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UAV(ユニーク・アトラクティブ・バリュー)とは?USPとの違いやブランド事例を紹介

マーケティング業界の新たなキーワードとして定着しつつある「UAV」。ユニーク・アトラクティブ・バリュー(Unique Attractive Value)の略で、「顧客に選ばれ続ける価値」を意味します。

自社の製品・サービスが持つ独自の強みを表す用語である「USP(Unique Selling Proposition)」との違いも交えながら、UAVについて噛み砕いて解説します。


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UAVは「自社の強み」と「顧客インサイトの理解」の掛け合わせ

UAVは「自社の強み」と「顧客インサイトの理解」の掛け合わせ

トレンさん
年齢不詳のマーケター。物知りでトレンドにも敏感。
どんなちゃん
トレンさんの後輩。マイペースだが好奇心は旺盛。

トレン:UAV(Unique Attractive Value)は直訳すると「独自の魅力を持った価値」で、「顧客に選ばれ続ける価値」のことです。顧客視点で言えば、「顧客がそのブランドを選び続けたくなる理由」ということですね。

『UAV あなたが知らない あなたの会社だけの強みー顧客に選ばれ続ける「最強ブランド」のつくり方』の著者であるBloom&Co.代表取締役の彌野泰弘氏が提唱したマーケティングフレームワークです。

UAVをマーケティングに活用することで、持続的な売り上げ成長につながると言われています。

UAVは、「自社の強み」と「顧客インサイトの理解」を掛け合わせることでつくられます。

UAVの概念図

UAVとUSPの違い

どんな:自社の強みを表すマーケティングキーワードって他に有名なのありませんでしたっけ?

トレン:USPのことでしょうか?USPとはユニーク・セリング・プロポジション(Unique Selling Proposition)の略で、自社ならではの価値のことです。1960年代にアメリカのコピーライターであるロッサー・リーブス氏によって提唱されました。

どんな:USPとUAVって何が違うんですか?

トレン:彌野氏によると、USPは「Selling(売り)」というだけあって、企業視点の発想、いわゆる「プロダクトアウト」になりやすいとのことです。

一方UAVは、自社が顧客に選ばれている理由を起点とするため、「マーケットイン」型になります。

どんな:顧客視点で考えるって、企業の当事者にとっては簡単なようで難しいですよね…。

トレン:そうですね。UAVをどのように作成するのかも見ていきましょう。詳しくは書籍やセミナーで学んでもらうとして、触りだけ解説しますね。

UAV作成の3ステップ

トレン:UAVの作成は、主に次の3つのステップで進めていきます。

UAV作成の3ステップ

ステップ1:自社の強みの候補を洗い出す

トレン:自社にとって当たり前のこと、習慣的に行っていることに目を向け、強みを洗い出します。

客観的な視点が入ると、強みを発掘しやすくなります。ですので、社外の方の協力を仰ぐか、それが難しい場合は複数の部門を交えて多角的な視点を入れるようにするといいでしょう。

どんな:強みって競合より得意なこととかですか?

トレン:競合との比較で考えてしまうと、顧客にとっては違いがわかりづらいものになりがちです。競合と比較しながら考えるのではなく、他社に真似されにくいものを選ぶことがポイントです。

ステップ2:顧客インサイトを理解する

トレン:次にステップ1で洗い出した強みを顧客視点で捉え直します。

どんな:具体的にどうやっていくんですか?

トレン:1対1のターゲット顧客へのインタビューで顧客理解を深めます。対象の商品やサービスを認知するタッチポイントや選定の際に重視するところについて具体的に把握し、UAVの候補を絞り込んでいきます。

どんな:インタビューっていろんな人の声を聞いたほうがいいんですか?

トレン:理想的な顧客に絞ってインタビューをしたほうが、いろんな意見に振り回されることになりづらいですね。

ステップ3:売り上げを最大化する可能性が最も高いUAVを特定する

トレン:最後はステップ1で洗い出した「自社の強み」とステップ2で出てきた「顧客インサイト」を掛け合わせてUAVをまとめます。

どんな:いくつかの案が出てきた場合はどう決めたらいいんですか?

トレン:アンケートなどの定量調査で、目標への有効性が高いものを選び出します。

企業の強みをUAV観点で紐解く

トレン:概念だけ伝えてもなかなか掴みづらいかもしれませんので、企業の強みをUAV観点で紐解いてみましょう。

どんな:お願いします!

ユニクロのUAV

トレン:まずはユニクロから。ユニクロの強みは、製造から販売まで自社で管理できることと素材メーカーとのパートナーシップ、そしてスケールメリットによるコストの低減です。

ユニクロのターゲット顧客のインサイトは、「安い服は品質が悪いので欲しくないけど、高品質な服は価格も高いのでなかなか買えない」というものです。

強みと顧客インサイトを掛け合わせたユニクロのUAVは、「高品質な服を手頃な価格で提供する」になります。

ドン・キホーテのUAV

トレン:ディスカウントストアのドン・キホーテの場合はどうでしょう。ドン・キホーテの強みはユニークな商品を数多く揃え、営業時間が長いことです。

ドン・キホーテの顧客のインサイトは、特に欲しいものがあるわけではないけれど、ストレス解消のために買い物をしたい。そこで掘り出し物を見つけたというものでしょう。

それらを掛け合わせた、「お宝探し感覚で、ストレスを解消しながら買い物を楽しめる」がドン・キホーテのUAVとなります。

ファミリーマートのUAV

トレン:最後にファミリーマートについて見ていきましょう。

どんな:ファミマの強みってなんでしょう…?コンビニってどこもそんなに変わらないような…。

トレン:ファミリーマートのCMOの足立光さんが就任した2020年当時、足立さんもファミリーマートは特徴が弱いと感じていたそうです。

そこで、部署横断プロジェクトを立ち上げ、顧客から見たファミマの特徴を洗い出していきました。結果浮かび上がってきたのが「ファミリーマートのプライベートブランド商品は、競合に比べて安かったり、量が多かったりする」ことだったそうです。

コンビニ利用客の顧客インサイトは「コンビニは近くて便利だけど割高なイメージ」というものでしょう。

結果、ファミリーマートのUAVを「ちょっとお得」と定義しました。

どんな:ファミマが増量キャンペーンとかやっているのは、そこから来ているんですね!

ファミリーマートの「たぶん40%増量作戦」イメージ(画像:ファミリーマート公式サイト

トレン:ファミリーマートではUAVを顧客に認知してもらうため、5つのキーワードを明文化し、企業発信を行いました。その5つとは、(1)もっと美味しく、(2)たのしいおトク、(3)「あなた」のうれしい、(4)食の安全・安心、地球にもやさしい、(5)わくわく働けるお店、です。

増量キャンペーンは、「たのしいおトク」に基づく施策の一つというわけです。

どんな:なるほど~。ちなみに、私の強みは客観的に見てなんだと思いますか?

トレン:……。

どんな:なんで黙るんですか!?

参考文献:『UAV あなたが知らない あなたの会社だけの強みー顧客に選ばれ続ける「最強ブランド」のつくり方』(日経BP)

執筆:スプ論編集部


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