毛布
僕は幼少の頃から毛布が大好きでした。
子供の頃、枕が好きか毛布が好きかで分かれることが多いのではないでしょうか。
僕は毛布で、弟は枕でした。
毛布好きのことは「ライナスの毛布」とか「安心毛布」とかいう心理学の用語もあるみたいですね。
僕はぬいぐるみも大好きでした。
毛布とぬいぐるみはボロッボロになるほど溺愛していたんじゃないかと思います。
毛布は白地で青の縁、青の短い線が並んだデザインでした。
僕の汗や匂いがしみ込んでしょっぱいいい匂いがしていました。
毛布にくるまっているとなぜか落ち着くのです。
家にいるとマントのようにして毛布をいつも身に着けていました。
毛布のことを「モーフラン」なんて名前も付けていました。
あまりにモーフランが好きで、小学6年生の時、モーフランを主人公にした「モーフランの大冒険」というゲームのシナリオ作りをしました。
モーフランが編みだす必殺技「バビボガン パンチ」などを作り、兄弟にその必殺技を浴びせてました。
思えば、嫌な奴だったと思います。
中学生の時は、そのゲームの音楽を作り、キーボードに打ち込んで楽しんでいました。
その毛布ともお別れをする時が来てしまいました。
あろうことか、寝ゲロをして汚してしまったのです。
ゲロまみれになってしまった毛布は、親に捨てられてしまいました。
あまりに悲しくて、枕を打楽器のように叩いて、モーフランに捧げる音楽を即興で奏で、追悼しました。
僕は別れを越えて大人になっていきました。
寝ゲロはこれまで生きてきて、それ一回のみです。
FIN
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