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と金

唄人羽のプレミア配信。先週の配信時に思いつきで言ってしまった「あの頃をもう一度追いかけよう」発言より、今週からは過去に発売したアルバムを一枚ずつ辿るライブとなった。

その第一回目となる今回は2000年に発売された1stアルバム「と金」だ。約20年前、3rdシングル「花火」の発売後に出された、二人にとってもファンにとっても「初めてのアルバム」だった。

デビューシングル「小さな星の小さな旅人」、東京へ上京する直前に発売された「路」、初めてタイアップがついた「花火」、「土曜日の星」や「4人」など路上の頃から大切に歌われてきた曲を含む全12曲、そしてシークレットトラックの「鼻歌」。それはまさに「路上ベスト」で「羽的路上集大成」と言われたアルバムだった。

一曲目の「くだらない言い訳」から笑みがこぼれる。「これ言わないかん?」と言いながらも「ワン!ツー!ワンツースリフォー!」と恥ずかしそうに言った信ちゃんは、改めてアルバムを聴こうとしたけど「3秒で消した」と笑っていたけど、いざライブが始まれば譜面を目で追いながら丁寧に弾いていた。全ての曲をちゃんと聴き直したというてっちゃんは、今より少し高めのキーもハープの細かいところまで完璧だった。そして急遽、ピアノで参加することになったという冨永隆治さん。二人のギターやハープだけでなく、このピアノの音色が入ることで、より一層繰り返し聴いていたCDの音源に近付いていた気がする。

唄人羽のライブを経験したことがある人は何となくわかると思うが、通常のライブではリクエストなどで過去のレアな曲を演奏することはあっても、かなりの確率で嫌がられ、曲によっては「歌えん!」と却下されることが多々ある(笑)それを今回は自ら、そして何よりほぼ当時のアルバムのままを再現してくれた。変な言い方になるけど、今の「唄人羽」が、あの頃の「うたいびとはね」を完コピした感じだった。今の二人ならきっと、アレンジを加えた方が絶対カッコよくなるはずなのに。「あの頃」を「あの頃のまま」で届けてくれた。それはまるで「僕らはいつでもここで唄っているから」と言わんばかりに。これが余計に懐かしさと涙腺を何度も刺激した。

ライブが進むにつれ、本人も言っていたようにどんどん口数が減り、曲が終わるたびに一瞬静まり返る感じがなんとも可笑しく、今とあの頃を行き来してるような感じがした。時間も押している中、あと数曲で終わると言うときに、少し余裕ができたのか何故か「元々は俳優を目指していた(二人の出会いは劇団ひまわり)」という昔話から急遽「エチュード」をすることとなり、「化石を見つけた博士と助手」という設定のもと、謎の小芝居コーナーがあったことは忘れずに記しておく。

なにはともあれ、恥ずかしながらも楽しそうに歌っていたのが、とても嬉しかった。当時のことを思い出したり、手拍子や掛け声が自然と出てきたり、改めて聴く歌詞にドキッとしたり胸を締め付けられたり。あの頃に比べたら私も二人も歳を重ねて、いろんな経験をして、それなりの大人になった。でも20年経っても「と金」は、大好きな「と金」のままだった。

アルバムのタイトル「と金」は、将棋をやったことある人ならピンとくるだろう。一歩ずつ前にしか進めない一番弱い「歩兵」が、敵陣に入れば突如強い「金」になる。福岡の路上から始まった二人が全国デビューしてメジャーという舞台で闘ってきた。20年音楽を続けてきた二人なら、もう向かうところ敵無しの「と金」なのかもしれない。でも二人は「歩兵」であった経験を背負って今でも一歩ずつ前に進んでいる気がする。それが二人の強みではないかと私は思う。

来週は2ndアルバム「花サク」をやるそうだ。当時、ファンクラブの会報で信ちゃんは「花サク」を一言で表すなら『挑戦』だと言っていた。20年目の「花サク」、このアルバムも名曲揃いなので、とても楽しみだ。

今回の「と金」ライブを含めツイキャスプレミア配信はチケットを購入後、二週間はアーカイブとして残っているため何度でも楽しめる。更に、二週間後までは購入自体も可能なので(支払い方法が限られるけど)、是非とも今回見逃した人は二人の渾身の「と金」ライブを楽しんでほしい。ライブの後半で信ちゃんが離脱したときに、てっちゃんが一人で唄ったボーナストラックの「鼻歌」は、途中マラカスを持った信ちゃんが楽しそうにカメラの周りをグルグル回るという大爆笑必須の一幕もあり、おそらく二度とない貴重な映像となっていると思う。笑

唄人羽ツイキャスプレミア配信
「と金だらけの唄会」
2020.6.13.

くだらない言い訳
弱き人
花火
小さなゴール
小さな星の小さな旅人
独り言
土曜日の星

ポスト

(てっちゃんがソロで鼻歌)
笑い話
4人

唄人羽ツイキャスプレミア配信の詳細はコチラ


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