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【コミュニティーマネージャー紹介】 VCや起業を経験し、SPROUNDのコミュニティーマネージャーとして働くに至った理由

こんにちは、SPROUNDコミュニティーマネージャーの田中です。

SPROUNDでは、主に「知の還流」を体現したメンバー向けのワークショップの企画運営、及びメンバー同士の情報交換のサポートを担当しております。

今回は私がなぜ、いまSPROUNDのコミュニティーマネージャーをやっているか。その理由をみなさまにご紹介できたらと思います。

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田中 佑馬 / Yuma Tanaka
大学卒業後、新卒で三菱商事株式会社に入社し、アセットマネジメントの新規事業を担当。2016年よりDNX Ventures東京オフィスにて投資業務を経験。その後、2018年にHR Tech事業を起業し、2020年代表退任までCEOを務めた。SPROUNDでは自らの経験を基に、事業の成長に繋がる「知の還流」をコミュニティーマネージャーの立場で支援。

いわゆる商社マンでした

私の社会人キャリアは、総合商社の金融部門の中の、新規事業開発を担当する部署から始まりました。商社の中でも珍しいことをする部署で、主にファンド事業やアセットマネジメントという分野に携わっていました。

新規事業開発の部署だったこともあり、新人は私だけ。初月から新規事業のプロジェクトに組み込まれます。20-30代のメンバー4-5人でプロジェクトを行うことが多かったこともあり、日々楽しく、忙しく仕事をしていました。

商社では、プロフェッショナルとして仕事することを学び、また、素敵な先輩方に恵まれ、多くのロールモデルを得ることができました。誰に強制される訳でもなく、毎日終電まで働いて、少しずつ仕事ができるようになる実感がしてとても充実した生活でした。

商社を退職し、25歳でDNX Venturesに参画

しかし、入社して2年経ったころ、部門再編に伴って部は解散、自分のやりたいと思ったことができずに20代を過ごすより、小さくても良いから自分で新しい価値を生み出したいという想いで起業を決意することとなります。

その頃、三菱商事の大先輩であり、後に私の会社のエンジェル投資家にもなる、スマートラウンドCEOの砂川さんのご紹介でDNX Venturesの倉林と出会い、「勢いで会社を飛び出すのではなく、VCという立場でスタートアップについて学ぶのはどうか」と誘われ、第一号アソシエイトとして東京オフィスに参画しました。 

DNXの中垣さんと倉林さんは今でも私を息子のように可愛がってくださる、家族のような存在です。

当時は東京オフィスは3人しかおらず、パートナー2人と私で投資業務、投資先支援、投資家対応、米国ファンドポートフォリオの日本進出支援、新規ファンド立ち上げ、などを一通り経験することができました。

VCは経営者の方々と面談し、投資後は取締役会に参画して継続的に支援するという仕事。

投資判断はプラクティスが確立されており、いわゆるDDスキルは身に付くことになりますが、投資後のフォローアップに関しては類型化することができない。正解が一つとは限らない課題を前にスタートアップ経営者に貢献するには、当時の自分には「投資を通して培った引き出しの多さ」も、「経営を通して得た事業や組織立ち上げの経験」という、VCとして大切なものがどちらも欠けていることを痛感しました(当たり前のことですが)。

DNXはシリコンバレーにオフィスを構えていることもあって、米国のVCのようにアソシエイトを育てたいという想いがあります。米国ではVCのアソシエイトはそもそも起業をする前提のポジションであり、 VCとして成功するには、自ら事業を成功させた経験が必須である、というものです。

解決したい課題を見つけ、27歳で起業

 そんなわけでして、DNX Venturesにいた時から、常に自分が解決したい課題を考え続けていました。 

そんな中、投資案件を通して、非正規のジョブマーケットがIT化に取り残されていることを痛感し、非正規労働者を対象としたHR Tech分野のスタートアップを起業しました。

DNXメンバーに最初にピッチをするわけですが、自分の両親にピッチしているようで非常に緊張していたことを覚えています(笑)。

最後は半ばみんなが折れるような形で挑戦を許していただき、満を辞してスタートアップ業界に飛び込むことになります。

スタートアップの「やってはいけない」をたくさんやってしまう

しかし、総合商社の新規事業やVCの投資は「考える仕事」、スタートアップをやるということは「動く仕事」であり、それまでの仕事の進め方や、得た経験、知識が全く役に立たないことがすぐにわかりました。

一つのことを突き詰めて考える仕事と、何個ものゴーイングコンサーンを抱え、人に依頼しながら進める仕事とでは、180°方向性が違うものでした。

プロジェクトがなかなか立ち上がらなかったり、逆に変なところを突っ走って進めちゃったり。そんな別世界で戸惑う私を支えてくれた共同創業者には今でも頭が上がりません。

それこそ自分がVCで投資家をやっていた時にやっちゃいけないと言われていたり、失敗例として見ていたことを尽く経験しました。

例えば:  

プロダクトマネージャーとして失敗 / 創業メンバーの離脱 / こだわりすぎて自分がスーパーボトルネック化 / 資金が底をつく / 身の丈に合わない事業提携を進める / 売上ないのにメンバーを増やしまくる

など、いろいろと順序や優先順位が整理できていない状態で走り出してしまったがゆえの弊害に見舞われながらも、なんとか生き残ろうとしていた日々でした。

自分の会社を離れ、 SPROUNDと出会う

日々の業務推進に加え、PMFしきっていないプロダクトを磨きつつ、買ってもらう営業、人をマネージするということは想像以上にハードルが高く、体調を徐々に崩していくことになります。

多くの人に迷惑をかけながら最後には人と話せない状態までなり、当然会社を率いることはおろか、社会人として正常に機能することすらできなくなっていました。

創業メンバーとして会社を離れることは無責任ですし、恥ずかしいことですが、残ったメンバーが引き続き会社の成長のために頑張ってくれていることが唯一の救いです。

そして、半年ほどのリハビリ期間を経て、ようやくまた働ける状態になっていた頃、前職のDNX VenturesがSPROUNDというプロジェクトを始めることを知り、この経験をなにか人の役に立つ形にできればと想い、興味を持ちました。

自分の場合は極端な例だと思いますが、創業期のスタートアップに携わっている人は少なからず似たような経験をしているに違いない、と思い、その方々のサポートが少しでもできればと思い、コミュニティーマネージャーという立場で関わるという結論に辿り着きました。

SPROUNDは自分の20代の総まとめ

振り返ってみると、自分にはスタートアップ経営の大きなイシューしか見ていなく、99%の地道で地味なオペレーションを実行するために必要なことをあまりにも知らなさすぎたと実感しています。

プロマネ、営業、マーケティングなど、初めて関わる仕事について、全部走りながら形を整えたものの、正解が見えない中で考えてしまう時間、悩む時間が多く、今考えると非常にもったいなかった。

自分が失敗したところは、全部、誰かが経験したことで、うまく助けをお願いすることができていれば、回避できたことかもしれないと思っています。

CEOに限らず、スタートアップのチームメンバーは全員孤独だと思います。必ずしも今までの仕事経験が活きない分野で、大体一つの分野を一人で戦っています。

そんな人たちが大きい組織に所属していなくても、同じような仕事面、心理面でのサポートが受けられるのがSPROUNDというコミュニティーだと思っており、SPROUNDが目指すものは、そういった場です。

その中で、コミュニティーマネージャーという立場で、スタートアップの役に立つような仕組みを一つずつ具現化していくのが、いまはとても楽しいです。

(文・構成:田中)


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