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Z世代の正体 前編

鹿児島で社労士をしています原田です。
経営者の会でお話していると、「いまのZ世代は・・・」という話題が時々出ます。しかし5年ぐらい前までは「ゆとり世代は・・・」と言われていました。

20代と一緒に混じってワイワイするほど野暮ではありませんが、話題を聞いていても個人的には違和感をあまり感じないのに、なぜこんなに「違う」と強調されるのでしょう。

私にしては珍しく、ひとつひとつが少し長めの文章になりますが、3回に分けて考えます。

世代の名称

 私が20歳のころは、バブル世代とか言われてました。留年したせいで、大学卒業時にバブルは弾けてしまいました。
 記憶にある中では、新人類とか団塊の世代とかもありました。団塊の世代や団塊ジュニアは、純粋に出生数が多いので、年金財政や社会保障の関係で、その名称に価値があると思うのですが、それ以外に個人的に価値を見出せないところです。

Z世代は、だいたい1998年前後以降に生まれた人を指すようで、少年少女を除けば、今のところ10代~20代のことだと言えるでしょう。いわゆる若者のグループです。

 その前がミレニアル世代と言うみたいですが、そんな名称で言ってる知り合いが周りに誰一人いないし、Youtubeでもテレビでも耳にした覚えがありません。私の知る限り、多くの人はその辺りのグループを「ゆとり世代」って言ってます。

 それは、欧米では、
ジェネレーションX → ミレニアル世代
という世代分けの呼称が元々言われていたことが始まりで、Z世代の名称は、Xの次の次(X→Y→Z)だからZ世代だそうです。

Z世代の特徴

 Z世代はデジタルネイティブと言われ、生まれたころからデジタル機器が普通に周りにあることが当たり前の世代だから、他の世代と違うみたいです。

しかし、現在でも小学6年生の携帯所持率は首都圏でさえ5割程度で、半数近くの小学6年生は持っていません。低学年になればなおさらです。SNSサービスもFacebook、Instagram、X(Twitter)、YouTube、TikTokは13歳未満の使用を禁じているので、生まれたころから影響を受けているとは思えないのですが、きっと世界中のみんなは、そんな規約など無視するのでしょう。

それ以外の特徴で様々な団体や調査会社が挙げているものを見てみると、
① 保守的な金銭感覚
② 協調性や多様性を重視する
③ 自分の価値観と合わないとすぐ辞める
④ スペシャリスト志向
⑤ ティーチングよりコーチングを希望
⑥ 強い自己承認欲求
⑦ コスパ・タイパ重視
⑧ 高いネットリテラシー
だそうです。

なるほど、これを見ると私は50代なのに、ほとんど自分にも当てはまっていることに恐怖を感じます。もしかして私もZ世代だったりして。

これらの特徴は本当に世代の特徴なのでしょうか

 ひとつひとつを考えてみます。

① 保守的な金銭感覚
 なんか自己投資に積極的で、それ以外には消極的のようです。昔からそういう人いますよね。士業なんてほとんどそうです。研修すると、年代に関わらず結構な割合で喜んで頂くことが多いです。但し、つまらない研修すると10代でも寝てますし、もちろん40代でも寝てます。
 スマホゲームに課金してたり、動画のサブスク契約してるのは、自己投資では無いですから、それを除くと自己投資に積極的な10代20代って他の世代よりそんなに多いのでしょうか?

② 協調性や多様性を重視する
 社会人ならある程度当たり前では?一部のわがままジジババはどこでもいますが、協調性や多様性を無視する人は、非常に少ない印象です。SDGsが関係あるようなことを言ってるようです。SDGsを決めたのも、批准の署名したのも、国内でそれを広報しているのも、ほとんど40代以上なんだけどね。

③ 自分の価値観と合わないとすぐ辞める
 そもそも②と矛盾してます。長きに渡る就職難の時代が解消して、今や求人難なので、辞めやすい環境は確かにあります。もしリーマンショックのようなことが起こり、再び就職難の時代に突入した場合は、簡単に辞められない環境になります。これってZ世代の性格ですか?

④ スペシャリスト志向
 若年層にウケている、ひろゆきやホリエモンやカズレーザーは、イメージ的はスペシャリストというより、万能的なジェネラリスト能力だと思います。スペシャリストになるには、一定以上の勉強したり、研究・修行等で専念したりする必要があるのですが、それって個別の話だと思うのですが。

⑤ ティーチングよりコーチングを希望
 私もその方がいいです。昔はコーチングの考え方自体が無かったからなあ。恐らく明治時代の人だろうが平安時代の人だろうが、コーチングの方法でサポートしてくれるなら、そちらを希望するでしょう。これが性格?

⑥ 強い自己承認欲求
 SNSでいいねが欲しいという意味だそうです。そりゃそうだ。SNSで発信する人共通の思いですね。発信しないと思わないかもね。SNSの利用割合の問題か。Z世代でもSNS発信してない人も多いですよね。

⑦ コスパ・タイパ重視
 ビジネス的にはコスパ・タイパと言われて無かっただけで、ムリ・ムラ・ムダの削減とか、ロス削減や歩留改善は多くの企業の課題です。それが生産効率を上げる秘訣のひとつです。コスパが大事だから、自分が無駄と思われる行動を共にしないのは、協調性が無いと言われるでしょう。②と矛盾します。「コスパがいい=お買い得」「タイパがいい=時間を忘れるぐらい楽しい」ぐらいの感覚で使われている言葉だと思ってます。違うのかな?

⑧ 高いネットリテラシー
 SNSするなら常識。バイトテロとかバカッターで炎上しているのはZ世代ばっかりのような気がするのですが、リテラシーはどこ行った?匿名アカウントの暴言おじさんが多いのは否定できませんけど。

 と言うことで、典型的な特徴が全然典型的な疑問符だらけで、とても世代の特徴になってません。

きっと世代の特徴が他にあるはずです。もっと特徴を探してみましょう。

⑨ 失敗したくない → 誰だってそうだと思うのですが。まさか若いから失敗を恐れるなとか言うのかな。そういう人は失敗しでも挑戦ばかりしてたのでしょうか?これが世代の性格??

⑩ 気の合った仲間が分かってくれればいい → 本心は「みんな分かってくれるといいのですが、少なくとも」の条件付きでしょう。全ての人類は昔からそうです。SNSのおかげで心情発信がしやすいだけ。そういえば60代の人も最近はよく発信してるな。

⑪サステナブルなものが売れる → コスパ重視じゃなかったっけ?同じ品質なら安い方が売れてます。同程度の価格で同程度の品質なら、サステナブルな方を選択する人がいるでしょう。むしろお金に余裕があるシニア層の方が傾向は強くないかな。

⑫社会問題への関心が高い → 災害が頻発してボランティアが根付いているからという理由らしいです。国内の災害ボランティアの発祥は、1995年の阪神淡路大震災。当時は130万人のボランティアが参加したそうです。当時20歳の人は現在49歳ですね。
ちなみに20代の年代別衆議院選挙投票率は減少傾向が続いています。

 Z世代の特徴が、何一つ納得できるものが無くて困ります。公開している団体や組織には、「これが特徴だ」と断言するように書いているのですが、何を見てもそれを裏付けるデータやアンケートが示されるわけではありません。

 多くの調査機関が出しているZ世代の特徴は、ここ20年間ぐらいの時代背景・トレンドをベースに推測して決めつけてるだけのように感じます。

そもそも世代で特徴があるなら、多様性が無いのだから、②と矛盾してるでしょ。

 Z世代の正体は一体何なのでしょう。次回に続きます。

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この話のつづきです。


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