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「『鬼平犯科帳』 SEASON1」制作スタッフにインタビュー!

「鬼平犯科帳」の作者である池波正太郎さんの生誕100周年を記念し、「鬼平犯科帳」SEASON1として、スタッフもキャストも一新してテレビスペシャル1作品、劇場版1作品、連続シリーズ2作品を8年ぶりに映像化。
 
今回は、そんな新たな鬼平作品の制作に新たに加わった時代劇専門チャンネルの“中の人”である、日本映画放送株式会社 編成制作局 制作部のMさんに、これまでのお仕事のことから時代劇の魅力などについて、お話を伺いました!


お話を聞いた人

日本映画放送株式会社 編成制作局 制作部 Mさん(33歳)
2023年に時代劇専門チャンネルを運営する日本映画放送株式会社に入社。広報担当を経て、制作部に。

時代劇に携わるようになるまで


 ――今回は時代劇制作についての裏話をお伺いできればと思いますが、Mさんはこれまでずっと時代劇の制作に携われていたのでしょうか。
 
Mさん「今の会社に転職したのも1年前で、もともと映像系の会社で営業の仕事をしていたので、最近になってからですね。その前は出版の広告営業をしていました」
 
――ずっとコンテンツ系の営業のお仕事をされていたのですね!今の会社へのご転職のきっかけがあったのでしょうか。
 
Mさん「もともと出版会社にいた時からエンタメ業界に行きたいなと思っていて。制作に携わりたいと思い、今の会社に入社しました」
 
――もともとドラマはお好きだったのですか?
 
Mさん「海外の作品を中心にドラマとか映画とかを見ていて、その影響があってコンテンツに関わりたいと思いました」
 
――なるほど!ちなみにお好きな海外ドラマはありますか?
 
Mさん「Netflixの『ナルコス』っていうドラマとか、『ゲーム・オブ・スローンズ』とかがすごい好きです。『ナルコス』はコロンビアの麻薬王とそれを追いかけるアメリカ人刑事との攻防が描かれていて、そのアメリカの刑事はもちろん正義感に燃えているんですけど、逮捕するために悪いヤツと手を組む…みたいに、ヒーローであるけどちょっとグレーだったりして。そういうのがすごく好きで見ていました」

――会社にはMさん同様、海外の映画、ドラマをお好きな方はいらっしゃいますか?
 
Mさん「映画好きが多いので、いると思います。この会社入って思ったのは、映画とかドラマとかコンテンツ愛がすごいある方が多いな、ということですね。前職もエンタメではあったんですけどどっちかっていうと『スマホとかパソコンで映画観れるの?』とかみたいな技術面に感動して入った人とか、サービスの方に感動して入ったとか、そういう方が多かったんです。
もちろん部署にもよるとは思うんですけど、この会社入って、皆さん本当にコンテンツ愛がすごいなって思って。だから海外作品もそうだし、日本の作品でも全然知られていないようなものも見ている方が多かったり、デスクにアイドルだったりとか映画作品とかのポスターを飾っている方もいたりして、すごいなと思いました」

オフィスの様子。デスクにさまざまなフィギュアなどが並びます
過去作品のDVDが並ぶ中、一際気になる舟木一夫さんのサイン入りCD…

――確かにマニアックな作品を知ってる方は多そうですよね!
逆に、時代劇を普段から見られている方は多いのですか。
 
Mさん「好きな人はすごくいて。中には、生まれたときから時代劇を見ているみたいな英才教育を受けているみたいな人もいます(笑)
でもそれがうちの会社のマストではないので、見たことなかったっていう人もいるって感じですね」
 
――そうなんですね。ご入社されて、最初からすぐに時代劇を担当されていたんですか?
 
Mさん「入社した最初が広報だったんですよ。そこでは日本映画チャンネルと時代劇専門チャンネルそれぞれのSNSの投稿スケジュールとか投稿の方向性を決めたりしていました。あとは新聞に広告を出したりしていましたね」
 
――なるほど。そこから今の時代劇の制作部に入られたということですが、異動されて一番驚きを感じたことはありましたか?
 
Mさん「人で言うと体力が皆さんすごいですね、疲れ知らずというか(笑)
あとはアイデアマンが多いところはすごいなと思いますね。僕らは(時代劇を)作るだけじゃなくてそれをどう売っていくかっていうところが求められるので、そこの発想力がある方が多くてすごく勉強になります」
 
――確かに、制作部は体力が求められるイメージあります(笑)

Mさん「実際に、やることが多いんです。企画の立ち上げ、キャスティングとかの作品を作るところもそうですし、完成披露をするにしてもどういった内容にするかとか、広告を打つにしてもどういった媒体に打つかとか、あとSNSとかもどうするかとか。放送に合わせて編成(部署)の方とも協力しなきゃいけないし」
 
――関係者が多いですね。

Mさん「そうなんです。関係者が多くてやることが多岐に渡るので、キャパシティがすごいですよね。それらを全部できる上で強みを持っている人がいるのですごいなって日々思っています」
 
――部署には何人くらいいらっしゃるんですか?

Mさん「16人くらいですかね。そこから日本映画・時代劇と半々くらいに分かれるのでそこをまた細分化すると、いわゆる鬼平チームは4人くらいで
 
ーー4人ですか!少数先鋭で制作されているんですね!


働いてみて気づいた、時代劇の魅力

 
――今まで抱いていた時代劇に対する印象は、ご入社してから変わりましたか?

Mさん「そうですね。今まで時代劇に触れる機会が少なかったのですが実際見てみると面白いなって!入口のハードルが高かっただけで実際見てみたらそんなことないなっていうふうには思いましたね。テーマ性としても刺さる物が多くて」
 
――テーマ性というのは?

