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スプリンギンクラスルーム開発秘話

2023年5月18日、株式会社コテン 代表取締役CEO 深井龍之介氏と、城南学園小学校の荒濵豊樹先生をお招きし、「これからの時代に求められる教育」について考え探究するトークイベントを開催しました。

▼トークイベントの概要はこちらにレポートしています

イベントの冒頭では、株式会社しくみデザインの代表中村俊介がなぜスプリンギンやスプリンギンクラスルームをつくったのか、その開発秘話と、今後スプリンギンクラスルームを使ってどうしていきたいのかについてお話ししました。本記事ではその内容をまとめています。ぜひご覧ください。

▼動画はコチラ

原体験は子どものころのヨロコビ体験

今日のお話をする時に、もともとスプリンギンクラスルーム、なんでつくったんだっけ?と思ってその原体験を振り返ってみたんですね。

子どものころ、転校したこともあって、なかなか学校に馴染めなかったんですが、ある時「みんなに楽しんでもらいたいな」と思って、ノートに自作した双六やゲームブックを持っていったんですね。すると学校でブームになって、ちょっとしたヒーローになれたんです。何かをつくるという行為でも認められるんだ!という嬉しい体験だった。さらに、中学生時代に自分が書いたプログラムがゲーム雑誌に採用されたというのがめちゃくちゃ嬉しくてですね、ここでもちょっとしたことだけど褒められた、認められたという体験があったんですね。

思い返してみると、今の自分があるのは、こういった小さな成功体験の積み重ねがあったからだなーと思ったんです。

この自分の経験をどうしたいの?と思った時に、そうか僕は、できるだけ多くの子がヒーローになれる場面を増やしたいんだな、と思ったんですよね。運動、音楽とかいろいろある中で、ゲームをつくるだとかプログラミングだとか、新しいものとして入ってきた時にこれだったら活躍できる!という場がつくれるかもしれない!と。

そのために必要なのは、最高の「道具」と「環境」。どうしたら最高の「道具」と「環境」を届けられるか、を考えるようになったんですね。

なんで「プログラミング」?

ぼくは15年以上ずっとプログラミングを使って、みんなが体験したことがないような、例えば体を動かすだけで演奏ができる楽器とか、画面の前を通りかかることで反応する広告とか、SMAPやTRFのライブ演出をリアルタイムでするとかをやってきたんですね。こういった新しいものを生み出すためにはプログラミングが必要だった。プログラミングができたから新しいものが生み出せたんだなと思うと、せっかくのプログラミングができるようになりましょう、というこの世の中の流れの中で、簡単に道具として使えるようになれば、より多くの人が創造力を発揮できるんじゃないかなと思ったんです。

プログラミング≠コーディング

プログラミングってパソコンの前で文字を打って、っていうイメージがあると思うんですよ。それは嘘じゃないんですけど、それを全員ができたほうがいいかというとそうではなくなってきている。ノーコードだったりローコードという言葉があるように、コーディングをしなくても、いろんなサービスを使って開発できるような環境ができてきている。しかも、ChatGPTとかが出てきたり、AIがあったらプログラマいらなくなるんじゃないかとも言われ始めてる。

学習指導要領を要約すると…

学習指導要領の中でもプログラミング教育、というのは、プログラミング的思考を学ぶことであって、プログラムをコーディングすることではないですよ!と文科省は言ってるんですよね。じゃあ、プログラミング的思考というのは何?というと、自分が意図する一連の動作を記号の組み合わせによってどんどん改善しながら実現していくことだと言ってるんですね。

これを勝手に要約するとですね、まず、コンピュータは自分で使うものだということ。そのためには試行錯誤がめちゃくちゃ大事で(大人だったらPDCAって言ったりするけど)とにかく確かめて、やってみてを繰り返す。それを実現するためには論理的思考が必要なんだけど、それはいろんな「しくみ」の組み合わせによって成立しています。そして一番大事なのは、子どもたちが創造力を発揮して、世界に向けて可能性をつくって将来役に立つ力を身につけること。プログラミングという技術を身につけるのではなくて、その技術を使ってクリエイティブになっていこうということが大事ですよって文科省も言ってるんです。

