休みを取りやすくしたら、退職者が増えることもある件
鹿児島で社労士をしています原田です。
働き方改革の結果、有給休暇を積極的に取得させる企業も増加し、コロナウイルスの影響で、傷病手当金というものの存在も知れ渡り、休んでも賃金補償が無いのは経営者と業務委託ばかりとなってきました(法人の代表者でも傷病手当金は取れますけど)。
有給取得の取りやすさは、求人戦略的にも有効で、私の事務所でも有給全部消化を推奨しています。職員にも
「求人するときに『全部消化できます』と書きたいから取れ」
と言ってます。あくまで今後の求人戦略上でやっているだけで、労働者の権利とか働きやすさを求めているわけではありません。
「有給自由に取ってもいいよ」という言葉よりも、エゴと物欲にまみれた理由の方が、本音っぽくてお好みです。
世界と比べて休みは少ないのか?
日本の年間祝日日数15日で、世界でも最大レベルです。
年末年始に5日、盆に3日加えると23日。
6年半以上勤務の有給20日を取得すれば43日。
よく比較される世界で最も休みの多いドイツでは、
有給30日+祝日9日+年末年始2日=41日。
そのため休める日数は似たようなものです。
ドイツは世界一休日数が多いと言われているので、日本の休める日数は世界トップレベルと言っても過言では無いでしょう。
更に国内企業でも、GWの中日も休みにしたり、盆休が1週間有ったり、リフレッシュ休暇が別に有ったりと、休日数が非常に多い待遇の会社も多数あります。
休みが取れるためには
休みやすい企業体制にするために最も必要なのは、属人的な業務の一般化です。固く言うなら
「業務の標準化」
平たく言うなら
「あの人しかできないを、できるだけ減らす」
ことです。
業務から属人的な部分が減ることで、欠勤、休業、休暇時に他の人が代替しやすくなります。
それを実現するには、
・情報の共有化
・進捗情報の記録
・マニュアルの作成
・引継ぎ手順作成 等
様々な手段で取り組むことで実現させます。
こうした業務の標準化を行うことは、休みがとりやすいだけでなく、様々なメリットがあります。
1.品質が向上する
手順に従って業務が行いやすくなるため、間違いやエラーが減ります。商品やサービスの質が均一化され、全体品質の向上をさせやすくなります。
また手順の見直し等もしやすくなるため、効率化に向けた投資や計画も計画的にやりやすくなります。
2.業務の結果を予測できる
業務のそれぞれがどのくらいの時間とコストで達成できるかを、予測しやすくなります。原価管理や工数管理も可能になります。
予測ができることで、経営計画を立てやすくなり、それに伴った採用計画や人材育成計画もやりやすくなります。
3.人事評価がやりやすくなる
手順を守った業務が行えることが基本になるため、職能評価を行う際の基準が明確になり、公平な評価を行うことができます。
こうした状態が相まって、顧客からの満足度や信頼性が向上し、全体的な生産効率も向上していきます。
なんて素敵な制度でしょう。すべての企業で導入すべきでだと思いませんか?
ちゃんとダメな部分はある
属人的な部分を排除していくと、最終的に多くの業務は、一定水準の人材であれば誰でもこなせるようになります。
つまり採用時に一定水準以上を雇用すればいいのです。採用の短期間でそれを行うのは簡単ではありませんが、そこを言い出すと話題が逸れるのでとりあえず置いときます。
話を戻すと、実は「一定水準の人材であれば誰でもこなせる業務にできる」ことが問題になる場合があります。
① 誰でもこなせる業務は、プラス評価が少なくなる
誰でもできてしまうのであれば、できて当たり前です。手順を覚えてできるようになったことは、自己満足の評価にはなりますが、当たり前なので、周りから評価されにくい状態を作ります。
反対にそれを過剰に評価すると、
「当たり前にできることができた程度で褒められるのはおかしい」
と不満に思う人もでてきます。
② 長期的にやりがいが無くなりやすい
誰でもこなせる業務はルーチンワークが多くなり、組織内における自分の価値を感じにくくなります。
仕事に対する考え方は、人によって一様ではありませんが様々な、その中の一つに
・自分でないとできない
・自分が一番効率的に(効果的に)できる
と言う面(客観的に見ると、本当はそこまででは無い場合もありますが)から、やりがいを感じている人もいます。
個人に依存しない体制とは、個人が依存されない体制のことです。
つまり、頼られていたことにやりがいを感じれている人ほど、休みやすい環境でモチベーションが下がる場合もあります。
一部の人のモチベーションの為に労働条件の改善が停滞すれば、人材獲得の競争に負けるという考え方と、能力と気力がある人材をできるだけ活かさなければ、企業力が落ちてしまうという考え方があります。
人を活かした経営としても、相反する手段がある限り、どちらに舵を切っていくかが決断になるでしょう。
ただし従業員の全員が把握できる規模なら、それぞれを活かしながら、フォローアップし、全体の標準化することは不可能ではありません。
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