Mさん「例えば、友情とか、人情とか。『鬼平』で言えば、”江戸時代のFBI”って言われているんですけど、勧善懲悪でもありつつ、なんでそう(悪役に)なったのかとか、悪役ひとりひとりもちゃんと描いている。そういう物語の深みとかっていうのも面白いなって思います」
 
――確かにFBIですね…。そう考えると、Mさんが好きな海外ドラマとの共通点もありそうですね!

Mさん「そうなんですよ。元々刑事ドラマも好きだったので、共通してる部分が多いと思って!」
 
――プライベートでも時代劇を見るようになりましたか?

Mさん「『七人の侍』のような、有名どころは見るようになりました。(『七人の侍』は)3時間くらいあって長いんですけど、あっという間に終わってしまったと感じたくらい見入ってしまって。七人の侍それぞれに個性があるし、シリアスなんだけどちょっとコメディ要素もあったりと、すごく面白かったです。僕の周りでも、僕が関わっているから時代劇に興味持つようになったり、『血闘』を見に行ってくれたりとか、少しずつ時代劇のハードルを下げていけているのかなっていうのは感じるので、それはちょっと嬉しいですね」
 
――周りにも影響が出ているのは嬉しいですね!先ほど、映像系の営業のご経験のお話がありましたが、前職が活きていると感じる瞬間はありますか?
 
Mさん「それで言うと、タイアップを仕掛けていくときの発想や話すときの順序の組み方とかは活きたなって思いますね」
 
――なるほど。例えばどういうところにタイアップするのですか?
 
Mさん「例えば、年代的にもマッチするなって思って連絡した企業様とやり取りをしていたら、SNSを盛り上げたいって話になって(タイアップが決まって)」
 
――元々つながりがあったわけではなく。
 
Mさん「全然。新規で話をしています。そういうときは、先方の課題感を事前に仮設立てしてから提案して。タイアップが形になったものが何件かあったので良かったなと思いました」
 
――営業のご経験があったからこそ、いろんな会社が視野に入っていらっしゃるということがあるかもしれないですね。
 

「鬼平犯科帳」のここがすごい!魅力やこだわりは?

 
――今回、「鬼平犯科帳」SEASON1として4作品制作されておりますが、Mさんにとって思い入れのある作品はございますか?
 
Mさん「印象に残っているのは、『本所・桜屋敷』ですね。この部署に異動して初めて映像で見たものが、まだ音楽もないし、CGも入ってないし、本当に台本通りに映像をつないだような状態のものだったんですけど、それを見たときに見入ってしまって。若かりし頃のおふさと左馬之助が二人で対面して、何か言いたそうな左馬之助ををおふさが見つめているシーンで、沈黙がずっと流れてるだけなんですよ。そういうのが印象に残っていて、僕的には思い入れがあってオススメです

『本所・桜屋敷』より
『本所・桜屋敷』より

――沈黙とか”間”っていうのも、日本的な良さを感じますね。
 
Mさん「そうですね。あまり語らないというか、そういうのはあるかもしれません。
鬼平のいいところは説明的なところが少ないところかもしれないですね。だからこそ想像力が必要な作品ではあるのかなと思います」
 
――さて、これから放送を控えている(※2024年5月時点)『でくの十蔵』、『血頭の丹兵衛』もございますが、作品のこだわりや見ていただきたいところがあれば教えてください。
 
Mさん「皆さんも仰っていると思うんですけど、やっぱり映像の美しさだと思います。夕日のシーンとかも照明の当たり方とかすごく美しくて、そういう映像美は見ていただきたいなっていうのはまずありますね。
あとは殺陣のシーンとかも本当にリアリティがあって。幸四郎さんの殺陣はやっぱりすごく迫力があるんですよね。軽い感じの殺陣じゃなくて重厚感あるところと、それでいてスピードもすごく速いので、見どころだなと思います」

『でくの十蔵』より
『血頭の丹兵衛』より


――私も拝見しまして、時代劇ってもうちょっと映像が暗かったり、淡かったりするようなイメージを抱いていましたが、明るくて本当に美しく綺麗な映像だったのに驚きました。殺陣は、指導も入ったりもするんですか?
 
Mさん「そうですね。最初は『そこでこう合わせる』という練習をしてやってます。でも皆さん殺陣がそもそも基礎が整ってらっしゃる方ばかりなので、基本はもうその場で合わせて、『はいじゃあこういう感じでやって』と殺陣師の方が言って、それをその場で合わせていくっていう感じでした」
 
――みなさん熟練の技ですね。
 
Mさん「そうですね。本当にそれは思いました」
 
――構想段階で、Mさんにとって大変だったことはありましたか?
 
Mさん「僕は前職が制作とは畑違いのところにいたので、たくさんありました。例えば台本の読み合わせの時も、○○(役名)のことを呼び捨てで呼ぶのかあるいは○○さんって呼ぶのかというところも、『二人はまだそこまで関係性が深まってないから、台本上では呼び捨てだけど、○○さんと呼ぶのがいいんじゃないか』って気づいていて。読んでいて映像が浮かんでいて、なおかつ役目線で判断できる人が多いので、驚きました」
 
――長年の経験によるところもきっとありそうです。

Mさん「そうですね。そこはいまだに苦労してますね」
 
――最後に今後の野望と、読者の方へのメッセージをお願いします。

Mさん「自分が関わった作品をより多くの方に見ていただけるようになればなという願いがあります。
時代劇というとハードルが高いかもしれませんが、1回見ると面白いものが多いのでぜひ見ていただければと思います。時代劇専門チャンネルをぜひ、よろしくお願いします!
 


Mさん、ありがとうございました!
(取材 タンタン)


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