じゃあプログラミングというのは何かというと、人間とコンピューターとのコミュニケーション手段であって、文字である必要もないんです。つまり「つくりたい」というのがとても大事になってくる。プログラミングはその「つくりたい」を実現するための手段なんですね。

だからつくった!スプリンギンクラスルーム

だったら、プログラミングを100倍くらい楽しく簡単にして、紙やペンで書いて勉強するのと同じようにプログラミングを使えるようになっていれば、当たり前のツールとして活用して学んだり表現したりできるようになるんじゃないかと。

だからつくりました。スプリンギンクラスルームについて、詳細はここでは省略しますが、やりたかったことは3つなんです。

1.文字をつかわない

どうしたら文字を使わずにプログラムが書けるかなと考えて、絵を使いました。人間が普段暮らしている中で使っているモノやコトをアイコン化しています。

2.エラーが絶対に出ない

どんな言語にもエラーというものがあります。エラーというのは人間とコンピュータとのコミュニケーションミス。人間が「こういうことしてほしい!」と伝えているのに、コンピュータが拒否している状態で、人間からしたら非常に嫌な状態なんですね。なのでこのエラーというものが無いように設計したい!と思って、概念の段階でエラーが存在しない言語にしました。

3.制作画面=実行画面

つくっている画面と実行する画面がかけ離れているとどうしても飛躍が必要で、それが思考を止めてしまうんですよね。つくっている画面と実行の画面を一緒にすることで、試行錯誤が高速で回せるようにしました。

「道具」はできた!次は「環境」!

同じことを言っている人いないかな、と探したら、いたんですよね。スガタ・ミトラさんというインドの方なんですが、インドのスラム街で、荒れている学校に、検索が自由にできるパソコンと、とにかく褒めてくれるおばちゃんにいてもらう、ということをした。すると子どもたちは自分で勉強するようになり、最後はその地域で有数のトップ学校になったという話があるんです。

つまりどういうことかというと、認められる環境と、やりたいことを実現する道具があれば、子どもたちはどんどんできるようになるということ。実際にスプリンギンを使っている子どもたちの親に聞いてみたら、本をよく読むようになった、とか勉強するようになった、とか、アウトプットをしたくてインプットを勝手にするようになって、勉強が楽しくなったということが分かったんです。

スプリンギンクラスルーム、つまり「道具」はできたんです。次はこの道具を使って褒めてくれるという「環境」をいかに増やすかにかかってる。だから、僕達が次にやりたいと思っていることは、日本中すべての学校で使えるようになること。

「楽しむ力」「創造する力」= 探究的な学び

これから子どもたちに必要な力は「楽しむ力」と「創造する力」なんですね。つくる技術そのものは、すぐに陳腐化していきます。だから、「つくってて楽しい!」「こんなこと思いついたんだけど!」という部分にフォーカスして欲しい。プログラミング教育、始まってますけど、正解がないということは間違いもないということなので、子どもたちが苦手にならないように、好きだなってなってほしい。それが探究的な学びにつながるんです。
探究的な学びには問題を発見して解決する、という言われ方もありますが、問題なんて発見しなくてよいんです。こんなもの欲しい!で十分。それを実現するためにどうしたらいいんだっけ?を考えることに、学びもいっぱいあるんですね。そういうことが今、子どもたちに必要だなって思った時に
プログラミングってめちゃくちゃいい道具だなって思っています。

僕がいいたかったことは、みんなの、子どもたちの創造力をいかに解放できるかということをみなさんと一緒に考えたい、というところです。

▼荒濵先生の事例パートに続きます。


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本記事で紹介している「スプリンギンクラスルーム」は、創造的プログラミングアプリ「スプリンギン」の教育機関向け教材サービスです。

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