトを持ってないなら、PDFをGdriveに保存して、Googleドキュメントで開けば、思ったよりいい感じで文書化してくれます。

 これも個人の考え方なので、WORD納品がしたい人は好きにすればいいと思います。私はこういう理由で嫌いなだけです。全然基本の話ではありませんね。

就業規則の原則として思っていること

 規則は原則的に義務(努力義務を含む)と禁止事項が記載されているものです。許可や容認事項があったりしますが、禁止している部分について一部を緩和する措置であるのが一般的です。

 そのため就業規則は原則として性悪説に立って作成します。

 規則を悪用して、抜け道で不当な行為を堂々とするような悪い奴を排除できる必要があります。時々企業の社長が
「うちの従業員達が話し合って作った」
と自慢する就業規則を見たりしますが、
「悪意ある人が入社しても制御できないから、まともな人は嫌になって辞めていくかもね。」
と思ったりします。顧問先でない限り、不機嫌になるだけで仕事にならないことは、口に出して言いませんけど。

 そのため、就業規則を作成する場合は、これを利用してどんな悪事をやってやろうかという視点が大切です。悪知恵が働く人ほど、就業規則がいいものになるかもしれません。だんだんとアピールしているのか、自分の人間性を貶めているのか分からなくなってきました。

 私が今労働者として雇用されていないのは、社会にとっていいことかもしれません。

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