何もできない私から

新型コロナウイルスが猛威をふるっています。

感染した方や亡くなられた方、その家族の皆さん、大切な方々。それだけでなく、感染に怯えている方、仕事を休んで経済的な不安を抱えている方、たくさん我慢をしている方、学校に行けず悲しむ子供たち、その親御さんたち、卒業式がなくなって嘆く同級生たち。。

挙げればきりがない、多くの人が辛くて悲しくて大変で、本当に早く収まってくれと思います。

私は近い将来、エンターテインメントや芸術と言われる世界に身を置きたいと思っている人間です。今までたくさんの音楽やライブに突き動かされたし、演劇を作ることで学んだし、私なりに大変なことも味わってきました。

コロナウイルスの拡大に伴い、多くのそのようなイベントについて議論がなされています。

私の大好きなバンドは公演を決行したことで、インターネットで批判を浴びています。叩かれまくっています。反対する人の考えも理解できるし、一方で待ち望んでいたライブを観たい気持ちもわかります。

私の後輩たちは引退公演を中止しました。私がお世話になった劇団さんも、公演を延期としました。関わったことはなくとも名前を聞いたことのあるたくさんの劇団の、公演中止の知らせも目にしました。とても苦しくなりました。

一度きりの座組、その時だからこそやる意味がある作品、そういう感覚を私は知っています。公演をやるためにかかるお金を集めることの大変さも、味わったことがあります。

ライブハウスや劇場で働く人やフリーランスのアーティストの「私たちの生活はどうなるのか」というTwitterでの言葉に対して、心ない言葉がたくさん投げかけられているのを見ました。

公演を決行した団体は、非難されることを覚悟している方々なのかもしれません。その人たちに対しての反対意見はあるとしても、強い言葉で伝えなければいけないのでしょうか。ましてや、「今後への不安」にまで否定的な言葉をかける必要はあるのでしょうか。

私は、公演を行うことも、中止にすることも、延期にすることも、無観客で配信することも、そのどれかが正解だとは言えないと思っています。それぞれの開催者が悩んで悩んで苦しんで出した答えで、どれが正解とかではないと。

娯楽や芸術という分野が必要のない人がいるのも理解しています。しかしそれらを生業とする人たちにとっては死活問題であることも事実です。感染者が出ることで今後の活動に関わる可能性もあるし、お客様がいなくなれば成り立たないというのもまた事実です。

ただ。「私たちが我慢しているのに、娯楽を行うなんて」「娯楽や芸術は生計を立てる手段には含めない」等という考えを攻撃的な言葉で彼らにぶつけることで、何かいいことがあるのでしょうか。その意見を持つこと自体は自由だけれど。議論をするのも構わないけど。

うまく言葉にできないけれど、とても悲しい。私が勝手に傷ついてるだけなんだけれども。

まずコロナウイルスが、今の状況の大きな1番の要因です。

そして、感染拡大に上手く対処できていない政府にも責任はあると考えます。興行を仕事とする人たちを含め経済的影響を受けている人に、満遍なく助けを出せていないということにおいても。

そして今まで「娯楽や芸術は優先順位が低いものだ」という考えを無意識に多くの人に形成してきた、教育や社会通念にも責任はあると思います。確かに衣食住には次ぐかもしれないけれど、続いてきっと必要とされるものだと思っています。

少し休業しただけで倒れてしまう業界なり団体ならば、どうせ潰れるだろう。というのもあながち間違っていないと思います。そうだとして、そのことがわかった今、そのまま消えて行くのを見過ごしているだけでいるか、は別だと思いますが。

またさらに、行われた公演で感染者が出れば、主催者が何らかの責任を取ることになるかもしれません。

ここまで考えたとして私は

『娯楽や芸術に携わる人たちに、現時点で過剰に攻撃的な言葉をかける必要性』があるのだろうかと疑問に思います。非難する先は、彼らなのでしょうか。

私は当事者ではないし、現状そのような業界で働いたりしているわけでもない。けれど、見ていて心がとても痛む。想像力、共感力、思いやりが不足しているように感じます。

自分の公演で感染者が出てしまったら、ということを考えていない主催者はいないと思うのです。出てしまってからでは遅いというのも確かです。けれども、なんだか怒り方がおかしい気がしています。「そういうことではなくない??」と思うというか。

活動を続けられなくなったり、批判されて潰れてしまった作品やアーティストに、いつかあなたが心を動かされる可能性だって、僅かかもしれないけれどあると思うのです。

ふと、非日常を味わいたいと思った時、自分で表現をしてみたいと思った時。その時に手の届く所に芸術や娯楽が存在するということが重要なんだと思います。今がその時でないのは、重々承知しています。しかし、今回表面化した「芸術や娯楽は優先順位が低くて当たり前」という考えを持つ人が多くいることは、遠からずもっと大きな問題になっていく気がします。これを機にその辺りについて、考えてみるのもいいと思うんです。本当にそうだろうか?と。

娯楽や芸術を仕事とする人たちに、さらに追い込まむような言葉を投げつける人がこれ以上現れないことを、勝手ながら願っています。

そして現在。様々な人たちが作品の映像を公開しています。できるならばそれらをぜひ観てみて欲しいです。私も新しく開拓してみようと思っているところです。

私は今なんの現場にもいなくて、様々な団体を支援する財力もなくて、業界で仕事についているわけでもないです。だから何もできません。でもせめて、と思ってこの投稿をします。モヤモヤを上手く言葉にできているかわかりません、けど。そして兎にも角にも、この状態が収束することを願っています。

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